【ドラム8要素その5】フィルインとは?ドラム初心者が曲の流れを止めずに叩くための考え方

レッスン

8ビートは少しずつ叩けるようになってきたのに、フィルインを入れた瞬間に手足が止まってしまう。

フィルインの後に、元のリズムへ戻れない。

どんなフレーズを入れればいいのか分からず、結局いつも同じフィルインになってしまう。

ドラムを練習していると、このような悩みはとてもよくあります。

フィルインというと、どうしても「派手なフレーズ」「かっこいいおかず」というイメージを持ちやすいかもしれません。

もちろん、フィルインには曲を盛り上げる役割もあります。

しかし、本来のフィルインは、ただ目立つためのものではありません。

曲の流れを自然につなぐための、音楽の中の「言葉」のようなものです。

会話でも、いきなり大きな声で難しい言葉を並べると、相手に伝わりにくくなります。

それと同じで、ドラムのフィルインも、音をたくさん詰め込めば良いわけではありません。

大切なのは、曲の流れを感じながら、ちょうどよいタイミングで、ちょうどよい長さのフレーズを入れることです。

この記事では、ドラム8要素の5つ目である「フィルイン」について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

この記事で分かることは、次の通りです。

・フィルインの基本的な役割
・短いフィルイン、長いフィルイン、ソロ的なフィルインの違い
・初心者がフィルインで止まってしまう原因
・曲の中で自然にフィルインを使うための練習方法

【画像挿入:アイキャッチ画像】
画像案:「8ビートの流れの途中に、短いフィルインが入り、また8ビートに戻る図」
白背景または薄いアイボリー背景。黒・グレーを基調に、アクセントカラーは落ち着いた青とオレンジ。初心者向けの教材風デザイン。

フィルインとは、曲の流れをつなぐ短いフレーズ

フィルインとは、基本のリズムパターンの合間に入れる短いフレーズのことです。

たとえば、8ビートを叩いている途中で、4小節目や8小節目に少し違う動きを入れることがあります。

これがフィルインです。

日本では「おかず」と呼ばれることもあります。

ただし、フィルインは単なる飾りではありません。

曲の流れを自然につないだり、次の展開へ向かう合図を出したりする大切な役割があります。

たとえば、次のような場面で使われます。

Aメロからサビへ入る前に、少し盛り上げる。

4小節目や8小節目の区切りを分かりやすくする。

曲の雰囲気を少し変える。

次の展開へ進む合図を出す。

このように、フィルインは「リズムを止めるためのもの」ではなく、「リズムの流れをつなぐためのもの」です。

会話で言えば、フィルインは一言添える言葉のようなものです。

文章で言えば、句読点や接続詞のようなものです。

映画やドラマで言えば、場面が切り替わるときの合図のようなものです。

つまり、フィルインは曲の中で「今から次に進みますよ」と伝える役割を持っています。

そのため、初心者の方が最初に意識したいのは、難しいフィルインを覚えることではありません。

まずは、曲の流れを止めずに、元のリズムへ戻れるフィルインを身につけることが大切です。

リズムそのものの考え方をまだ整理したい方には、こちらの記事も参考になります。

フィルインは「単語・文章・物語」のように考えると分かりやすい

フィルインは、言葉にたとえるととても分かりやすくなります。

短いフィルインは「単語」。

少し長めのフィルインは「文章」。

さらに長く展開していくフィルインやドラムソロは「物語」。

このように考えると、フィルインの長さや役割が整理しやすくなります。

短いフィルイン=単語

まず初心者の方におすすめなのは、1拍から2拍くらいの短いフィルインです。

これは、言葉でいうと「単語」のようなものです。

たとえば、

タカトン

タンタタ

ドンタン

このくらいの短いフレーズでも、曲の中に入ると十分に変化が出ます。

短いフィルインの良いところは、リズムの流れを止めにくいことです。

1小節まるごと難しいフレーズを入れようとすると、途中で拍を見失いやすくなります。

しかし、最後の1拍だけ、または最後の2拍だけなら、元のリズムへ戻りやすくなります。

初心者の方は、まず「短いフィルインをきれいに入れて戻る」ことを目標にするとよいです。

短くても、タイミングが合っていれば十分かっこよく聞こえます。

長めのフィルイン=文章

1小節から2小節くらいのフィルインになると、言葉でいう「文章」に近くなります。

短い単語をいくつか並べて、ひとつの流れを作るイメージです。

たとえば、スネアからタムへ移動したり、音量を少しずつ上げたり、低い音へ向かっていったりすることで、フレーズに方向性が生まれます。

サビ前や曲の大きな展開前には、このような少し長めのフィルインが使われることもあります。

ただし、長いフィルインほど大切になるのが「どこへ向かうか」です。

音をたくさん入れることだけを考えると、フレーズが散らかってしまいます。

フィルインの最後にどこへ着地するのか。

次の1拍目にどう戻るのか。

ここを意識することで、長めのフィルインも曲の中で自然に聞こえやすくなります。

ドラムソロのようなフィルイン=物語

さらに長く展開していくフィルインやドラムソロは、言葉でいうと「物語」のようなものです。

ただ音を並べるだけではなく、始まり、展開、盛り上がり、着地があります。

たとえば、AABAのように構成を作ることもできます。

最初にテーマとなるフレーズを出す。

少し形を変えて展開する。

さらに盛り上げる。

最後に元のリズムや曲の流れへ戻る。

このように、ドラムだけでひとつの流れを表現することができます。

ただし、初心者の方が最初からここを目指す必要はありません。

いきなり長いソロ的なフィルインを練習すると、拍が分からなくなったり、元のリズムへ戻れなくなったりしやすいです。

まずは短いフィルインから始めましょう。

単語が増えると、文章が作れるようになります。

文章が作れるようになると、やがて物語のような長いフレーズも作れるようになります。

フィルインも、それと同じです。

初心者がフィルインで止まってしまう主な原因

フィルインで止まってしまうのは、才能がないからではありません。

多くの場合、練習の順番や考え方に原因があります。

ここでは、初心者の方がフィルインで止まりやすい原因を整理していきます。

原因1:フィルインだけを単体で練習している

フィルインだけなら叩けるのに、曲に合わせるとできなくなる。

これはとてもよくあります。

理由は、フィルインを単体で練習しているからです。

フィルインは、単独で存在するものではありません。

必ず前後にリズムがあります。

たとえば、

8ビートを叩く。

フィルインを入れる。

また8ビートに戻る。

この流れができて、初めて曲の中で使えるフィルインになります。

フィルインだけを何度も練習することも大切ですが、それだけでは不十分です。

必ず「リズム → フィルイン → リズム」の流れで練習しましょう。

フィルインの後に元のリズムへ戻れない方は、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

原因2:カウントが止まってしまう

フィルインになると、手足の動きに意識が集中しすぎて、頭の中のカウントが止まってしまうことがあります。

ドラムでは、フィルインを叩いている間も、拍は止まりません。

1、2、3、4。

この流れは、フィルイン中もずっと進んでいます。

ところが、手順やタム移動に気を取られると、今が何拍目なのか分からなくなってしまいます。

その結果、次の1拍目に戻れなくなります。

フィルインの練習では、手足の動きだけでなく、口でカウントを言いながら練習することも大切です。

「1、2、3、4」と数えながら叩くことで、フィルインの長さや着地点が分かりやすくなります。

原因3:音を詰め込みすぎている

初心者の方ほど、フィルインをかっこよくしようとして音数を増やしすぎることがあります。

もちろん、音数の多いフィルインは迫力があります。

しかし、音を増やすほど、拍を見失いやすくなります。

また、手順も複雑になり、元のリズムへ戻るのが難しくなります。

最初は、少ない音で十分です。

4分音符だけでも、8分音符だけでも、タイミングが合っていればフィルインとして成立します。

むしろ初心者の段階では、音数を減らした方が、曲の流れに合いやすくなります。

大切なのは、たくさん叩くことではありません。

曲の中で自然に使えることです。

原因4:手順が決まっていない

フィルインで止まってしまう原因のひとつに、手順が曖昧なことがあります。

同じフレーズでも、右手から始めるのか、左手から始めるのかによって叩きやすさが変わります。

右左右左で叩くのか。

右右左左で叩くのか。

右左左で叩くのか。

このような手順が決まっていないと、演奏中に迷いやすくなります。

特にタムを使うフィルインでは、どちらの手でどの太鼓を叩くかが重要です。

音符だけを覚えるのではなく、手順もセットで整理しておきましょう。

手順の考え方を整理したい方には、こちらの記事もおすすめです。

フィルインを作る前に大切な3つの土台

フィルインは、単独のテクニックではありません。

ドラムの基礎要素が組み合わさってできています。

特に大切なのは、次の3つです。

音符を理解すること。

手順を整理すること。

リズムの流れを感じること。

この3つが整ってくると、フィルインはかなり作りやすくなります。

音符を理解する

フィルインは、音符の組み合わせで作られます。

4分音符。

8分音符。

16分音符。

3連符。

これらをどのように並べるかによって、フィルインの雰囲気が変わります。

たとえば、4分音符中心のフィルインは、ゆったりしていて分かりやすいです。

8分音符中心にすると、少し動きが出ます。

16分音符を使うと、細かくスピード感のあるフィルインになります。

3連符を使うと、跳ねた雰囲気や大きな流れを作りやすくなります。

ただし、音符の長さが曖昧なままだと、フィルインの終わり方も曖昧になります。

「どの音符を、何拍分叩いているのか」が分かるようになると、フィルインの着地点も見えやすくなります。

音符の考え方を整理したい方はこちらも参考にしてください。

手順を整理する

フィルインでは、音符だけでなく手順も大切です。

同じ音符でも、手順によって叩きやすさが大きく変わります。

たとえば、16分音符を4つ叩く場合でも、

右左 右左

右右 左左

右左 左右

など、いろいろな手順があります。

どれが正解というよりも、曲のテンポやフレーズの流れ、タム移動のしやすさによって使い分けることが大切です。

手順が整理されていると、演奏中に迷いにくくなります。

逆に、手順が毎回変わってしまうと、同じフィルインでも安定しにくくなります。

最初はシンプルに、右左交互のシングルストロークから始めるとよいです。

慣れてきたら、ダブルストロークやパラディドルなどの手順もフィルインに応用できるようになります。

リズムの流れを感じる

フィルインは、リズムの流れの中に入れるものです。

そのため、元のリズムパターンを安定して叩けることが土台になります。

たとえば、8ビートがまだ不安定な状態で難しいフィルインを入れようとすると、リズム全体が崩れやすくなります。

まずは、基本のリズムを安定させること。

そのうえで、最後の1拍だけフィルインにする。

慣れてきたら、2拍に広げる。

さらに慣れたら、1小節に広げる。

このように、少しずつ広げていくことが大切です。

フィルインは、リズムを止めるものではありません。

リズムの流れに変化を加えるものです。

この感覚がつかめてくると、フィルインが曲の中で自然に聞こえやすくなります。

初心者におすすめのフィルイン練習ステップ

ここからは、初心者の方におすすめのフィルイン練習方法を紹介します。

難しいフレーズをいきなり覚えるのではなく、段階的に練習していきましょう。

ステップ1:まずは4小節の流れで練習する

最初は、4小節の流れで練習するのがおすすめです。

たとえば、次のような形です。

1小節目:8ビート
2小節目:8ビート
3小節目:8ビート
4小節目:短いフィルイン
次の1小節目:8ビートに戻る

この練習で大切なのは、フィルインだけを切り離さないことです。

必ず、前後のリズムとセットで練習します。

フィルインを入れる前のリズム。

フィルインそのもの。

フィルインの後に戻るリズム。

この3つをひとつの流れとして練習することで、曲の中で使いやすくなります。

ステップ2:音数を少なくする

最初は、音数を少なくしましょう。

4分音符だけでも大丈夫です。

8分音符だけでも大丈夫です。

たとえば、4小節目にスネアを4回叩くだけでも、フィルインの練習になります。

大切なのは、派手さではありません。

拍を見失わずに、次の1拍目へ戻れることです。

初心者の段階では、タムをたくさん回したり、16分音符を詰め込んだりするよりも、少ない音で確実に戻る練習をした方が効果的です。

音数を減らすと、カウントを感じやすくなります。

カウントが感じられると、フィルインの後に元のリズムへ戻りやすくなります。

ステップ3:最後の1拍だけフィルインにする

次におすすめなのは、4小節目の最後の1拍だけフィルインにする練習です。

たとえば、4小節目の1拍目から3拍目までは8ビートを叩きます。

そして、4拍目だけ「タカトン」のような短いフィルインを入れます。

次の小節の1拍目で、また8ビートに戻ります。

この練習は、初心者にとてもおすすめです。

なぜなら、フィルインが短いので、元のリズムへ戻りやすいからです。

長いフィルインで崩れてしまう方は、まず最後の1拍だけから始めてみてください。

短いフィルインでも、曲の中では十分に効果があります。

ステップ4:1小節フィルインに広げる

最後の1拍だけのフィルインに慣れてきたら、少しずつ長さを広げていきます。

次は、4小節目全体をフィルインにしてみましょう。

ただし、ここでも大切なのは、次の1拍目に戻ることです。

1小節のフィルインを叩くときは、最後の音だけでなく、次の小節の頭までセットで考えます。

たとえば、次の1拍目でクラッシュシンバルを叩く。

次の1拍目でバスドラムを入れる。

次の1拍目から元の8ビートに戻る。

このように、着地点を決めておくと、フィルイン全体がまとまりやすくなります。

フィルインは、終わり方がとても大切です。

どれだけ途中がかっこよくても、最後に戻れなければ曲の流れが止まってしまいます。

ステップ5:曲に合わせて使う

フィルインは、最終的には曲の中で使えることが大切です。

メトロノームに合わせて練習することも大切ですが、それだけでは曲の流れまでは身につきにくいことがあります。

慣れてきたら、実際の曲に合わせてフィルインを入れてみましょう。

最初は、曲のすべてにフィルインを入れる必要はありません。

4小節に1回だけ。

8小節に1回だけ。

サビ前だけ。

このように、入れる場所を決めて練習するとよいです。

曲に合わせることで、フィルインがただの練習フレーズではなく、音楽の流れの中にあるものだと感じやすくなります。

8ビートの基本がまだ不安な方は、先にこちらで土台を整えておくとフィルインも入れやすくなります。

初心者が最初に練習する順番はこちらの記事でも詳しく解説しています。

フィルインをかっこよくするより先に「戻れること」を大切にする

フィルインを練習していると、どうしても「もっとかっこいいフレーズを叩きたい」と思うことがあります。

その気持ちはとても自然です。

ドラムのフィルインは、叩いていて楽しい部分でもあります。

しかし、初心者の方が最初に大切にしたいのは、派手さではありません。

フィルインの後に、元のリズムへ戻れることです。

戻れないフィルインは、曲の流れを止めてしまいます。

反対に、短くても、タイミングよく入って、きれいに戻れるフィルインはとても音楽的に聞こえます。

たとえば、最後の1拍だけの短いフィルインでも、サビ前にぴったり入れば曲をしっかり盛り上げることができます。

大切なのは、「叩けるフレーズ」を増やすことだけではありません。

「曲の中で使えるフレーズ」を増やすことです。

家でゆっくり練習しているときに叩けるフレーズと、曲の中で安定して使えるフレーズは少し違います。

本当に身につけたいのは、曲の流れの中で使えるフィルインです。

そのためには、必ず前後のリズムとセットで練習しましょう。

曲に合わせると崩れてしまう方はこちらの記事も参考になります。

フィルインはドラム8要素の中でどう位置づけられるか

フィルインは、ドラム8要素の中でも、いくつかの基礎を組み合わせて使う要素です。

ストロークが音の土台になります。

音符がフレーズの長さを決めます。

手順が動きを整理します。

リズムが曲の流れを作ります。

そしてフィルインは、その流れに変化を加える役割を持っています。

つまり、フィルインだけを単独で考えるのではなく、これまでの要素とつながっているものとして考えることが大切です。

ストロークが不安定だと、フィルインの音もバラつきやすくなります。

音符が曖昧だと、フィルインの長さが分からなくなります。

手順が決まっていないと、途中で迷いやすくなります。

リズムの流れが感じられないと、元のビートへ戻りにくくなります。

このように、フィルインは基礎の積み重ねの上に成り立っています。

そして、フィルインが自然に使えるようになると、次の要素である「グルーヴ」にもつながっていきます。

ただ音を入れるだけではなく、曲の流れやノリの中でフィルインを使えるようになると、演奏全体がより音楽的になります。

ドラム8要素の全体像はこちらで整理しています。

ストロークの基礎はこちら。

フィルインの次に大切になるグルーヴについてはこちら。

まとめ:フィルインは、曲に言葉を添えるように叩く

フィルインは、リズムの流れを止めるものではありません。

曲の流れを自然につなぎ、次の展開へ向かうための大切なフレーズです。

短いフィルインは、言葉でいう「単語」のようなものです。

長めのフィルインは「文章」のようなものです。

ドラムソロのように展開していくフィルインは「物語」のようなものです。

初心者の方は、まず短いフィルインから始めましょう。

最初から長くて難しいフレーズを叩こうとしなくても大丈夫です。

最後の1拍だけ。

最後の2拍だけ。

まずはそのくらいの短いフィルインを、元のリズムに戻れる形で練習することが大切です。

また、フィルインだけを単体で練習するのではなく、必ず前後のリズムとセットで練習しましょう。

8ビートを叩く。

フィルインを入れる。

また8ビートに戻る。

この流れを繰り返すことで、フィルインは曲の中で使いやすくなります。

派手さよりも、戻れること。

音数よりも、流れを止めないこと。

この意識を持つだけで、フィルインはかなり安定しやすくなります。

フィルインが使えるようになると、ただリズムを叩くだけでなく、曲の流れを自分で表現できるようになります。

それは、ドラムの楽しさが一段深くなる瞬間でもあります。

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