ドラムを始めたばかりの方や、独学で練習している方の中には、こんなお悩みを持っている方がとても多いです。
「練習しているのに、なかなか安定しない」
「ゆっくりだと叩けるのに、少し速くすると一気に崩れる」
「メトロノームを使うと急にできなくなる」
「何からどういう順番で練習すればいいのかわからない」
これは、才能がないからでも、センスがないからでもありません。
多くの場合は、練習の“順番”が少し違っているだけです。
ドラムは、ただ回数をこなせば上達する楽器ではありません。
どの段階で何を意識し、どの順番で体に入れていくかによって、上達のスピードも安定感も大きく変わります。
特に初心者のうちは、焦ってテンポを上げたり、できていない状態のまま何度も繰り返したりすると、間違った動きや雑なリズム感がそのまま体に染みついてしまいます。
だからこそ、最初の段階で「正しい順番」を知っておくことがとても大切です。
今回は、ドラム初心者が遠回りしないために、どのような流れで練習していけばよいのかを、順番にわかりやすく解説していきます。
練習の全体像については、こちらの記事もあわせて読むと理解しやすくなります。
ドラム練習は「順番」を間違えると上達しにくくなる
ドラムの練習でよくある失敗は、まだ動きが固まっていないうちに、すぐテンポを上げてしまうことです。
気持ちはとてもよくわかります。
ゆっくり練習というのは、正直あまり気持ちよくありません。
普段聴いている曲はもっと速いですし、自分としても早くそれっぽく叩きたくなります。
特にテンポ感に慣れている人ほど、遅いテンポでじっくり確認する作業にイライラしやすいものです。
ですが、ここで焦ってしまうと、フォーム、手順、ストローク、音価、タイミングのズレを見直す時間がなくなってしまいます。
その結果、「なんとなく叩けているようで、実は崩れやすい状態」のまま進んでしまうのです。
ドラムの上達は、家を建てることによく似ています。
土台が不安定なまま上に積み上げていくと、あるところで必ず崩れます。
逆に、土台がしっかりしていれば、その上に速さや応用を積み上げても壊れにくくなります。
上達には段階があります。
この「段階を飛ばさない」という考え方は、ドラム全体の学習にも共通しています。
まず最初はメトロノームなしで、かなりゆっくり確認する
ドラムの練習の最初の段階で大切なのは、メトロノームを使うことではありません。
まずは、手順やストロークを確認しながら、自分の感覚だけでかなりゆっくり叩くことです。
ここで大事なのは、「叩けること」ではなく「考えながら確認できること」です。
たとえば8ビートでもフィルインでも、最初からテンポに合わせようとすると、どうしても“間に合わせること”が優先になってしまいます。
すると、右手と左手の順番が曖昧なままになったり、足のタイミングをごまかしたり、力んだまま叩いてしまったりしやすくなります。
一方で、メトロノームなしでかなりゆっくり叩くと、
「次はどの手か」
「スティックはどう動いているか」
「今、無理な力が入っていないか」
「音の長さは揃っているか」
ということを、一つひとつ確認しながら進めることができます。
この段階は、いわば“設計図を頭と体に入れる時間”です。
まだリズムの完成度を求める段階ではなく、まずは動きの内容を理解し、正しい形を覚える段階だと考えてください。
初心者の方が最初に何から練習すればよいかについては、こちらの記事も参考になります。
ゆっくり練習でイライラしても、テンポを上げない方がいい理由
ここで多くの方がつまずくのが、「遅すぎて逆にやりにくい」という感覚です。
確かに、ゆっくりなテンポはごまかしが効きません。
音と音の間が長くなるぶん、自分の動きの雑さや迷いがそのまま表に出ます。
だからこそ、人はついテンポを上げたくなります。
ですが、それは“できるようになった”のではなく、“見えなくなっただけ”のことがとても多いです。
テンポを上げると、細かいズレや無駄な動きは一時的に感じにくくなります。
しかし、見えなくなった問題は消えたわけではありません。
むしろ、その状態で反復すると、問題のある動きがそのまま癖として固定されやすくなります。
ゆっくり練習が大事なのは、丁寧だからではありません。
“体に正しい情報を入れるために必要”だからです。
次にメトロノームを使って、BPM40〜50の超低速で練習する
手順や動きがある程度わかってきたら、次はメトロノームを使って練習します。
ここでのポイントは、最初から普通のテンポでやらないことです。
目安としては、BPM40〜50程度のかなり遅いテンポがおすすめです。
このくらい遅いテンポになると、音と音の間に十分な余白ができます。
その余白があることで、自分のタイミングが前に走っているのか、後ろに遅れているのか、音が短すぎるのか長すぎるのか、粒が揃っているのかどうかがよく見えてきます。
メトロノームを使う意味は、ただテンポキープの練習をすることではありません。
自分の感覚だけでは気づけなかったズレや甘さを、外から照らしてくれる“基準”を作ることです。
メトロノーム練習が苦手な方ほど、最初から速めのテンポで合わせようとしてしまいがちです。
でも本当に大切なのは、遅いテンポでしっかり合うことです。
メトロノームとの向き合い方については、こちらの記事もあわせておすすめです。
なぜBPM40〜50くらいの遅さが必要なのか
このくらい遅いテンポで練習する理由は、単に慎重になるためではありません。
テンポが遅いと、一打一打の前に「準備」が必要になります。
つまり、次の音に対して体をどう使うのか、どこで力を抜くのか、どのタイミングで入るのかを、自分でコントロールしなければならなくなります。
逆にテンポが速いと、流れで叩けてしまう部分が増えます。
一見うまくいっているようでも、実際には惰性で動いているだけということが少なくありません。
BPM40〜50という超低速の練習では、惰性が使えません。
だからこそ、本当に理解しているか、本当にコントロールできているかがはっきり出ます。
たとえば16分音符が不安定な方は、遅いテンポにしたときに粒のムラや詰まりがよく見えてきます。
そういった意味でも、超低速練習は非常に重要です。
遅いテンポで繰り返し体に馴染ませるから、速くしても壊れにくくなる
メトロノームに合わせて遅いテンポで叩けるようになってきたら、その状態を何度も繰り返して体に馴染ませていきます。
ここで大事なのは、「一回できたから次へ行く」ではなく、「安定して再現できる状態にする」ことです。
ドラムは頭で理解するだけでは足りません。
最終的には、正しい動きとタイミングが体に自然に入っている必要があります。
そのためには、低速での正しい反復が欠かせません。
この過程を飛ばしてしまうと、テンポを少し上げただけで、
・手足の順番がズレる
・フォームが崩れる
・余計な力が入る
・リズムが走る
・音の粒がバラつく
といったことが起こりやすくなります。
逆に、遅いテンポでしっかり反復しておけば、テンポを上げても動きの芯が残ります。
だから壊れにくいのです。
走ってしまう、前のめりになる、急ぐと雑になるという方は、速さの問題ではなく、その前段階の定着が浅い場合が多いです。
慣れてきたら、少しずつテンポを上げていく
低速で安定してきたら、ようやくテンポを上げていきます。
ただし、ここでも大切なのは「一気に上げない」ことです。
テンポアップは、挑戦ではなく確認の延長であるべきです。
たとえばBPM50で安定しているなら、次は55、次は60というように、少しずつ上げていくのが基本です。
ここでの判断基準は、「そのテンポで叩けたかどうか」だけではありません。
次のような状態が保てているかを確認してください。
・力みすぎていないか
・ストロークが小さく雑になっていないか
・粒が揃っているか
・音符の並びが崩れていないか
・焦って前に走っていないか
・叩いたあとに自分で気持ち悪さを感じないか
このあたりが崩れるなら、まだそのテンポは早すぎます。
大切なのは、速く叩くことではなく、崩れずに再現できることです。
テンポを上げる前に「どの状態」になっていればよいのか
テンポを上げる前の目安としては、少なくとも以下の状態になっていることが理想です。
まず、手順を考え込まなくても進められること。
次に、音のタイミングが毎回大きくズレないこと。
さらに、無理な力みが少なく、フォームが大きく崩れないこと。
そして何回か繰り返しても再現性があることです。
一度だけ成功した状態では、まだ不十分です。
毎回ある程度同じ質でできることが大切です。
「上げてみたら崩れた」なら、それは失敗ではありません。
まだ土台を固める段階だとわかった、ということです。
その場合は、恥ずかしがらずにまたテンポを戻してください。
戻ることは後退ではなく、上達のための正しい判断です。
速くすることよりも、崩れないことの方が大切です
初心者の方ほど、「速く叩ける=上達」と考えやすいです。
もちろん速さも一つの要素ではありますが、ドラムにおいて本当に大事なのは、安定して気持ちよく叩けることです。
どれだけ速く叩けても、音が荒い、タイミングが雑、ノリがない、すぐ崩れるという状態では、音楽の中ではあまり活かせません。
逆に、派手ではなくても、安定していて気持ちよく流れるリズムはとても価値があります。
特に初心者の段階では、「速くする練習」よりも「崩れない練習」に時間を使った方が、結果的には上達が早くなります。
叩けるようになってきたら、音の粒・グルーヴ感・ノリを意識する
ある程度リズムが叩けるようになってきたら、次の段階では「ただ音符を並べるだけ」から卒業していく必要があります。
ここから大事になってくるのが、
・音の粒
・グルーヴ感
・ノリ
・音色
・アクセントの感じ方
といった要素です。
同じ8ビートでも、ただ順番通りに叩いているだけでは、音楽としては少し平らに聞こえます。
一方で、粒が揃っていて、まとまりがあり、気持ちよく流れているリズムは、同じパターンでも一気に音楽らしくなります。
ここで意識してほしいのは、「正解の形をなぞる」ことよりも、「自分の出している音をよく聴く」ことです。
今のハイハットは揃っているか。
スネアは気持ちよく入っているか。
キックは浅くならずに支えられているか。
全体として流れがあるか。
こうしたことに耳を向けることで、ただの作業だった練習が、だんだん音楽の練習に変わっていきます。
グルーヴについては、こちらの記事も参考になります。
リズムは生き物です
ドラムのリズムは、単なる音符の羅列ではありません。
同じ譜面でも、叩く人によって気持ちよく聞こえたり、硬く聞こえたり、前に進む感じがしたり、重たく感じたりします。
つまり、リズムは生き物です。
だからこそ、練習するときは「合っているかどうか」だけでなく、
「気持ちいいか」
「ノっているか」
「かっこよく感じるか」
という感覚も大切にしてください。
もちろん最初からそれを完璧にやる必要はありません。
ただ、ある程度叩けるようになってきたら、機械的に繰り返すだけでなく、自分の音を聴いて、少しずつ音楽的な良さを育てていくことがとても重要です。
リズムそのものの感じ方を深めたい方は、こちらもおすすめです。
次は音源やベースに合わせて「音楽の中で叩く」
個人練習だけである程度叩けるようになってきたら、次は音源や曲に合わせて練習していきます。
ここで初めて、リズムが“音楽の中でどう機能するか”が見えてきます。
一人で叩いていると、ある程度できているように感じることがあります。
でも実際に音源に合わせると、意外と前に走っていたり、逆に置いていかれたり、スネアの位置がしっくりこなかったりします。
また、曲に合わせることで、
・どの音を立てるべきか
・どのくらいの音量が合うのか
・どこに流れを作るのか
・どのくらいタメると気持ちいいのか
といった、音楽の中でしか育たない感覚も身についてきます。
単体練習はとても大切ですが、それだけでは完成しません。
リズムは最終的に“曲の中で機能すること”が大事だからです。
初心者がどのくらいで曲に合わせられるようになるのか気になる方は、こちらも参考になると思います。
最後は人と一緒に演奏することで、本当のアンサンブル力が育つ
そして最終的には、バンドやセッションなどで、実際に他の楽器と一緒に演奏する段階があります。
ここでは、クリックや音源に合わせる練習では得られない力が育ちます。
たとえば、相手の呼吸を感じること。
少し前に来るベースにどう合わせるか。
歌の勢いにどう反応するか。
ギターのニュアンスに対して、自分の音量やノリをどう調整するか。
こういったことは、人と一緒に演奏する中でしか学びにくい部分です。
ドラムは一人でも練習できる楽器ですが、最終的には“合わせる楽器”です。
だからこそ、個人練習の最後は必ずアンサンブルにつながっていきます。
ここまでの流れをまとめると、
最初はメトロノームなしで、かなりゆっくり動きと手順を確認する。
次に、メトロノームを使ってBPM40〜50程度の超低速で合わせる。
そこで正しい動きとタイミングを反復し、体に馴染ませる。
慣れたら少しずつテンポを上げる。
そのうえで、粒やノリ、音色を意識する。
さらに音源や曲に合わせる。
最後に人と一緒に演奏する。
これが、初心者が遠回りせずに進むための、非常に自然で一般的な上達の流れです。
まとめ|ドラムは「ゆっくり→正確に→音楽的に」の順番で育てる
ドラムの練習では、早く叩けることよりも、正しく積み上げることの方がはるかに大切です。
最初は、メトロノームなしでかなりゆっくり確認する。
次に、メトロノームを使って超低速でズレを整える。
それを繰り返して体に馴染ませてから、少しずつテンポを上げていく。
そして、叩けるようになってきたら、音の粒、グループ感、ノリ、音楽との一体感へと進んでいく。
この順番を守るだけで、練習の質はかなり変わります。
逆に、この順番を飛ばしてしまうと、いつまでも「なんとなくできない」「速くなると崩れる」という状態から抜け出しにくくなります。
焦らず、飛ばさず、一つずつ積み上げていくこと。
それが、結果的にはいちばん早く上達する道です。
船橋でドラムを基礎から丁寧に学びたい方へ
独学で練習していると、
「今の順番で合っているのかな」
「テンポを上げるタイミングがわからない」
「自分ではできているつもりでも、本当に合っているのかわからない」
と感じることがよくあります。
そういうときは、誰かに見てもらいながら、今の段階に合った順番で整理して練習していくことで、一気にわかりやすくなることがあります。
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独学で頑張っている方ほど、正しい順番が見えるだけで練習はかなり変わります。
焦らず、でも着実に、気持ちよく叩けるドラムを一緒に作っていきましょう。
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