「基礎を大切にしましょう」
ドラムを習っていると、この言葉を何度も耳にすると思います。
でも、正直に言うと、基礎練習は少し地味に感じることがあります。
「早く曲を叩きたい」
「もっとかっこいいフレーズをやりたい」
「難しいテクニックを覚えたい」
そう思うのは、とても自然なことです。
私自身も、ドラムを始めた頃は、できるだけ早く曲を叩けるようになりたいと思っていました。
好きな曲を叩けるようになることは、ドラムの大きな楽しさのひとつです。
ただ、長くドラムを続けてきて思うのは、やはり基礎は遠回りではないということです。
むしろ基礎は、応用へ進むための一番確実な道です。
これはドラムだけではありません。
スポーツでも、勉強でも、楽器でも、そして人生そのものでも、基礎は必ず必要になります。
今回は、ドラムの基礎練習の大切さを、少し人生の話とも重ねながら書いてみたいと思います。
基礎は、どんな学びにも必ず必要になる
「基礎が大切」という言葉は、ドラムだけに当てはまるものではありません。
たとえばサッカーなら、ドリブル、パス、シュートが基礎になります。
いきなり高度な戦術や華やかなプレーを覚えようとしても、ボールを止める、蹴る、運ぶという基本ができていなければ、試合の中ではうまく使えません。
英語なら、アルファベットや文法が基礎になります。
単語の読み方や文章の作り方が分からないまま、長い英文を読もうとしても、途中で分からなくなってしまいます。
算数なら、数字、足し算、引き算、掛け算、割り算が基礎です。
これらが分からなければ、文章問題や図形、割合、方程式などの応用問題には進めません。
このように考えると、基礎は退屈なものではなく、あとで自由になるための土台だと言えます。
最初は地味に感じても、基礎があるからこそ、あとから応用ができるようになります。
ドラムもまったく同じです。
ドラムにおける基礎とは何か
ドラムの基礎というと、8ビートを思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん8ビートは、とても大切な基本リズムです。
ただ、ドラムの基礎はそれだけではありません。
ドラムには、いくつもの土台があります。
たとえば、
ストローク。
音符。
手順。
リズムパターン。
フィルイン。
グルーヴ。
テクニック。
楽曲スタイル。
こうした要素が積み重なって、初めて曲の中で自然に演奏できるようになります。
基礎が弱いまま曲に進むと、途中でいろいろな問題が出てきます。
テンポが崩れる。
フィルインで止まる。
速いフレーズで力む。
バスドラムが走る。
音が全部同じ大きさになる。
曲の流れにうまく乗れない。
こうした悩みは、実はフレーズそのものが難しいというより、元をたどると基礎に原因があることが多いです。
逆に、基礎が整ってくると、応用フレーズや曲の仕組みが理解しやすくなります。
「このフィルインは16分音符でできているんだな」
「このフレーズは右手と左手の手順がポイントなんだな」
「ここで走るのは、足のタイミングが前に出ているからだな」
というように、できない理由を整理できるようになります。

ドラム8要素は、すべてのフレーズの土台になる
ドラムの上達を考える時、私は「8つの要素」に分けて考えると分かりやすいと思っています。
ストロークは、音の出し方です。
どの高さから叩くのか、どのようにリバウンドを使うのか、強い音と弱い音をどう分けるのかに関係します。
音符は、音を置くタイミングです。
4分音符、8分音符、16分音符、3連符などを理解することで、リズムの位置が見えやすくなります。
手順は、左右の流れです。
同じ音符でも、右手から始めるのか、左手をどう使うのかで、叩きやすさや音の流れが変わります。
リズムパターンは、曲を支える土台です。
8ビート、16ビート、シャッフル、ディスコビートなど、曲の雰囲気を作る重要な部分です。
フィルインは、次の展開へつなぐ役割があります。
ただ音をたくさん入れるものではなく、曲の流れを自然につなぐための表現です。
グルーヴは、音楽の流れやノリです。
同じ譜面を叩いても、グルーヴがあるかどうかで聞こえ方は大きく変わります。
テクニックは、体の使い方です。
速く叩く、楽に叩く、長く演奏しても疲れにくくするために必要になります。
楽曲スタイルは、ジャンルごとの表現です。
ロック、ポップス、ジャズ、ファンク、ラテンなど、それぞれに合ったリズムや音の出し方があります。
これらはバラバラではありません。
すべてつながっています。
ストロークの基礎について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
音符の理解も、リズムを安定させるための大切な基礎です。
基礎があるから、応用へ進める
基礎と応用は、別々のものではありません。
応用は、基礎の組み合わせでできています。
かっこいいフィルインも、分解してみると音符と手順でできています。
速いフレーズも、ストロークや脱力、スティックコントロールが関係しています。
難しそうなリズムパターンも、拍の感じ方や音符の理解に戻ることが多いです。
つまり、応用フレーズを練習していてうまくいかない時は、もう一度基礎に戻ることが大切です。
これは後退ではありません。
むしろ、上達するための確認作業です。
基礎をやっている時は、地味に感じるかもしれません。
同じ音を何度も叩いたり、ゆっくりメトロノームに合わせたり、音符を声に出して数えたりする練習は、すぐに派手な成果が見えにくいです。
でも、後から必ず効いてきます。
曲を叩いていてテンポが安定する。
フィルインに入っても戻ってこられる。
速いフレーズでも力まなくなる。
音に強弱がついて、演奏が立体的になる。
そうした変化は、基礎の積み重ねから生まれます。
人間の成長も、基礎から始まっている
基礎から応用へ進むという流れは、人間の成長にも似ていると思います。
赤ちゃんは、いきなり走ることはできません。
まず寝返りをします。
座れるようになります。
つかまり立ちをします。
歩くことを覚えます。
そして、転びます。
転んで痛みを知ります。
椅子に登ったり、降りたりしながら、体の使い方を覚えていきます。
危ないことを経験しながら、少しずつ自分の身を守る感覚も育っていきます。
幼少期の生活の中で、生命力や生活力が磨かれていくのだと思います。
その上で、小学校や中学校へ進み、知識を取り入れていきます。
社会に出て、さらにいろいろな経験をしていきます。
人間も、いきなり応用から始まるわけではありません。
生きるための基礎。
生活するための基礎。
人と関わるための基礎。
感情を知るための基礎。
そうしたものが積み重なって、少しずつ人生を進んでいくのだと思います。
人生における基礎は、生命力・生活力・心
人生においても、基礎があると感じます。
私が思う順番としては、まず第一に生命力や生活力です。
食べる。
寝る。
体を動かす。
自分の身を守る。
生活を整える。
こうしたことは、とても基本的ですが、人が生きていく上で欠かせないものです。
次に、感情や心の部分があります。
うれしい。
悲しい。
悔しい。
楽しい。
怖い。
好き。
嫌だ。
こうした感情は、人間にとってとても大切なものです。
その上に、知識、理屈、理性があるのだと思います。
もちろん、知識や理性は大切です。
考える力も必要ですし、社会の中で生きていくためには、理屈で判断することも必要です。
ただ、現代では、理屈や効率が重視されすぎて、生命力や生活力、感情や心の部分が置き去りになることがあるように感じます。
「正しいかどうか」
「効率がいいかどうか」
「損か得か」
「人からどう見られるか」
そういったことばかりを考えていると、自分の心が何を感じているのか分からなくなることがあります。
でも、人間にとって心はとても大切です。
心は、自分がどの方向へ進めばよいのかを教えてくれるものだと思います。
心の中の小さな声を信じること
私の好きな曲に、Hi-STANDARDの「The Sound Of Secret Minds」という曲があります。
Listen, the sound of secret minds
聴いてごらん、心の奥にある秘密の音をA tiny voice inside your heart
君の心の中にある小さな声をA precious thing you should believe
君が信じるべき、大切なものをThis is pure and true
それは純粋で、本物なんだ
この曲には、心の中にある小さな声や、自分の中にある大切なものを信じるようなメッセージを感じます。
私はこの曲を聴くと、理屈では説明できない大切な感覚を思い出します。
音楽には、そういう力があります。
言葉ではうまく説明できない感情。
忘れていた気持ち。
自分の奥にある小さな声。
そういったものを、ふっと思い出させてくれることがあります。
ドラムも、技術だけの楽器ではありません。
もちろん、ストロークや音符やリズムの理解は大切です。
でも、それだけではなく、心ともつながっている楽器だと思います。
どれだけ理屈で正しいことをしていても、心が置き去りになると、演奏もどこか苦しくなります。
逆に、心が動いている時の演奏には、その人らしさが出ます。
だからこそ、自分の心がどちらへ向かいたいのかを感じることも大切だと思います。
人生の道しるべは心がすべて教えてくれる気がするのです。
心の向く方へ進むと決めた後、理性や知識でどのように進んでいくのかを考えるのです。
心が先で、理性は後になります。
ドラムの基礎練習も、心を整える時間になる
基礎練習は、単なる反復ではありません。
ゆっくりストロークを確認する。
音符を声に出して数える。
メトロノームに合わせて叩く。
同じリズムを何度も繰り返す。
こうした練習は、技術を身につけるためのものですが、同時に自分の体や心の状態に気づく時間にもなります。
力んでいる時は、音も硬くなります。
焦っている時は、テンポが前に行きやすくなります。
気持ちが乱れている時は、リズムも不安定になりやすいです。
逆に、呼吸が落ち着いていて、体の力が抜けている時は、音も自然になりやすいです。
基礎練習をしていると、自分の状態が音に出ます。
だからこそ、基礎練習は自分を整える時間にもなるのだと思います。
ドラムは、体を使って音を出す楽器です。
そして、体の状態には心の状態も表れます。
基礎を丁寧に練習することは、技術だけでなく、自分自身と向き合う時間にもなります。
基礎を大切にする人は、長く伸びていく
基礎を大切にする人は、最初は地味に見えるかもしれません。
すぐに派手なフレーズを叩く人の方が、上手に見えることもあります。
でも、長く続けていくと、基礎を丁寧に積み重ねている人は強いです。
なぜなら、応用が効くからです。
曲だけを丸暗記していると、その曲は叩けても、少し変わったパターンになると対応しにくくなります。
でも、基礎を理解している人は、違う曲や違うフレーズにも応用できます。
「これは8分音符のリズムだな」
「ここは16分音符のフィルインだな」
「このパターンは手順を変えると叩きやすいな」
「このフレーズは力を抜かないと速くならないな」
というように、自分で考えられるようになります。
基礎は、自由を奪うものではありません。
むしろ、自由に演奏するための土台です。
そして、それは人生でも同じかもしれません。
生命力や生活力。
感情や心。
知識や理性。
それぞれを置き去りにせず、少しずつ積み上げていくことが大切なのだと思います。
関連する練習記事
ドラム初心者の方が、まずどのように練習を進めればよいか知りたい方はこちらも参考になります。
16ビートや細かい音符へ進みたい方は、こちらの記事もおすすめです。
まとめ
基礎は、どんな学びにも必要な土台です。
サッカーには、ドリブル、パス、シュートがあります。
英語には、アルファベットや文法があります。
算数には、数字や足し算、引き算、掛け算、割り算があります。
それらがあるから、応用へ進めます。
ドラムも同じです。
ストローク、音符、手順、リズム、フィルイン、グルーヴ、テクニック、楽曲スタイル。
こうした基礎が積み重なって、応用フレーズや楽曲演奏につながります。
そして、人間の成長も基礎から始まっています。
生命力や生活力。
感情や心。
知識や理性。
知識や理性も大切ですが、心を置き去りにしないことも大切です。
心の中の小さな声は、自分の進む方向を教えてくれるものだと思います。
ドラムの基礎練習も、技術だけでなく心を整える時間になります。
基礎を大切にする人は、長く伸びていきます。
焦らず、比べすぎず、自分の土台を少しずつ積み上げていきましょう。
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ストローク、音符、リズム、フィルインなどは、実際に音を出しながら確認すると理解しやすくなります。
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