こんにちは、ドラム講師の川島です。
「自宅にドラムセットがないけれど、練習パッドだけでも上手くなれるのだろうか?」
これは、ドラム初心者の方から本当によくいただく質問です。
結論から言うと、練習パッドだけでもドラムの基礎力はかなり身につけることができます。
ただし、練習パッドだけですべてのドラム演奏が完成するわけではありません。
練習パッドは、ストローク、スティックコントロール、音符の理解、手順、リズム、フィルインの手の動きなどを鍛えるには非常に優れた道具です。
一方で、バスドラムペダルの感覚、ハイハットペダル、ドラムセット全体の距離感、タム移動、シンバルの扱い、生ドラム特有の音量やリバウンドまでは完全には再現できません。
つまり大切なのは、練習パッドで土台を作り、生ドラムで確認するという考え方です。
この記事では、練習パッドだけでどこまで上達できるのか、そして自宅でどのように練習すれば効率よく力がつくのかを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

- 練習パッドでできること・できないことを最初に整理しよう
- 練習パッドを選ぶときに大切なポイント
- 練習方法① まずはストロークを身につける
- 練習方法② 4分・8分・3連符・16分音符を練習する
- 練習方法③ メトロノームを使ってゆっくり練習する
- 練習方法④ 音符と手順を組み合わせる
- 練習方法⑤ 練習パッドをドラムセットに見立てて8ビート・16ビートを叩く
- 練習方法⑥ フィルインやタム回しもイメージして練習する
- 練習パッドだけで完結させず、最後は必ず生ドラムで確認する
- 練習パッド+音楽スタジオが費用対効果の高い練習方法
- 30分でできる練習パッドメニュー
- 練習パッドについてよくある質問
- まとめ|練習パッドは「基礎を作る場所」として非常に優秀
練習パッドでできること・できないことを最初に整理しよう
まず最初に整理しておきたいのは、練習パッドは「ドラムの代用品」ではなく、ドラムの基礎を作るための専用道具だということです。
練習パッドで伸ばしやすいのは、次のような能力です。
- スティックコントロール
- フルストローク、ダウンストローク、タップストローク、アップストローク
- シングルストローク、ダブルストロークなどの手順
- 4分音符、8分音符、3連符、16分音符、6連符などの音符感覚
- メトロノームに合わせたテンポキープ
- フィルインの手の流れ
- 8ビートや16ビートの基本的なイメージ作り
逆に、生ドラムでないと確認しにくいのは次のような部分です。
- バスドラムペダルの踏み方
- ハイハットペダルのコントロール
- スネア、タム、シンバルの距離感
- タム回しの移動量
- 各打面の高さや角度の違い
- 生ドラム特有の大きな音量と振動
- 打面ごとに異なるリバウンド
この違いがわかっていると、「練習パッドでは意味がない」と極端に考える必要もなくなりますし、「練習パッドだけで全部できる」と勘違いすることもなくなります。
役割を分けて考えることが、上達の近道です。
練習パッドを選ぶときに大切なポイント
これから練習パッドを購入するなら、まずおすすめしたいのはなるべく打面の大きいものです。
初心者のうちは、小さい打面に当てることばかり意識するよりも、自然なストロークを身につけることのほうが大切だからです。
そして、もうひとつ非常に重要なのが、スタンド付き、またはスタンドに取り付けられる練習パッドを選ぶことです。
スタンドがあることで、高さ・角度・体との距離を自分に合わせて調節できます。
机の上や床に置いて叩くと、一応音は出せますが、姿勢が崩れやすくなります。
実際のスネアドラムとはかなり違う状態で練習することになるため、変な癖がついてしまうこともあります。
練習パッドは、ただの「叩ける板」ではありません。
自宅に置ける簡易スネアドラムのように考えると、かなりイメージしやすくなります。

練習方法① まずはストロークを身につける
練習パッドで最初に取り組んでほしいのが、ドラムの基本となるストロークの練習です。
ストロークとは、スティックで打面を叩くときの基本動作のことを指します。
ここが曖昧なまま先へ進むと、後々リズムもフィルインも不安定になりやすくなります。
フルストローク
高い位置から叩き、高い位置へ戻るストロークです。
しっかりした音を出す基本になります。
ダウンストローク
高い位置から叩き、低い位置で止めるストロークです。
アクセントの後の小さい音へつなげるときに重要になります。
タップストローク
低い位置から叩き、低い位置へ戻る小さなストロークです。
小音量でのコントロールに欠かせません。
アップストローク
低い位置から叩き、次の大きな音に備えてスティックを高く上げるストロークです。
流れのある演奏には必須です。
この4種類を理解しておくことで、その後のアクセント、リズム、フィルイン、アップダウン奏法にもつながっていきます。
さらに、シングルストローク(R L R L)やダブルストローク(R R L L)のような手順の中で練習していくと、より実践的になります。
このときに大切なのは、単に速く叩くことではありません。
左右の音量が揃っているか、スティックの高さは安定しているか、リバウンドを自然に使えているか、余計な力みが入っていないかを必ず確認してください。
ストロークについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

練習方法② 4分・8分・3連符・16分音符を練習する
ストロークがある程度安定してきたら、次は音符の練習です。
ここでいう音符とは、単に楽譜の形を覚えることではありません。
一定の時間の中を何個に分割しているのかという感覚を体に入れていくことが大切です。
まずは次の順番で練習すると取り組みやすいと思います。
- 4分音符
- 8分音符
- 3連符
- 16分音符
- 6連符
特に初心者の方は、いきなり16分音符を速く叩こうとするよりも、4分音符や8分音符をしっかり安定させるほうが先です。
ストロークが整ってくるほど、音符の間隔も揃いやすくなっていきます。
たとえば8分音符が走ってしまう人は、手が悪いというよりも、拍の中を2つに均等に割る感覚がまだ曖昧なことが多いです。
3連符や16分音符も同じで、感覚を丁寧に育てていくことが重要になります。
音符の考え方については、こちらの記事もおすすめです。

練習方法③ メトロノームを使ってゆっくり練習する
練習パッド練習では、メトロノームを使うことを強くおすすめします。
初心者ほど、速く叩けることよりも、遅いテンポで正確に叩けることのほうが重要です。
最初はBPM40〜60程度など、余裕を持って演奏できるテンポから始めてください。
ゆっくりだと簡単そうに感じるかもしれませんが、実際にはゆっくりなほうがごまかしが効かず、実力がはっきり出ます。
理想の流れは、次の通りです。
ゆっくり正確に叩ける
↓
少しずつ安定する
↓
少しずつテンポを上げる
↓
速くなっても同じフォームで叩ける
逆に、最初から速く叩いてしまうと、音符の間隔がバラバラになり、無理な力みも増えやすくなります。
速さは後からついてくるものです。
まずは土台を作る意識で進めていきましょう。
メトロノーム練習やスローテンポ練習については、こちらも参考にしてください。

練習方法④ 音符と手順を組み合わせる
4分音符、8分音符、3連符、16分音符などがある程度叩けるようになったら、次は音符と手順を組み合わせていきます。
ここをやることで、単純な基礎練習が一気に実践へ近づきます。
たとえば、次のような組み合わせです。
- 16分音符 × シングルストローク
- 16分音符 × ダブルストローク
- 16分音符 × パラディドル
- 3連符 × シングルストローク
- 3連符 × ダブルストローク
- 3連符 × パラディドル
また、チェンジアップ・チェンジダウンの練習も非常に効果的です。
4分音符
↓
8分音符
↓
3連符
↓
16分音符
↓
3連符
↓
8分音符
↓
4分音符
このように音符を行き来することで、頭の中の切り替えも速くなり、拍感も強くなります。
さらに、右手始まりだけでなく左手始まりでも練習すると、片側だけに偏ったクセを減らしやすくなります。
ここができるようになると、「手は動くけれど演奏に応用できない」という状態から一歩抜け出しやすくなります。
手順や応用については、こちらの記事もおすすめです。
練習方法⑤ 練習パッドをドラムセットに見立てて8ビート・16ビートを叩く
ここからは、練習パッドをより実践的に使う方法です。
練習パッドを「スネアの代わり」だけで終わらせず、ドラムセット全体に見立てて練習することで、演奏感覚がかなり育ってきます。
たとえば8ビートを練習するときは、次のように役割を決めます。
- 右手:練習パッドの左側付近をハイハットだと思って叩く
- 左手:パッド中央から少し下あたりをスネアだと思って叩く
- 右足:床を踏み、バスドラムを踏んでいるつもりで動かす
つまり、右手=ハイハット、左手=スネア、右足=バスドラムという役割です。
実際には打面は1つですが、頭の中ではドラムセットをイメージして叩きます。
これをやると、ただの手の基礎練習ではなく、「ドラムを演奏している感覚」に近づいていきます。
8ビートだけでなく、16ビートでも同じ考え方で練習できます。
ドラムの基本リズムについては、こちらの記事もつながりやすいです。

練習方法⑥ フィルインやタム回しもイメージして練習する
練習パッドでは、フィルインの練習も十分にできます。
特に大切なのは、「本物と同じ音を出すこと」ではなく、どこからどこへ移動するのかという流れを覚えることです。
1枚のパッドの中で、場所を次のようにイメージしてください。
- 中央〜少し下:スネア
- 上部:ハイタム
- 右側:ロータム
- 右下:フロアタム
たとえば、スネア → ハイタム → ロータム → フロアタムという流れのフィルインであれば、1枚のパッド上でも位置を分けて叩き分けていきます。
もちろん、本物のドラムセットのような大きな移動はありません。
ただ、先に手順と移動のイメージを作っておくことで、生ドラムに座ったときの理解がかなり速くなります。
フィルインの考え方については、こちらも参考になります。

練習パッドだけで完結させず、最後は必ず生ドラムで確認する
ここがこの記事の中でも特に大切なポイントです。
練習パッドでストローク、音符、手順、リズム、フィルインをたくさん練習することは非常に効果的です。
ただし、練習パッドでできる=ドラムセットでもそのままできるとは限りません。
実際のドラムセットでは、スネア、タム、シンバルの距離があり、それぞれ高さも角度も異なります。
さらに、バスドラムペダルやハイハットペダルも入ってきます。
打面ごとにリバウンドも違いますし、大きな音量の中で冷静に叩く感覚も必要になります。
そのため、練習パッドである程度できるようになったら、必ず音楽スタジオに行って生ドラムで確認するようにしてください。
ここを飛ばしてしまうと、パッドの上だけ上手い状態で止まってしまうことがあります。
スタジオ練習や、生ドラムとの違いについては、こちらの記事も参考になります。
練習パッド+音楽スタジオが費用対効果の高い練習方法
「自宅にドラムセットがないから上達できない」と考える必要はありません。
むしろ、練習パッドと音楽スタジオをうまく使い分けることで、かなり効率よく練習できます。
理想的な流れはこうです。
自宅では、ストローク、音符、手順、リズム、フィルインなど、基礎的な練習をしっかり行う。
↓
ある程度できるようになったら、音楽スタジオを予約して生ドラムで試す。
↓
距離感、足、タム移動、シンバルなど、スタジオでしかわからない課題を見つける。
↓
その課題をまた自宅の練習パッドで反復する。
このサイクルができると、スタジオ代の節約にもつながります。
いきなりスタジオへ行って、シングルストロークを30分、16分音符を30分という基礎練習だけをするのは、少しもったいない場合もあります。
そうした土台作りは、自宅の練習パッドで十分できるからです。
つまり、基礎練習は自宅、ドラムセットでしかできない確認はスタジオという役割分担がとても大切です。
この考え方に近い記事として、こちらもおすすめです。
30分でできる練習パッドメニュー
最後に、初心者の方が今日からすぐに取り組みやすい、30分の練習メニュー例を紹介します。
もちろん、これはあくまで目安です。
その日の課題に応じて、時間配分は自由に変えて大丈夫です。
- 5分:フルストローク、ダウンストローク、タップストローク、アップストローク
- 5分:シングルストローク
- 5分:ダブルストローク
- 5分:4分音符、8分音符、3連符、16分音符
- 5分:音符と手順の組み合わせ練習
- 5分:8ビートや簡単なフィルインをドラムセットに見立てて演奏
大事なのは、長時間やることよりも、毎回テーマを持って丁寧に練習することです。
15分でも集中して積み重ねるほうが、何となく1時間叩くよりも効果が出ることはよくあります。
練習パッドについてよくある質問
練習パッドだけでもドラムは上手くなりますか?
基礎力はかなり伸ばせます。
特にストローク、手順、音符、テンポ感の練習にはとても効果的です。
ただし、ドラムセット特有の動きや距離感、足の使い方などは生ドラムで練習する必要があります。
練習パッドは毎日どれくらい練習すればいいですか?
初心者なら、まずは15分〜30分程度でも十分です。
時間の長さよりも、継続できることと集中して取り組めることのほうが大切です。
机や雑誌を叩くのではダメですか?
一時的には使えますが、適切なリバウンドや高さ、角度を作りにくいため、できれば練習パッドとスタンドを使ったほうがよいです。
長い目で見ると、そのほうが効率的に練習できます。
練習パッドでは足の練習ができませんか?
8ビートなどの練習では、床を踏んで右足のタイミングを合わせることはできます。
ただし、本格的なバスドラムペダルのテクニックや踏み心地の習得には、実際のペダル練習が必要です。
練習パッドで速く叩ければ生ドラムでも速く叩けますか?
ある程度はつながりますが、必ず同じようにできるとは限りません。
生ドラムでは打面やリバウンド、移動距離、足の動きが加わるため、最終確認は必要です。
まとめ|練習パッドは「基礎を作る場所」として非常に優秀
練習パッドしかないと、「これだけで意味があるのかな」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし実際には、練習パッドだからこそ基礎に集中できるという大きなメリットがあります。
練習の流れとしては、
ストローク
↓
音符
↓
手順
↓
リズム
↓
フィルイン
↓
生ドラムで確認
この順番で考えると、とても整理しやすくなります。
自宅でできることは自宅で徹底的に練習し、ドラムセットでしかできないことを音楽スタジオで確認する。
この考え方が、時間と費用を無駄にせず上達するコツです。
「練習パッドしかないから練習できない」ではなく、「練習パッドだからこそ、ドラムの土台をしっかり作れる」という前向きな視点で取り組んでみてください。
ドラムは、楽譜や動画を見ているだけでは分かりにくい部分がたくさんあります。
たとえば、どんな音を出せばいいのか、どのくらいの力加減で叩けばいいのか、曲に合わせるときに何を意識すればいいのかなど、実際に叩きながら覚えていくことが大切です。
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