こんにちは、ドラム講師の川島です。
今回は、モチーフを発展させながら「物語のあるドラムソロ」を作る練習方法について解説します。
ドラムソロというと、速いフレーズや難しいテクニックを次々と叩くイメージがあるかもしれません。
もちろん、それもソロの魅力です。
ただ、ソロ全体をひとつの演奏として聴かせたい場合は、最初に出したアイデアを少しずつ発展させていくという考え方がとても重要になります。
今回の練習では、最初の短いフレーズをモチーフAとします。
そして、
- A=基本モチーフ
- A’=少し変化させる
- A”=さらに発展させる
- A”’=クライマックスへ向けて大きく発展させる
- B=Aから派生した別のアイデア
という形で、ひとつのフレーズを育てていきます。
提示 → 発展 → 対比 → クライマックス → 回帰
この流れを作ることで、ドラムソロが単なるフレーズの羅列ではなく、ひとつの「物語」のように聞こえてきます。
ドラムソロが「フレーズの羅列」になってしまう理由
アドリブでソロを叩いていると、自分が知っているフレーズを次々と使いたくなります。
- パラディドル
- 6連符
- タム回し
- ダブルストローク
- バスドラムのダブル
こうしたフレーズをたくさん持っていること自体は大切です。
ただし、前後のフレーズに関係がないと、
「技を次々に並べているだけ」
という印象になりやすくなります。
そこで今回の練習では、最初に出したモチーフAを中心にします。
Aを繰り返す。
少し変える。
さらに発展させる。
途中で違う景色を作る。
最後にAへ戻る。
この流れを作ることで、
- 何かが始まった
- 少し変化した
- 展開が広がった
- 場面が変わった
- 盛り上がった
- 最後に帰ってきた
というストーリーが生まれます。

ドラムのアドリブそのものが苦手な場合は、まずリズムの語彙を増やす練習もおすすめです。
まずは短いモチーフAを作る
最初に、ソロの中心となるモチーフAをひとつ作ります。
ここでは、難しいフレーズを作る必要はありません。
例えば、
「タン・タタ・タン」
くらいで十分です。
自分で口ずさめて、すぐに覚えられるくらいの短いフレーズがおすすめです。
1拍、2拍、1小節程度でも問題ありません。
むしろ長すぎるモチーフは、発展させる前に元の形が分かりにくくなります。
まずは「歌えるくらい短いA」を作ってみましょう。
フレーズを理解してから演奏する練習はこちらでも解説しています。
モチーフAをA’、A”へ発展させる
モチーフを発展させるときは、毎回まったく違うフレーズを作る必要はありません。
まずはひとつの要素だけ変えると分かりやすくなります。
音色を変える
一番簡単なのは、リズムを変えずに叩く場所だけを変える方法です。
例えば、
スネア → ハイタム → ロータム → フロアタム
と移動します。
同じリズムでも音色が変わるため、自然な発展になります。
アクセント位置を変える
音符や手順はそのままで、強く叩く音だけを変えます。
これだけでもフレーズの聞こえ方は大きく変わります。
強弱を変える
同じAでも、
小さく → 普通 → 大きく
と変化させれば、それだけで盛り上がりを作れます。
音を増やす・減らす
Aの最後に1音加える。
逆に1音減らす。
このような小さな変化でもA’になります。
開始位置をずらす
1拍目から始めていたAを、裏拍から始めてみます。
同じリズムでも、拍のどこに置くかによって印象が変わります。
音域を変える
タムを使って、高い音から低い音へ移動したり、低い音から高い音へ移動したりします。
ドラムでも、メロディのような上下を感じさせることができます。
バスドラムや手足を加える
最初は手だけだったAに、バスドラムを加えます。
さらに手足を組み合わせれば、A’、A”と立体的に発展させることができます。

ドラムフレーズを構成する要素についてはこちらでも詳しく解説しています。
12小節ブルース1コーラスでソロを作る
まずは、12小節だけで完結するソロを作ってみましょう。
短いので、モチーフの流れを把握しやすい練習です。
1〜4小節|モチーフを覚えさせる
| 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|
| A | A | A | A’+間 |
最初の4小節では、まだ大きく発展させません。
「今回のソロのテーマはこれです」
と、Aを聴き手に覚えてもらう時間です。
5〜8小節|モチーフを発展させる
| 5 | 6 | 7 | 8 |
|---|---|---|---|
| A’ | A’ | A” | 問い→答え |
ここから少しずつ変化させます。
タムへ移動したり、アクセントを変えたり、バスドラムを追加したりしてみましょう。
9〜12小節|対比からクライマックスへ
| 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|
| 対比・間 | 盛り上げ | 頂点 | Aへ回帰 |
9小節目で一度景色を変えます。
音を減らす、休む、急に小さくする、といった方法も効果的です。
そこから10小節目で再び盛り上げ、11小節目を頂点にします。
そして12小節目で、最初のAへ戻ります。
提示 → 発展 → 対比 → 盛り上げ → 頂点 → 回帰

12小節ブルースを3コーラス・36小節で作る
慣れてきたら、12小節を3回使って36小節のソロにします。
ここでは、1コーラスごとに役割を決めると分かりやすくなります。
- 第1コーラス=提示
- 第2コーラス=発展
- 第3コーラス=対比・クライマックス・回帰
第1コーラス|モチーフを覚えさせる
| 1 A | 2 A | 3 A | 4 A’+間 |
| 5 A | 6 A’ | 7 A | 8 A’ |
| 9 A’ | 10 答え | 11 盛り上げ | 12 Aへ回帰 |
第1コーラスは、まだ派手にしすぎません。
Aを中心に演奏し、テーマをしっかり印象付けます。
第2コーラス|モチーフを発展させる
| 13 A’ | 14 A’ | 15 A” | 16 間 |
| 17 問いA | 18 答えB | 19 問いA’ | 20 答えB’ |
| 21 A+B | 22 A+B’ | 23 盛り上げ | 24 中間の頂点 |
第2コーラスでは、Aを本格的に発展させます。
ここではコール&レスポンスも使ってみましょう。
第3コーラス|対比から最大の頂点へ
| 25 間 | 26 Aの断片 | 27 Aの断片 | 28 問い→答え |
| 29 盛り上げ | 30 A” | 31 A”’ | 32 さらに盛り上げ |
| 33 頂点 | 34 最大の頂点 | 35 整理 | 36 Aへ回帰 |
ここで大切なのは、25小節目で一度落とすことです。
ずっと盛り上げ続けるのではなく、いったん音数や音量を減らします。
その後、29小節目から再び上昇。
33〜34小節目で最大のクライマックスを作ります。
そして35小節目で整理し、36小節目でAへ帰ります。

32小節形式でドラムソロを作る
次は32小節です。
ここでは、
A1 → A2 → B → A3
という8小節×4セクションで考えます。
A1|1〜8小節:モチーフ提示
| 1 A | 2 A | 3 A | 4 A’+間 |
| 5 A | 6 A’ | 7 A’ | 8 答え |
A2|9〜16小節:モチーフ展開
| 9 A’ | 10 A’ | 11 A” | 12 間 |
| 13 問いA | 14 答えB | 15 A+B | 16 中間の頂点 |
B|17〜24小節:対比・場面転換
| 17 間 | 18 B | 19 B | 20 B’ |
| 21 Aの断片 | 22 A+B | 23 盛り上げ | 24 さらに盛り上げ |
Bでは、それまでとは少し違う景色を作ります。
例えば、それまで細かく叩いていたなら急に音数を減らしてもいいでしょう。
A3|25〜32小節:回帰・クライマックス
| 25 Aへ回帰 | 26 A’ | 27 A” | 28 盛り上げ |
| 29 A”’ | 30 頂点 | 31 整理 | 32 Aへ回帰 |
25小節目でAが戻ってくることがポイントです。
Bで違う世界へ行ったあとに、最初のモチーフが再び聞こえてきます。
すると、聴き手にも「最初のテーマが帰ってきた」と感じてもらいやすくなります。

「問い→答え」でドラムを会話させる
モチーフを発展させる方法として、とても使いやすいのがコール&レスポンスです。
例えば、
- 高いタムで問い → 低いタムで答える
- スネアで問い → バスドラムで答える
- 短いフレーズで問い → 長いフレーズで答える
- 小さい音で問い → 大きな音で答える
ポイントは、完全に別のフレーズにしないことです。
Aのリズムや一部分を残すと、会話としてつながりやすくなります。

「間」があるからドラムソロが生きてくる
ドラムソロだからといって、ずっと叩き続ける必要はありません。
何も叩かない時間もソロの一部です。
間を作ることで、
- 次のフレーズを考えられる
- 前のフレーズを聴き手が理解できる
- 次の一音が強く聞こえる
- クライマックスとの差を作れる
という効果があります。
特に、盛り上がった後に一度静かにすると、その後の展開がより大きく感じられます。
クライマックスは音量だけで作らない
盛り上げるというと、単純に強く叩くことを想像しやすいですが、それだけではありません。
- 音数を増やす
- 音量を上げる
- 使う楽器を増やす
- 音域を広げる
- 休符を減らす
- モチーフの反復を増やす
- モチーフを細かく分解する
- ドラムセット全体を使う
こうした要素を少しずつ増やすことで、自然なクライマックスを作れます。
全部を同時に使う必要はありません。

iReal Proを使って実際に練習する
ここまでの練習は、メトロノームだけでもできます。
ただ、実際の音楽の流れを感じながら練習するなら、iReal Proなどの伴奏音源を使う方法もおすすめです。
最初は12小節ブルースを使います。
テンポは、BPM80〜120くらいを目安にしても構いませんが、速さそのものは重要ではありません。
「次に何を叩くか考えられるテンポ」を選んでください。
可能であれば伴奏のドラムを小さくするかミュートして、ピアノやベースを聴きながら演奏します。
練習手順
- 短いモチーフAをひとつ決める
- Aを繰り返して覚えさせる
- A’へ変形する
- A”へ発展する
- 途中で間を作る
- 問い→答えを作る
- 徐々にクライマックスへ向かう
- 最後にAへ戻る
最初は12小節1コーラス。
慣れたら36小節。
さらに慣れたら32小節のジャズスタンダードへ進みます。

ジャズドラムそのものを基礎から練習したい場合はこちらも参考にしてください。
ドラムソロ練習で最も大切なルール
今回の練習では、ひとつルールを決めます。
「新しいフレーズを思いつくたびに、別のものを叩かない」
というルールです。
次のフレーズを叩く前に、
「今のフレーズと、次のフレーズにはどんな関係があるのか?」
を考えます。
例えば、
- 同じリズムで音色だけ変えた
- 最後だけ変えた
- Aの一部分だけ使った
- Aへの答えを作った
- Aを半拍ずらした
- Aの音数を増やした
という変化なら、前後につながりがあります。
一方で、
A → パラディドル → 6連符 → リニアフレーズ → ダブルストローク
と、関連のない得意フレーズを次々並べるだけでは、今回の練習の目的から外れてしまいます。
難しいフレーズを禁止するわけではありません。
難しいフレーズも、Aから発展した結果として使うということです。
ドラムでコード進行やハーモニーを意識して演奏する考え方はこちらでも紹介しています。
基本公式を覚えておこう
| A | A | A’ | 間 |
| A’ | A” | 問い→答え | 盛り上げ |
| 対比 | 盛り上げ | 頂点 | Aへ回帰 |
提示 → 発展 → 対比 → クライマックス → 回帰
まずは、この基本形を覚えておくだけでも十分です。
まとめ
今回は、モチーフを使って物語のあるドラムソロを作る方法を紹介しました。
大切なのは、難しいフレーズをたくさん知っていることだけではありません。
ひとつのアイデアを最後まで育てることです。
短いAから始まります。
A’へ変化します。
A”へ発展します。
途中で対比や間を作ります。
そこからクライマックスへ向かいます。
そして最後に、最初のAへ戻ります。
この流れがあるだけでも、ドラムソロはかなり「曲」のように聞こえてきます。
まずは12小節ブルースで、ひとつの短いモチーフだけを使ってソロを作ってみてください。
慣れてきたら36小節、32小節へと少しずつ物語を長くしていきましょう。
ドラムは、楽譜や動画を見ているだけでは分かりにくい部分がたくさんあります。
たとえば、どんな音を出せばいいのか、どのくらいの力加減で叩けばいいのか、曲に合わせるときに何を意識すればいいのかなど、実際に叩きながら覚えていくことが大切です。
船橋周辺で直接レッスンを受けたい方、またはZoomで個別に見てもらいたい方には、無料体験レッスンや課題曲マスターコースをご用意しています。
一方で、ご自宅で自分のペースで学びたい方には、動画で学べるオンライン会員、初心者8週間プログラム、買い切り型の単品オンライン講座もあります。
ご自身の目的や生活スタイルに合わせて、下記より学び方をお選びください。
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「この曲を叩けるようになりたい」という方へ。課題曲に合わせて、必要な基礎からフレーズまで個別に練習していくコースです。
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