ドラムを練習していると、ある時こんな疑問が出てくることがあります。
「同じ8ビートなのに、曲によって全然ノリが違うのはなぜだろう?」
楽譜上では似たようなリズムに見えても、ロック、ファンク、ジャズ、ラテン、ヒップホップでは、ドラムの感じ方が大きく変わります。
たとえばロックでは、スネアを力強く鳴らして前に進むようなビートを作ります。
ファンクでは、16ビートの細かい動きやゴーストノートを使って、タイトで粘りのあるグルーヴを作ります。
ジャズでは、ライドシンバルの流れやスウィング感が大切になります。
ラテンでは、クラーベや足と手の組み合わせによって、身体が自然に動くようなリズムを作っていきます。
つまり、ドラムはどのジャンルでも同じように叩けばよいわけではありません。
音楽ジャンルによって、リズムの感じ方、音の置き方、体の使い方、グルーヴの重さが変わります。
この記事では、ドラムが活躍する代表的な音楽ジャンルと、それぞれのリズム・グルーヴ・演奏スタイルの違いを、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
- ドラムにおける“ジャンル理解”とは?
- 音楽ジャンルは文化の混ざり合いから生まれた
- ブラジリアン|軽快で流れるようなリズム
- カリビアン|裏拍とゆったりした浮遊感
- ブルース|シンプルな中に感情を込めるリズム
- ジャズ|ライドシンバルとスウィング感が中心
- アフロキューバン|クラーベを中心にしたリズム
- アフリカン|ポリリズムと身体的なグルーヴ
- ロックンロール|8ビートの原点を感じやすいジャンル
- ファンク|16ビートとゴーストノートで作る粘り
- ロック|力強い8ビートと安定感
- フュージョン|複数ジャンルが融合した高度なスタイル
- ヒップホップ|ループ感と重いビート
- ジャンルごとの違いをドラムで感じる練習方法
- まとめ|ジャンルを学ぶとドラムの表現力が広がる
- ドラムのジャンルごとの違いを学びたい方へ
ドラムにおける“ジャンル理解”とは?
ドラムにおけるジャンル理解とは、音楽ジャンルの名前を覚えることではありません。
「ロック」「ジャズ」「ファンク」「ラテン」といった名前を知っているだけでは、実際の演奏にはまだつながりにくいです。
ドラムで大切なのは、そのジャンルの中でリズムがどのように感じられているかを知ることです。
たとえば、次のような違いがあります。
・リズムをまっすぐ感じるのか、跳ねて感じるのか
・音符を短く切るのか、長く伸ばすのか
・アクセントをどこに置くのか
・グルーヴを軽くするのか、重くするのか
・ハイハットで刻むのか、ライドシンバルで流れを作るのか
・バスドラムとスネアをシンプルに置くのか、細かく動かすのか
これらが変わるだけで、同じテンポ、同じリズムでも、曲の印象はまったく変わります。
ドラムのグルーヴについて先に整理したい方は、こちらの記事も参考になります。
まずは「ジャンルが変わると、ドラムの感じ方も変わる」という全体像をつかんでおきましょう。
音楽ジャンルは文化の混ざり合いから生まれた
音楽ジャンルは、ある日突然生まれたものではありません。
アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ、カリブ、ブラジルなど、さまざまな地域の文化やリズムが混ざり合うことで発展してきました。
たとえば、アフリカのリズム文化は、ブルース、ジャズ、ファンク、ラテン、ロックなど、多くの音楽に影響を与えています。
ヨーロッパの和音や楽器文化、アメリカのポピュラー音楽、カリブやブラジルの踊りのリズムなどが混ざり合うことで、現在の多様な音楽スタイルが作られてきました。
ドラムを学ぶ上で大切なのは、歴史を細かく暗記することではありません。
それよりも、
「このジャンルは、どんなリズムの感じ方を大切にしているのか」
を知ることが大切です。
ロックにはロックの気持ちよさがあります。
ジャズにはジャズの揺れがあります。
ファンクにはファンクの粘りがあります。
ラテンにはラテンの身体的なリズムがあります。
この違いを少しずつ感じられるようになると、ドラムの表現力は大きく広がっていきます。
ブラジリアン|軽快で流れるようなリズム
ブラジリアン音楽は、サンバやボサノバに代表される音楽ジャンルです。
ドラムでは、軽快で流れるようなリズムが特徴です。
サンバは、身体が自然に動きたくなるようなリズムを持っています。
ボサノバは、サンバよりも落ち着いた雰囲気で、やわらかく心地よいグルーヴを作ります。
ブラジリアン系のドラムでは、手だけでなく足の使い方も大切になります。
バスドラムやハイハットの動きで、リズムの土台を作りながら、手で流れを加えていきます。
初心者の方は、いきなり本格的なサンバパターンを叩こうとしなくても大丈夫です。
まずは「軽く流れる感じ」「前に進みすぎず、踊るような感じ」を意識するだけでも、雰囲気が変わってきます。
カリビアン|裏拍とゆったりした浮遊感
カリビアン音楽には、レゲエやカリプソなどがあります。
このジャンルでは、ゆったりした中に独特の浮遊感があります。
特にレゲエでは、裏拍の感じ方が大切です。
日本の初心者の方は、最初は表拍を強く感じやすいです。
しかし、レゲエでは「1、2、3、4」とまっすぐ進むだけではなく、拍と拍のあいだにある裏の感覚を大切にします。
ドラムでいうと、ハイハットやリムショット、バスドラムの置き方によって、ゆったりした空間を作っていきます。
大切なのは、音をたくさん入れすぎないことです。
間を空けることで、レゲエらしい気持ちよさが生まれます。
譜面を完璧に読むことよりも、「音の置き方が変わると雰囲気が変わる」という点を感じてみてください。
ブルース|シンプルな中に感情を込めるリズム
ブルースは、アメリカ音楽の土台とも言えるジャンルです。
ロック、ジャズ、ファンクなどにも大きな影響を与えています。
ブルースのドラムでは、シンプルなリズムの中に感情を込めることが大切です。
派手なフレーズをたくさん入れるよりも、曲の流れに合わせて、気持ちよくリズムを支えることが求められます。
ブルースでは、シャッフルと呼ばれる跳ねたリズムがよく使われます。
シャッフルは、3連符を土台にしたリズムです。
まっすぐな8ビートとは違い、「タッタ、タッタ」と少し跳ねるような感じになります。
シャッフルを詳しく整理したい方は、こちらの記事も参考になります。

画像では、まっすぐな8分音符と、跳ねる8分音符の違いを比較します。
ブルースやジャズでは、この「跳ねる感じ」がとても大切になります。
ジャズ|ライドシンバルとスウィング感が中心
ジャズドラムでは、ライドシンバルの流れがとても大切です。
ロックのようにハイハットでまっすぐ刻むだけではなく、ライドシンバルで「チーン・チッキ・チーン・チッキ」というような流れを作ります。
この流れをレガートと呼びます。
レガートとは、音をなめらかにつなげるような感覚です。
ジャズでは、スネアやバスドラムを決まった場所に強く入れるだけではなく、他の楽器と会話するように入れていきます。
そのため、譜面通りに叩く力だけでなく、音楽の流れを感じる力も必要になります。
ただし、初心者の方がいきなりアドリブまで考える必要はありません。
まずはライドシンバルで一定の流れを作ること。
そして、スウィングの揺れを感じること。
ここから始めると、ジャズドラムの土台が少しずつ見えてきます。

この画像では、ジャズドラムで大切なライドシンバルの役割を整理します。
ハイハット中心の8ビートとは違い、ライドシンバルが音楽の流れを作る点に注目してみてください。
アフロキューバン|クラーベを中心にしたリズム
アフロキューバンは、アフリカのリズムとキューバの音楽文化が混ざり合って生まれたスタイルです。
ドラムで学ぶ場合、特に大切になるのがクラーベです。
クラーベとは、ラテン音楽のリズムの基準になるパターンです。
簡単に言うと、ラテンリズムの中で「どこを中心に感じるか」を示してくれる軸のようなものです。
アフロキューバンでは、カスカラ、ソンゴ、トゥンバオなど、さまざまなリズムが登場します。
最初は名前が難しく感じるかもしれません。
しかし、すべてを暗記しようとするよりも、「クラーベというリズムの軸がある」ということを知るだけでも理解しやすくなります。
ラテンドラムでは、手足を別々に動かす場面も多くなります。
そのため、焦らずゆっくり練習することが大切です。

画像では、クラーベを中心にして、カスカラ、ソンゴ、トゥンバオなどが組み合わさるイメージを整理します。
ラテンリズムは難しく見えますが、まずは「リズムの軸を感じる音楽」と考えると分かりやすくなります。
アフリカン|ポリリズムと身体的なグルーヴ
アフリカン音楽は、リズムそのものが大きな役割を持つ音楽です。
ドラムにとって、とても重要なルーツのひとつです。
特徴的なのは、ポリリズムです。
ポリリズムとは、複数のリズムが同時に重なっている状態のことです。
たとえば、ある楽器は3つのまとまりを感じ、別の楽器は4つのまとまりを感じる。
そのようなリズムの重なりが、独特のグルーヴを生み出します。
アフリカンのリズムは、頭だけで理解するというより、身体で感じる要素が強いです。
手拍子をしたり、足で拍を踏んだりしながら練習すると、少しずつリズムの立体感が分かってきます。
ドラムの根本にある「身体でリズムを感じる力」を育てるうえでも、アフリカンの考え方はとても大切です。
ロックンロール|8ビートの原点を感じやすいジャンル
ロックンロールは、ブルースやカントリー、ジャズなどの影響を受けて発展した音楽です。
ドラムでは、シンプルで勢いのあるビートが特徴です。
初心者の方にとっては、8ビートの原点を感じやすいジャンルでもあります。
難しいテクニックよりも、曲を前に進める力が大切です。
スネアを2拍目と4拍目にしっかり入れ、バスドラムでリズムを支える。
この基本があるだけで、ロックンロールらしい勢いが出てきます。
8ビートの基本を先に整理したい方は、こちらの記事も参考になります。
ファンク|16ビートとゴーストノートで作る粘り
ファンクは、リズムとグルーヴをとても大切にする音楽ジャンルです。
ファンクドラムでは、16ビートの細かいリズムがよく使われます。
16ビートとは、1拍を4つに分けて感じるリズムです。
8ビートよりも細かく、ハイハットやバスドラムの動きも繊細になります。
さらに、ファンクではゴーストノートも重要です。
ゴーストノートとは、スネアを小さく入れる音のことです。
大きく目立つ音ではありませんが、グルーヴの粘りを作るためにとても大切です。
ファンクでは、すべての音を同じ強さで叩くと平たく聞こえます。
強い音と弱い音の差を作ることで、リズムに立体感が出ます。
16ビートの基本を整理したい方は、こちらの記事も参考になります。
ロック|力強い8ビートと安定感
ロックドラムでは、力強い8ビートが中心になります。
ハイハットを安定して刻み、スネアのバックビートをしっかり鳴らし、バスドラムで曲を支えます。
バックビートとは、主に2拍目と4拍目に入るスネアのことです。
ロックでは、このスネアが曲の力強さを作ります。
初心者の方が最初に学ぶ8ビートも、ロックのリズムと関係が深いです。
そのため、ロックを練習すると、ドラムの基本的な安定感を身につけやすくなります。
ただし、ロックだからといって、ただ強く叩けばよいわけではありません。
音量、テンポ、スネアのタイミング、バスドラムの安定感。
これらがそろうことで、気持ちよいロックのグルーヴになります。
フュージョン|複数ジャンルが融合した高度なスタイル
フュージョンは、ジャズ、ロック、ラテン、ファンクなどが融合した音楽ジャンルです。
ドラムでは、複雑なリズムや高度なテクニックが出てくることがあります。
変拍子、細かい16ビート、ラテンのリズム、ジャズのスウィング感、ロックの力強さなど、さまざまな要素が組み合わさります。
そのため、フュージョンは難しいジャンルと思われやすいです。
しかし、いきなり難しいフレーズから始める必要はありません。
8ビート、16ビート、シャッフル、ダブルストローク、バスドラムの安定など、基本の積み重ねがフュージョンにもつながっています。
速いフレーズや細かい表現の土台を作りたい方は、ダブルストロークの記事も参考になります。
ヒップホップ|ループ感と重いビート
ヒップホップは、DJ文化やラップ、ストリートカルチャーと深く関係して発展した音楽です。
ドラムでは、ループ感と重いビートが特徴です。
ループ感とは、同じリズムが繰り返される中で、気持ちよく流れ続ける感覚のことです。
ヒップホップのビートは、一見するとシンプルに聞こえることがあります。
しかし、実際にはバスドラムの位置、スネアの重さ、ハイハットの細かい揺れによって、深いグルーヴが作られています。
打ち込みのような正確さも大切です。
同時に、人間が叩くからこそ出る少しの揺れや音色の違いも魅力になります。
音数を増やすより、ひとつひとつの音の重さを感じることが大切です。
ジャンルごとの違いをドラムで感じる練習方法
ここまで、さまざまなドラムの音楽ジャンルを見てきました。
では、実際にどのように練習すれば、ジャンルごとの違いを感じられるのでしょうか。
おすすめは、同じ8ビートを使って、ノリだけを変えてみる練習です。
たとえば、まずは普通の8ビートを叩きます。
その後、同じリズムを次のように変えてみます。
・ロック風に、スネアを力強く叩く
・ファンク風に、ハイハットを細かく短めに刻む
・レゲエ風に、裏拍や間を意識してゆったり叩く
・ヒップホップ風に、バスドラムとスネアを重く感じる
・ジャズ風に、まっすぐではなく少し跳ねた流れを感じる
このとき、難しいフィルインを入れる必要はありません。
むしろ、シンプルなリズムのまま、音の長さや強弱を変えることが大切です。
メトロノームに合わせながら、次の点を意識してみてください。
・ハイハットを短く切るか、少し長く響かせるか
・スネアを強く叩くか、少し軽く叩くか
・バスドラムを前に出すか、少し後ろに感じるか
・音と音のあいだに余裕を持てているか
・身体が固まらず、リズムに乗れているか
最初から完璧に叩こうとしなくて大丈夫です。
まずは、「ジャンルによって雰囲気が変わる」ということを感じるだけで十分です。

この画像では、ロック、ファンク、ジャズ、ラテン、ブルース、ヒップホップなど、ジャンルごとに大切なドラム要素を一覧で整理します。
記事の復習としても使いやすいまとめ図になります。
まとめ|ジャンルを学ぶとドラムの表現力が広がる
ドラムは、ただリズムを正確に叩くだけの楽器ではありません。
音楽ジャンルによって、リズムの感じ方、音の置き方、アクセント、グルーヴ、身体の使い方が変わります。
ロックにはロックの力強さがあります。
ファンクにはファンクの粘りがあります。
ジャズにはジャズの揺れがあります。
ラテンにはラテンのリズムの軸があります。
ヒップホップにはヒップホップの重さとループ感があります。
この違いを少しずつ知っていくと、ドラムの演奏はただのパターン練習ではなくなります。
曲の雰囲気を感じながら、自分の音で表現できるようになっていきます。
初心者の方は、まず8ビートや16ビートなどの基本リズムから始めて大丈夫です。
そのうえで、少しずついろいろなジャンルに触れていくと、ドラムの世界が大きく広がります。
ドラムのジャンルごとの違いを学びたい方へ
ジャンルごとのドラムの違いは、独学では分かりにくいこともあります。
同じ譜面を見ていても、音の長さや強弱、グルーヴの重さまでは、なかなか文字だけでは伝わりにくいからです。
対面レッスンでは、その場で実際の音を聴きながら、
「この曲はもう少しスネアを重くしましょう」
「ファンクなので、ハイハットをもう少し短くしましょう」
「シャッフルなので、まっすぐではなく跳ねる感じにしましょう」
というように、音やノリの違いを確認しながら練習できます。
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いろいろな音楽ジャンルを知ることは、ドラムの表現力を広げることにつながります。
焦らず、ひとつずつ、楽しみながら身につけていきましょう。
ドラムは、楽譜や動画を見ているだけでは分かりにくい部分がたくさんあります。
たとえば、どんな音を出せばいいのか、どのくらいの力加減で叩けばいいのか、曲に合わせるときに何を意識すればいいのかなど、実際に叩きながら覚えていくことが大切です。
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