こんにちは、ドラム講師の川島です。
今回は、ドラムのチューニング方法について初心者向けに説明していきます。
ドラムを始めたばかりの方にとって、チューニングは少し分かりにくい部分だと思います。「ボルトはどのくらい締めればいいのか?」「スネアやタムは何の音に合わせればいいのか?」「打面と裏面は同じ張り具合でいいのか?」など、実際にやってみると結構迷うところが出てきます。
ただ、最初から難しく考える必要はありません。
まず覚えておきたいのは、ヘッドを均等に張ることです。その上で音程を整え、サステインを調整し、最後に自分の耳でドラムセット全体のバランスを確認していきます。
今回は大きく分けて、ドラムのサイズ、基本的なチューニング方法、打面と裏面の関係、ミュート、そして最後に私がチューニングで大切にしている「耳で聞く感覚」について説明していきます。

ドラムのチューニングは難しく考えすぎなくて大丈夫
ドラムのチューニングには、ギターのように「必ずこの音に合わせなければいけない」という絶対的な決まりはありません。
もちろん、音階やHzを基準にしてチューニングする方法もあります。ただ、ドラムの場合はシェルのサイズ、ヘッドの種類、張り具合、部屋の響き、ミュートの量など、いろいろな条件によって音が変わります。
ですので初心者の方は、最初から「正しい音程」を探すよりも、まずヘッドをきれいに均等に張ることから始めてみてください。
そこができてから少しずつ音を高くしたり低くしたりしていけば、自分の好きな音が見えてきます。
まず知っておきたいドラムサイズと音域の関係
チューニングの前に知っておきたいのが、ドラムそのもののサイズです。
基本的には、口径が大きくなるほど低い音を作りやすく、小さくなるほど高い音を作りやすくなります。
例えば22インチのバスドラムと18インチのバスドラムを比べれば、22インチの方が低く太い音を作りやすいです。
ただし、サイズだけで音が決まるわけではありません。シェルの深さやヘッドの種類や張り方でも音はかなり変わりますので、あくまで大まかな傾向として考えてください。
| ジャンル | バスドラム | スネア | ハイタム | ロータム | フロアタム | 音域の傾向 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ロック | 22インチ | 14インチ | 10インチ | 12インチ | 16インチ | 低音域重視 |
| フュージョン | 20インチ | 14インチ | 10インチ | 12インチ | 14インチ | 中音域重視 |
| ジャズ | 18インチ | 14インチ | 12インチ | – | 14インチ | 比較的高め |
ロックの場合は、BD22 / SD14 / HT10 / LT12 / FT16くらいのセットがよく使われます。バスドラムやフロアタムが大きいので、低音の迫力を出しやすい組み合わせです。
フュージョンでは、BD20 / SD14 / HT10 / LT12 / FT14くらいの少しコンパクトなセットも使いやすいです。低音が重すぎず、タムの反応も比較的速くなります。
ジャズでは、BD18 / SD14 / T12 / FT14のようなセットもよく見られます。ロックのセットと比べると全体的に小さく、比較的高めで響きのある音を作りやすくなります。
もちろん、これは絶対ではありません。22インチのバスドラムでジャズを演奏する人もいますし、20インチでロックを演奏することもあります。
まずは「大きいドラムほど低く、小さいドラムほど高くなりやすい」と覚えておけば大丈夫です。

ジャンルによるドラムセットの違いについては、こちらの記事でも解説しています。
私がドラムをチューニングするときの順番
ドラムセット全体をチューニングするとき、私は基本的に次の順番で進めています。
- 1.バスドラム
- 2.スネア
- 3.ハイタム
- 4.ロータム
- 5.フロアタム
この順番でなければいけない、というわけではありません。
ただ、私の場合は最初にバスドラムで低音の土台を作り、その次にスネアを決めて、最後にタム類の音程を整えていく方がセット全体をまとめやすいです。
特にタムは、
ハイタム → ロータム → フロアタム
と順番に叩いたときの高低差をかなり重視しています。
高い音から低い音へ自然に下がっていき、3つのタムを続けて叩いたときに少しメロディーのように聞こえる状態が私は好きです。

初心者向けドラムチューニングの基本手順
ここから実際のチューニング方法に入っていきます。
最初から音程ばかり気にすると難しくなってしまいますので、まずは一つずつ順番に進めてみてください。
1.まず指だけでテンションボルトを締める
最初にドラムヘッドをシェルの上に置き、その上からフープを取り付けます。
この段階で、いきなりチューニングキーを使って強く締めないようにします。
まずはすべてのテンションボルトを指だけで締めていきます。
一つだけ先に強く締めるのではなく、全体を少しずつ締めていき、指で回らなくなるくらいまで均等にしていきます。
ここは結構大事です。
最初から一か所だけ強く締めてしまうと、ヘッドが斜めに張られてしまい、その後のチューニングがやりづらくなります。
2.チューニングキーで少しずつ均等に締める
指で締め終わったら、次にチューニングキーを使います。
ここでも一つのボルトだけを何回転も締めるのではなく、少し締めたら次のボルトへ移ります。
そして全体を一周したら、また少しずつ締めていきます。
初心者の場合は、対角線上のボルトを順番に締める方法が分かりやすいと思います。
例えば上側(1)を少し締めたら、次に反対側の下側(2)を締めます。その次は上側の右隣(3)そして次はその対角線上(4)、その次は1つ前に閉めた右隣(5)、そして対角線上(6)というように閉めて行きます。
そして必ず少し閉めて、次へ移動すると言う過程を繰り返しながらちょっとずつ強くなるように締めていきます。
少し締める → 次へ移動する → また少し締める
この繰り返しです。

3.ボルト周辺を叩いて音の高さを確認する
ある程度ヘッドが張れてきたら、各テンションボルトの少し内側をスティックで軽く叩きます。
ヘッドの中央を叩くのではなく、ボルトの近くを順番に叩いていきます。
そうすると、
「ここだけ少し高い」
「ここだけ低い」
という場所が出てくることがあります。
高い場所は少し緩めます。低い場所は少し締めます。
これを繰り返しながら、各ボルト周辺の音をなるべく揃えていきます。
最初は音の高さを聞き分けるのが結構難しいと思います。
ですが、最初から完全に同じ音程へ合わせる必要はありません。
まずは明らかに一か所だけ高い、または低いという状態をなくすくらいから始めてください。
何度もチューニングをしていると、少しずつ違いが聞き分けられるようになってきます。
4.ヘッドにシワがないか確認する
締めている途中では、ヘッドの表面も確認してください。
まだヘッドにシワが残っている場合は、張力が足りなかったり、一部分だけ緩かったりする可能性があります。
特定の場所だけシワがある場合は、その周辺のボルトを確認します。
まずはシワがなくなるところまで均等に張り、そこから少しずつ好みの音に持っていきます。
最初から「この音程にしなければ」と考えるより、まずヘッドをきれいに張ることを優先してください。

ドラムヘッド自体の種類によっても音はかなり変わります。ヘッドについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
打面側と裏面側の張り方で音はどう変わる?
次に、初心者の方が迷いやすい打面側と裏面側についてです。
まず言葉を整理すると、打面側というのはスティックで実際に叩く側のヘッドです。
反対側に張ってあるヘッドは、裏面側、共鳴面、ボトムヘッドなどと呼ばれます。
初心者の場合は、最初から打面と裏面に大きな差をつけなくて大丈夫です。
まず両面を同じくらいの張り具合にして、ドラム全体の音を聞いてみてください。
そこから少しずつ調整していく方が違いを理解しやすいです。
まずは両面を同じくらいから始める
打面と裏面をだいたい同じ張り具合にしておくと、一つの基準を作ることができます。
ここから打面を少し強くしてみる。今度は裏面を少し強くしてみる。
このように変化をつけると、それぞれの役割が分かりやすくなります。
いきなり大きく変えるのではなく、チューニングキーで少しずつ動かしてください。
打面側を強くした場合
打面側を少し強く張ると、一般的には叩いた瞬間のアタックが高く感じられる方向へ変化します。
また、ヘッドの張力が上がりますので、スティックを叩いたときのリバウンドも強くなります。
ここは音だけでなく、演奏感にも関係します。
張力が強いヘッドはスティックがよく跳ね返ってきますので、それをコントロールする技術も少し必要になります。
ですので初心者の方は、音を高くしたいからといって打面を一気に強く張りすぎない方がいいと思います。
裏面側を強くした場合
裏面側を強く張った場合も、ドラム全体として感じる音程が高い方向へ変化することがあります。
ただ、私の感覚としては、打面側を締めたときのようにアタックを直接変えるというよりも、共鳴の仕方や余韻、音全体の響きに影響する感じがあります。
もちろん、これはヘッドやシェル、張力の組み合わせによっても変わります。
ですので「裏面を締めれば必ずこうなる」と考えるより、実際に少し締めて音を聞き比べるのがおすすめです。

バスドラムはミュートでサステインを調整する
次にバスドラムです。
バスドラムは何もミュートしない状態だと、サステインがかなり長くなる場合があります。
ロックやポップスの場合、私は毛布やタオルなどをバスドラムの中に入れて、ヘッドへ軽く触れさせるようにしてサステインを調整します。
専用のミュート材を使っても大丈夫です。
ただし、たくさん詰めればいいというわけではありません。
ミュートしすぎると、今度は音が短くなりすぎて、バスドラム本来の低音や響きがなくなってしまいます。
目的は音を消すことではなく、必要以上に長く残っている音を整理することです。
反対にジャズの場合は、バスドラム自体の響きをかなり活かすことがあります。
そのため、ミュートをほとんど入れなかったり、かなり少なくしたりする場合もあります。
このあたりは演奏する音楽によってかなり変わります。

スネアやタムも響きすぎる場合はミュートする
スネア、ハイタム、ロータム、フロアタムも同じです。
チューニングができていても、サステインが長すぎて演奏しづらい場合があります。
そういう場合は、好みに応じてミュートを使います。
- ガムテープ
- ジェルタイプのミュート
- リングミュート
- 専用ダンパー
など、方法はいろいろあります。
ただ、ここでもミュートすること自体が目的ではありません。
例えばハイタムからロータム、フロアタムへフィルインを叩いたとき、前に叩いたタムの音がずっと残っていると、次の音と重なってしまいます。
サステインが長すぎるドラムが何台もあると、セット全体の音が混ざり合い、フィルインの輪郭が分かりにくくなることがあります。
私は、
ハイタム → ロータム → フロアタム
と叩いたときに、それぞれの音がある程度分離して聞こえる状態が好きです。
ですので、響きすぎている場合は少しミュートしますし、逆に音が短すぎる場合はミュートを外します。
ここも実際に演奏しながら調整してみてください。
音階やHzよりも、自分の耳で気持ちいい音を探す
ドラムのチューニングについて調べると、
「スネアは何Hz」
「タムは何の音程」
「完全4度で合わせる」
といった方法が出てきます。
これらはもちろん一つの方法です。
チューナーや周波数を使えば、毎回同じ状態を再現しやすくなりますので、基準として使うのはとても便利だと思います。
ただ、私はどちらかというと数値そのものよりも、最終的には自分の耳で聞いた感覚をかなり重視しています。
特にタムですね。
ハイタム、ロータム、フロアタムと順番に叩いたとき、音の高さがしっかり分かれている方が私は好きです。
例えば3つのタムを続けて叩いたときに、
高い → 中間 → 低い
という流れがきれいに聞こえると、フィルインもかなりメロディックに聞こえてきます。
反対に、ハイタムとロータムの音程差がほとんどなかったり、ロータムとフロアタムが同じくらいに聞こえたりすると、私の場合は少し物足りなく感じます。
ですので、「何Hzだから正しい」というよりも、セット全体を叩いたときに自分が気持ちよく聞こえるかを最終的な判断にしています。
これは何度もチューニングしていくと、少しずつ分かるようになってきます。

初心者は完璧なチューニングを目指さなくていい
初心者の方は、最初からプロのように完璧なチューニングをしようとしなくて大丈夫です。
まずは次の5つができれば十分です。
- テンションボルトを均等に締める
- ボルト周辺の音程差をできるだけ小さくする
- ヘッドのシワをなくす
- タムの高低差を耳で確認する
- サステインが長すぎる場合はミュートする
ここまでできたら、一度ドラムセット全体を叩いてみてください。
スネアだけを聞くのではなく、バスドラム、スネア、タムまで含めてセット全体で聞いてみます。
そこで、
「もう少しフロアタムを低くしたい」
「スネアのアタックを少し高くしたい」
「バスドラムの余韻をもう少し短くしたい」
と感じたところだけ少し調整します。
このやり方を繰り返していくと、自分が好きなチューニングがだんだん分かってきます。
最初は理屈で理解して大丈夫です。
そこから実際に締めて、叩いて、聞いて、また調整する。
この作業を繰り返していくことで、最終的には「このくらい張ればこの音になる」という感覚が少しずつ体に入ってきます。
まとめ
今回は、初心者向けにドラムのチューニング方法について説明しました。
まずドラムは、サイズによって出しやすい音域が違います。
大きいドラムほど低音、小さいドラムほど高音を作りやすいという基本を覚えておくと、チューニングもしやすくなります。
実際にヘッドを張るときは、いきなりチューニングキーで強く締めるのではなく、まず指で均等に締めます。
その後チューニングキーで少しずつ締め、各ボルト周辺の音を聞きながらバランスを整えていきます。
打面側と裏面側については、まず同じくらいの張り具合から始めると分かりやすいです。
そこから打面側を少し強くしたり、裏面側を少し強くしたりして、音の変化を確認してみてください。
また、バスドラムやタムのサステインが長すぎる場合は、ミュートを使って響きを整理します。
音階やHzを基準にする方法もありますが、それだけに頼る必要はありません。
私の場合は、特にハイタム、ロータム、フロアタムを叩いたときの高低差を重視しています。
最終的にドラムセット全体を叩いて、自分の耳で「これが気持ちいい」と思える状態に持っていくことが一番大切だと思います。
チューニングは正解を探す作業というより、自分の好きな音を見つけていく作業です。
まずは均等に張るところから始めて、少しずつ自分の音を作ってみてください。
ドラムは、楽譜や動画を見ているだけでは分かりにくい部分がたくさんあります。
たとえば、どんな音を出せばいいのか、どのくらいの力加減で叩けばいいのか、曲に合わせるときに何を意識すればいいのかなど、実際に叩きながら覚えていくことが大切です。
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