ドラムを叩いていると、
「音が全部同じ大きさになってしまう」
「アクセントをつけようとすると力んでしまう」
「弱い音を出そうとするとリズムが不安定になる」
「速くなるとスティックが暴れてしまう」
という悩みが出てくることがあります。
これは、単に筋力が足りないからではありません。
多くの場合、ストロークの使い分けがまだ整理できていないことが原因です。
ストロークとは、簡単に言うとスティックを振り上げて、振り下ろす動作のことです。
ただし、ドラムにおけるストロークは「叩く動き」だけではありません。
スティックをどの高さから振るのか、叩いたあとどこで止めるのか、リバウンドをどのように使うのかによって、音量やアクセント、グルーヴ、スピードが大きく変わります。
特に初心者の方がまず意識したいのは、ダウンストロークとタップストロークの2つです。
この2つを理解すると、強い音と弱い音を分けやすくなり、ドラムの音に立体感が出てきます。

ストロークとは?ドラムの音を作る基本動作
ストロークとは、スティックを振り上げて振り下ろす動作のことです。
たとえばスネアを1回叩く場合でも、スティックを高い位置から振り下ろすのか、低い位置から小さく叩くのかで、音の大きさや雰囲気は変わります。
同じスネアを叩いていても、ストロークが変わると音の表情が変わります。
高い位置から叩けば、大きくはっきりした音が出やすくなります。
低い位置から叩けば、小さく軽い音が出しやすくなります。
つまり、ストロークは単なる「手の動き」ではなく、音色や音量をコントロールするための土台です。
ドラムでは、ただ音を出せればよいわけではありません。
大きい音。
小さい音。
アクセント。
ゴーストノート。
なめらかなフィルイン。
安定した8ビートや16ビート。
これらはすべて、ストロークのコントロールと関係しています。
特に初心者のうちは、「強く叩く=力を入れる」と考えやすいです。
しかし、実際には力だけで音量を作ろうとすると、腕や肩が固まりやすくなります。
大切なのは、力任せに叩くことではなく、スティックの高さ・振り下ろすスピード・止める位置・リバウンドの使い方を整えることです。
この基本が分かってくると、音が安定し、リズムも崩れにくくなっていきます。
初心者がまず覚えるべき2つのストローク
ドラムのストロークには、よく次の4種類があります。
- フルストローク
- ダウンストローク
- タップストローク
- アップストローク
この4つはどれも大切です。
ただし、初心者の方が最初から4つすべてを細かく意識しようとすると、少し難しく感じるかもしれません。
そこで、まず大切にしたいのが、ダウンストロークとタップストロークです。
なぜこの2つから始めるのかというと、ドラムの演奏ではまず、
強い音
弱い音
を分けることが大切だからです。
ダウンストロークは、強い音やアクセントを作るために使います。
タップストロークは、弱い音やリズムをつなぐ音を作るために使います。
この2つを使い分けられるようになると、音が全部同じ大きさになる状態から抜け出しやすくなります。

ダウンストロークとは?アクセントを作る打ち方
ダウンストロークとは、叩いたあとにスティックを低い位置で止めるストロークです。
高い位置からスティックを振り下ろし、音を出したあと、スティックを上まで戻さずに低い位置で止めます。
イメージとしては、
高い位置から叩く ↓ 大きな音が出る ↓ 打面から5cmくらいの低い位置で止める
という流れです。
このストロークは、アクセントを作る時に使います。
アクセントとは、周りの音よりも強く目立たせる音のことです。
ドラムでは、スネアの2拍目・4拍目、フィルインの入り口、フレーズの中で強調したい音などにアクセントをつけます。
ただし、ここで注意したいのは、ダウンストロークは力で押さえつけるストロークではないということです。
叩いたあとにスティックを低い位置で止めると言っても、打面に押しつけてリバウンドを完全につぶすわけではありません。
リバウンドを感じながら、次の弱い音を叩きやすい位置でコントロールする感覚です。
アクセントを強く出そうとすると、腕や肩まで力んでしまう方がいます。
しかし、強い音は「力み」ではなく、スティックの高さと振り下ろすスピードで作る方が安定します。
ダウンストロークを身につけると、強い音を出したあとに次の弱い音へつなげやすくなります。

タップストロークとは?弱い音を安定させる打ち方
タップストロークとは、低い位置から低い位置へ小さく叩くストロークです。
スティックを大きく振り上げず、打面から3〜5cmくらいの低い位置で小さく動かします。
タップストロークは、主に弱い音に使います。
たとえば、
- ノーアクセントの音
- ゴーストノート
- 16ビートの細かい音
- リズムをつなぐ小さな音
- フィルインの中の弱い音
などです。
ドラムでは、大きな音だけが大切なのではありません。
小さな音が安定しているからこそ、アクセントが引き立ちます。
全部の音が大きいと、リズムは平坦に聞こえやすくなります。
逆に、小さな音をきれいにコントロールできると、リズムに立体感が出ます。
タップストロークで大事なのは、小さく叩こうとして手を固めないことです。
小さい音を出そうとすると、手首や指に力が入りすぎてしまうことがあります。
すると、リバウンドが使えず、リズムも不安定になりやすいです。
低い位置でリラックスしながら、小さく一定に叩く。
これがタップストロークの基本です。

強い音と弱い音を分けると、グルーヴが生まれる
ドラムのリズムは、音の並びだけでできているわけではありません。
同じリズムでも、強い音と弱い音の差があるかどうかで、聞こえ方は大きく変わります。
たとえば、すべての音を同じ大きさで叩くと、リズムが平坦に聞こえやすくなります。
一方で、アクセントとノーアクセントの差があると、リズムに立体感が出ます。
この強弱の差を作るために役立つのが、ダウンストロークとタップストロークです。
ダウンストロークでアクセントを作る。
タップストロークで小さい音を安定させる。
この組み合わせができると、8ビートや16ビートのノリが変わってきます。
たとえば16ビートでは、ゴーストノートのような小さい音がグルーヴを作ることがあります。
シャッフルでは、アクセントと小さい音の流れが跳ねる感じにつながります。
フィルインでも、全部を同じ音量で叩くより、強弱をつけた方が自然に聞こえます。
つまり、ストロークは単なる基礎練習ではなく、音楽的な表現につながる技術です。

なぜ最初はダウンとタップだけでよいのか?
フルストロークとアップストロークも、もちろん大切です。
ただし、最初から4つすべてを別々の動きとして覚えようとすると、混乱しやすいです。
初心者のうちは、まずはシンプルに考えましょう。
強い音はダウンストローク
弱い音はタップストローク
これだけでも、かなり練習しやすくなります。
特にゆっくりしたテンポでは、ダウンとタップを意識するだけで十分です。
強い音を出したいところでは、スティックを高い位置から振り下ろして低く止める。
弱い音を出したいところでは、低い位置で小さく叩く。
この考え方で、まずは強弱の差を作っていきます。
では、フルストロークやアップストロークはいつ出てくるのでしょうか。
それは、テンポが上がってきた時です。
テンポが速くなると、次の音の準備を早くする必要があります。
その流れの中で、自然にフルストロークやアップストロークの役割が出てきます。
つまり、フルとアップは「最初から別の難しい動きとして覚えるもの」というより、音の流れの中で必要になってくる動きと考えると分かりやすいです。

DDTTからFDTUへ変化する考え方
ここでは、DDTTという練習パターンを使って考えてみましょう。
DDTTとは、
D D T T
つまり、
ダウン・ダウン・タップ・タップ
という流れです。
遅いテンポでは、このように考えると分かりやすいです。
1打目:ダウンストローク
2打目:ダウンストローク
3打目:タップストローク
4打目:タップストローク
強い音が2つ続き、そのあと弱い音が2つ続く形です。

ただし、テンポが速くなってくると、この考え方に少し変化が出ます。
1打目の次もアクセントの場合、1打目を叩いたあとにスティックを上に戻しておく必要があります。
そのため、1打目はフルストロークのような動きになります。
2打目は、その次が弱い音なので、叩いたあと低い位置で止めます。
これはダウンストロークです。
3打目は、次も弱い音なので、低い位置から低い位置へ小さく叩きます。
これはタップストロークです。
4打目は、次の1打目がアクセントなので、叩きながらスティックを上げて準備します。
これはアップストロークです。
つまり、テンポが速くなると、DDTTの動きは次のように変化していきます。
F D T U
F=フルストローク
D=ダウンストローク
T=タップストローク
U=アップストローク
このように考えると、フルストロークやアップストロークが急に難しいものではなく、次の音へ向かうために自然に必要になる動きだと分かります。

ストローク練習の基本メニュー
ここからは、実際に取り組みやすいストローク練習を紹介します。
最初は速く叩く必要はありません。
BPM50〜60くらいのゆっくりしたテンポで、音量差とスティックの高さを確認しながら練習してみてください。
練習1:ダウンストロークだけを4分音符で叩く
まずは、ダウンストロークだけを4分音符で叩きます。
目的は、アクセントの音を安定させることです。
スティックを高い位置から振り下ろし、叩いたあと低い位置で止めます。
この時、肩や腕に力が入りすぎないようにしましょう。
強い音を出したい時ほど、体を固めずにスティックを自然に振ることが大切です。
練習2:タップストロークだけを8分音符で叩く
次に、タップストロークだけを8分音符で叩きます。
目的は、小さい音を一定にすることです。
打面から3〜5cmくらいの低い位置で、小さく叩きます。
音量を大きくする必要はありません。
むしろ、小さい音をそろえることを優先してください。
小さい音が安定すると、ゴーストノートや細かいリズムがかなり叩きやすくなります。
練習3:D T D T の交互練習
次は、ダウンストロークとタップストロークを交互に練習します。
D T D T
強い音、弱い音、強い音、弱い音の流れです。
目的は、強い音と弱い音の切り替えを覚えることです。
1打目を大きく叩いたあと、次の2打目は小さく叩きます。
この時、1打目の力みを2打目に残さないようにしましょう。
練習4:D D T T の練習
次は、DDTTの練習です。
D D T T
この練習では、強い音が2つ、弱い音が2つ続きます。
目的は、強弱の流れを作ることです。
遅いテンポでは、ダウン・ダウン・タップ・タップとして練習します。
慣れてきたら、テンポを少しずつ上げて、FDTUの流れに変化していく感覚も確認してみてください。
練習5:アクセント移動
最後は、アクセント移動です。
4つの音の中で、アクセントの位置を変えていきます。
1つ目にアクセント。
2つ目にアクセント。
3つ目にアクセント。
4つ目にアクセント。
この練習をすると、どの位置でも強い音と弱い音をコントロールしやすくなります。
フィルインやルーディメンツにもつながる、とても大切な練習です。

よくある失敗と改善ポイント
ストローク練習では、よくある失敗がいくつかあります。
最初はうまくいかなくても大丈夫です。
大切なのは、どこで崩れているのかを分けて考えることです。
失敗1:アクセントを出そうとして腕に力が入りすぎる
アクセントを出そうとすると、腕や肩に力が入りすぎてしまうことがあります。
しかし、力で叩こうとすると動きが硬くなり、リズムも不安定になりやすいです。
改善ポイントは、高さとスピードで音量を作ることです。
スティックを高い位置から自然に振り下ろし、必要以上に肩や腕を固めないようにしましょう。
失敗2:タップストロークが大きくなってしまう
弱い音を出すはずのタップストロークが、だんだん大きくなってしまうこともあります。
これでは、アクセントとの差がなくなり、リズムが平坦に聞こえやすくなります。
改善ポイントは、打面から3〜5cmくらいの低い位置を意識することです。
小さく、軽く、一定に叩くことを大切にしましょう。
失敗3:ダウンストロークでスティックを押さえつけてしまう
ダウンストロークでは、叩いたあと低い位置で止めます。
ただし、打面に押さえつけるわけではありません。
リバウンドを完全につぶしてしまうと、次の音につながりにくくなります。
改善ポイントは、リバウンドを感じながら、次に叩きやすい位置でコントロールすることです。
「止める」と「押さえつける」は違います。
失敗4:テンポを上げるとフォームが崩れる
ゆっくりならできるのに、テンポを上げると音量差がなくなったり、スティックの高さがバラバラになったりすることがあります。
これはよくあることです。
改善ポイントは、いきなり速くしないことです。
BPM50〜60くらいから始め、音量差を保てるテンポで練習しましょう。
崩れたら、一度テンポを戻して大丈夫です。
ストローク練習は、速さを競う練習ではありません。
音量差とフォームを整える練習です。

ストロークは他のドラム技術すべてにつながる
ストロークは、ドラム8要素の1つ目として、とても重要な土台です。
なぜなら、ストロークはほかの要素すべてに関係しているからです。
音符を叩く時も、ストロークが必要です。
手順を使う時も、ストロークが必要です。
リズムやフィルインを叩く時も、ストロークが安定していないと崩れやすくなります。
さらに、グルーヴ、テクニック、楽曲スタイルにもつながります。
たとえば、ダブルストロークではリバウンドの使い方が大切です。
モーラー奏法では、体の動きとストロークの流れが大切です。
ゴーストノートでは、小さい音をコントロールするタップストロークが重要になります。
16ビートやフィルインでは、アクセントとノーアクセントの差がノリに直結します。
つまり、ストロークが整うと、ドラム全体が安定しやすくなります。
音がきれいになり、リズムが安定し、フィルインも自然につながりやすくなります。
「基礎練習」と聞くと地味に感じるかもしれません。
でも、ストロークはすべての演奏の入口です。
ここを丁寧に練習しておくと、あとからいろいろなリズムやテクニックを学ぶ時に、とても役立ちます。
関連する練習記事
ドラム上達に必要な8つの要素を全体で確認したい方は、こちらの記事も参考になります。

音符の理解もあわせて深めたい方は、次の「ドラム8要素その2」の記事も読んでみてください。
ダブルストロークの基礎も、ストロークの延長として考えると理解しやすくなります。
速いフレーズや脱力につながるモーラー奏法については、こちらの記事もおすすめです。
まとめ
ストロークとは、スティックを振り上げて振り下ろす基本動作のことです。
ただし、単に叩くだけの動きではありません。
ストロークによって、音量、アクセント、グルーヴ、スピードが変わります。
初心者の方がまず意識したいのは、ダウンストロークとタップストロークです。
ダウンストロークは、強い音やアクセントを作るストロークです。
叩いたあと、スティックを低い位置で止めます。
タップストロークは、弱い音やリズムをつなぐストロークです。
低い位置から低い位置へ、小さく叩きます。
ゆっくりしたテンポでは、まずDとTを中心に練習すれば大丈夫です。
テンポが速くなると、フルストロークやアップストロークも自然に必要になってきます。
DDTTの練習も、速くなるとFDTUの流れに変化します。
最終的には、スティックの高さをコントロールすることで音量差を作ることが大切です。
ストロークが整うと、8ビート、16ビート、フィルイン、ダブルストローク、ゴーストノートなど、さまざまな演奏が安定しやすくなります。
まずは速く叩こうとせず、ゆっくりと強い音・弱い音を分ける練習から始めてみてください。
ストロークをしっかり身につけたい方へ
ストロークは、文章だけでは分かりにくい部分もあります。
スティックの高さ、止める位置、リバウンドの使い方、力の抜き方は、実際に動きを見ながら練習するとかなり理解しやすくなります。
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