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ドラムの練習をしていると、「楽譜を見ながらなら叩けるのに、少し目を離すと止まってしまう」「曲の途中で今どこを叩いているのか分からなくなる」と感じることがあります。特に初心者の方は、音符を追うことに集中しすぎて、肝心の音楽の流れをつかめなくなることも少なくありません。
もちろん、楽譜を読むことはとても大切です。ただ、一曲を最後まで安定して演奏するためには、楽譜を読む力とは別に、「音楽そのものを覚える力」も必要になります。言い換えると、目で追う練習だけでなく、耳で聴き、歌の流れを感じ、曲の構成を頭に入れていく練習が必要です。
この記事では、楽譜だけに頼らず、曲の流れや歌詞、フィルインの位置を結びつけながらドラムを覚える方法を、初心者向けに分かりやすく解説します。実際のレッスンでも使っている考え方ですので、「一曲を最後まで叩けるようになりたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
楽譜を読めても曲を叩けない理由
楽譜を読めることと、曲を最後まで叩けることは、似ているようで少し違います。
楽譜を読むときは、今この瞬間に何を叩くかを確認できます。ですが、実際の演奏では、それに加えて「次に何が来るか」「どこで展開が変わるか」「どこでフィルインを入れるか」といった、流れの把握が必要です。
たとえば、こんな状態になったことはないでしょうか。
・一音ずつ見ながらなら叩ける
・少し楽譜を見失うと、そこで止まってしまう
・曲に合わせると、今どこか分からなくなる
・フィルインの場所だけ飛んでしまう
これは、リズムが分からないというより、「曲の流れをまだ覚えきれていない」ことが原因のことが多いです。演奏では、目だけでなく、耳、記憶、身体の動きがつながっていることが大切です。

リズムの基礎がまだ不安な方は、先に土台を整えておくと、曲の暗譜もかなり楽になります。
曲は「一曲」ではなくセクションに分けて覚える
初心者の方が一曲を覚えるときに大切なのは、曲を最初から最後までひとまとまりとして考えすぎないことです。まずは、曲をいくつかのセクションに分けて整理しましょう。
たとえば、次のように分けられます。
・イントロ
・Aメロ
・Bメロ
・サビ
・間奏
・2番
・最後のサビ
・エンディング
このように区切るだけでも、頭の中がかなり整理されます。
さらに、それぞれのセクションごとに、次の4つをメモしていきます。
・どんな基本リズムを使うか
・何小節続くか
・どこでフィルインを入れるか
・どこで次のセクションへ移るか
ここでいう「小節」は、リズムのまとまりの単位です。また「セクション」は、Aメロやサビのような曲の場面のことです。難しく考えなくても、「ここから歌い出し」「ここからサビ」という認識で十分です。

最初に基本リズムを一つ覚える
一曲を覚えるとき、いきなり細かいフィルインや展開まで全部覚えようとすると、かなり混乱しやすくなります。まずは、各セクションで使う「基本リズム」を押さえるところから始めましょう。
たとえば、次のように整理できます。
・Aメロ=クローズドハイハットの8ビート
・Bメロ=クローズドハイハットの8ビート
・サビ=ライドシンバルを使った8ビート
・間奏=ライドシンバルを使った8ビート
・エンディング=ライドシンバルを使った8ビート
このように、各セクションを短い言葉で言えるようにしておくと、曲の見通しがよくなります。
8ビートの基本がまだあやふやな場合は、先にこちらを確認しておくと、曲を覚える作業がスムーズになります。
また、基礎リズム全体の練習順を知りたい方は、こちらも参考になります。
小節数とフィルインの位置を覚える
基本リズムが整理できたら、次はフィルインの位置を覚えていきます。
フィルインとは、次の場面へつなぐための短いおかずのようなフレーズです。レッスンでは、最初から複雑なフィルインを覚えるよりも、「どこで入れるか」を先に整理することをおすすめしています。
たとえば、4小節ごとに1拍フィルインを入れる場合は、次のように考えます。
1小節目:基本リズム
2小節目:基本リズム
3小節目:基本リズム
4小節目:基本リズム+最後に1拍フィルイン
あるいは、
4小節叩く
↓
1拍フィルイン
↓
また4小節叩く
↓
1拍フィルイン
というまとまりでも構いません。
この考え方を使うと、「100小節ある曲を覚える」という感覚ではなく、「4小節のかたまりをいくつか覚える」という感覚に変わります。初心者の方にとっては、この違いがとても大きいです。

フィルインのあとに演奏が不安定になる方や、バスドラムとのバランスが崩れやすい方は、こちらの記事も役立ちます。
歌詞やメロディーをフィルインの目印にする
ここからが、今回のテーマの中心です。
楽譜を外して演奏できるようになるためには、フィルインの位置を「小節数」だけで覚えるのではなく、「音楽の流れ」と結びつけて覚えることがとても大切です。そこでおすすめなのが、歌詞やメロディーを目印にする方法です。
たとえば、歌詞カードやメモに次のように書き込みます。
・この言葉のあとで1拍フィル
・このフレーズの終わりでクラッシュ
・ここからライドへ移る
・ここでハイハットに戻る
・ここは2拍フィル
・ここからサビ
ここで大切なのは、歌詞の意味を深く分析することではありません。「この言葉が聞こえたら次に展開がある」という目印にすることです。
例として、架空の歌詞で考えると、次のようになります。
「遠くまで歩いていこう」→最後に1拍フィル
「新しい空が見えてくる」→クラッシュシンバル
「風の中を走り出す」→2拍フィル
このようなメモは、正式な楽譜ではありません。あくまで、自分が曲の流れを思い出すための簡易的な地図です。だからこそ、細かく書きすぎるより、見た瞬間に分かる言葉で簡単に書くのがコツです。

色分けしてメモするとさらに分かりやすい
歌詞カードやメモに書き込むときは、色分けするとさらに整理しやすくなります。
たとえば、次のようにルールを決めると便利です。
・青=セクションの区切り、シンバルの変更
・緑=フィルインの位置と長さ
・赤=間違えやすい場所
・黒=通常のメモ
このようにしておくと、見返したときに「ここは構成の情報」「ここはフィルの情報」とすぐに分かります。
もちろん、色の使い方に正解はありません。自分が見やすいルールになっていれば十分です。大切なのは、情報を整理して頭の中の負担を減らすことです。

YUI「feel my soul」を使った覚え方の例
実際のレッスンでは、YUIの「feel my soul」を例にして、この方法を説明することがあります。
この曲では、まず「どこからドラムが入るか」を確認します。次に、そのセクションで使う基本リズムを決めます。そして、「4小節ごとにフィルインを入れる」「サビ終わりでクラッシュを入れる」「次のサビでも同じような構造が出てくる」といった形で、構造を整理していきます。
さらに、途中でライドシンバルに移る場所、ハイハットへ戻る場所、エンディングでフィルインを繰り返す場所などを、歌の流れと一緒に覚えていきます。
このやり方の良いところは、「音符の列」として覚えるのではなく、「曲がこう流れていくから、ここでこの動きが必要」と理解できるところです。実際、楽譜を見ながらだと迷いやすい生徒さんでも、歌を頭に入れてから叩くと、かなり止まりにくくなります。
ここで大切なのは、YUIの歌詞を細かく写すことではなく、「歌の流れを目印にする」という考え方そのものを使うことです。好きな曲で同じことをしてみると、かなり応用しやすいと思います。

曲を歌いながらドラムを叩く
楽譜を外して演奏できるようになりたいなら、曲を歌いながら叩く練習もとても効果的です。
最初は、実際に小さな声で歌いながら叩いてみてください。慣れてきたら、頭の中で歌うだけでも大丈夫です。
歌詞を正確に歌えなくても問題ありません。たとえば、
・ここでサビ
・次にフィル
・ここでクラッシュ
・タタター
・いったん戻る
といった簡単な言葉でも十分です。
要は、ドラムだけを孤立して覚えるのではなく、曲全体の流れとセットで身体に入れていくことが大切です。頭の中で曲が鳴っている状態になると、楽譜を見ていなくても、次の動きを予測しやすくなります。
楽譜を少しずつ外していく練習方法
ここで注意したいのは、最初から完全に楽譜を閉じる必要はないということです。いきなり全部見ないようにすると、不安ばかりが強くなってしまいます。
おすすめは、次のように段階を踏む方法です。
第1段階:楽譜を見ながら構成を確認する
まずは、今まで通り楽譜を見ながら練習します。ただし、「叩くこと」だけでなく、「今はAメロ」「次はサビ」といった構成も意識していきます。
第2段階:一部のセクションだけ楽譜を見ない
たとえば、Aメロだけ、あるいはサビだけなど、一部分だけを楽譜なしで叩いてみます。
第3段階:歌詞カードや構成メモだけで叩く
楽譜ではなく、「Aメロ4小節」「ここで1拍フィル」「次はサビ」といった簡単なメモだけを見て叩きます。
第4段階:何も見ずに曲に合わせて叩く
曲を流し、楽譜もメモも見ずに通してみます。多少のミスがあっても止まらないことを優先します。
第5段階:間違えても次の目印から復帰する
本番で大切なのは、ミスしないことだけではありません。少しずれても、次の目印から戻れることも大切です。

演奏中にテンポや動きが安定しにくい方は、こちらも合わせて読んでみてください。
初心者向けの具体的な練習手順
ここからは、実際にどう進めればよいかを、7つのステップで整理します。
ステップ1:曲を何度も聴く
まずは叩かずに、曲そのものをよく聴きます。どこで雰囲気が変わるか、サビはどこか、エンディングはどこかを感じ取ります。
ステップ2:イントロ、Aメロ、サビなどに分ける
紙やメモアプリに、曲の流れを書き出します。細かくしすぎず、大きな流れが分かれば十分です。
ステップ3:各セクションの基本リズムを決める
「ここは8ビート」「ここはライド」「ここはハイハットに戻る」といった形で、役割を短く整理します。
ステップ4:小節数とフィルインの位置を書き出す
「4小節ごと」「8小節目の終わり」「サビ終わりでクラッシュ」など、要点だけをメモします。
ステップ5:歌詞やメロディーとフィルインを結びつける
歌詞カードや自分用メモに、「ここでフィル」「ここからサビ」などを書き込みます。
ステップ6:セクションごとに楽譜を外して叩く
いきなり全部通さず、一部分ずつ楽譜なしで叩いていきます。止まっても大丈夫です。少しずつ慣らしていきましょう。
ステップ7:曲全体を止まらずに通す
最後は、多少ミスしても止まらずに最後まで通します。本番に近い感覚を作ることが大切です。
基礎から応用までの考え方を整理したい方は、こちらの記事も参考になります。
よくある失敗と改善方法
曲を覚える練習では、いくつか共通した失敗があります。あらかじめ知っておくと、かなり進めやすくなります。
最初から一曲全部を暗譜しようとする
一気に全部覚えようとすると、情報量が多すぎて混乱します。まずは1セクションずつで大丈夫です。
フィルインを一音ずつ丸暗記する
フィルインは、音そのものだけでなく、「どこで入るか」が大切です。まず位置を覚えて、そのあと必要なら中身を整えましょう。
小節数だけを数えて、音楽を聴いていない
数字だけで覚えると、少しずれたときに戻りにくくなります。歌やメロディーと一緒に覚えることが大切です。
歌詞だけを頼りにして、ドラムのリズムを覚えていない
歌詞はあくまで目印です。基本リズムそのものが不安定だと、曲に乗せても叩けません。
ミスをすると最初からやり直してしまう
本番では、最初からやり直すことはできません。止まらずに続ける練習も必要です。
原曲と同じ複雑なフィルインにこだわる
初心者の方は、まず1拍や2拍の簡単なフィルインに置き換えても大丈夫です。位置を覚えることのほうが大切です。
テンポを落とさずに練習する
速いままだと、考える余裕がなくなります。必要ならテンポを落として整理しながら進めましょう。
楽譜を外す練習をしていない
楽譜を見ながらの練習だけでは、見ない状態にはなかなか慣れません。少しずつ外す時間を作ることが大切です。
30分の練習メニュー
「何をどの順番でやればいいか分からない」という方のために、30分でできる練習例を紹介します。

5分:曲を聴いて構成を確認する
今日はどのセクションを練習するかを決め、全体の流れを確認します。
5分:基本リズムを練習する
その曲で使う基本リズムを、単独で安定させます。
5分:フィルインだけを練習する
1拍フィル、2拍フィルなど、必要なフィルインだけを抜き出して確認します。
5分:Aメロやサビなど一つのセクションを暗譜する
歌や流れを意識しながら、一部分だけ楽譜を外して叩きます。
5分:曲に合わせて演奏する
止まらずに通す練習をします。多少のミスは気にしすぎなくて大丈夫です。
5分:間違えた場所をメモして復習する
最後に、「どこで止まりやすかったか」「どこでフィルを忘れたか」を書き残しておくと、次回の練習が効率よくなります。
楽譜を見ないことが目的ではない
ここまで「楽譜を見ないで叩く方法」についてお話ししてきましたが、誤解してほしくないのは、楽譜が不要だという意味ではないことです。
楽譜には、次のような大切な役割があります。
・リズムを正確に理解する
・細かな音符を確認する
・手順や足順を整理する
・忘れた場所を確認する
その一方で、実際の演奏では、耳で聴くこと、曲の流れを感じること、身体で覚えることも必要です。
つまり、理想は「楽譜を読む力」と「音楽を覚える力」の両方を使うことです。どちらか一方ではなく、両方を少しずつ育てていくと、結果的に一曲を最後まで叩きやすくなります。
16ビートやほかの応用リズムにも広げたい方は、こちらも参考になります。
まとめ
楽譜を見ないでドラムを叩けるようになるためには、ただ暗記するのではなく、曲の流れを整理して覚えることが大切です。
今回のポイントをまとめると、次の通りです。
・曲をセクションに分ける
・各セクションの基本リズムを決める
・4小節などのまとまりで覚える
・フィルインの位置を歌詞やメロディーと結びつける
・楽譜を少しずつ外していく
・間違えても止まらない練習をする
・頭の中で音楽が流れる状態を目指す
まずは、好きな一曲の歌詞カードやメモに、「フィル」「クラッシュ」「サビ」などを簡単に書き込むところから始めてみてください。難しく考えすぎず、自分にとって分かりやすい地図を作ることが、曲を覚えて叩く第一歩になります。
よくある質問
Q1. 楽譜を完全に見ないようにしたほうがいいですか?
いいえ、完全に見ないようにする必要はありません。楽譜はリズムや手順を確認するためにとても大切です。最終的には、楽譜も使いながら、曲の流れも覚えていく形が理想です。
Q2. 歌詞がない曲でも、この方法は使えますか?
使えます。歌詞がない曲でも、メロディー、ベースの動き、ギターのリフ、セクションの切り替わりなどを目印にできます。
Q3. フィルインは原曲通りでないとダメですか?
初心者のうちは、必ずしも原曲通りでなくて大丈夫です。まずは1拍や2拍のシンプルなフィルインで、位置を覚えることを優先しましょう。
Q4. 曲の途中で止まってしまう場合はどうすればいいですか?
一度止まった場所だけを責めるのではなく、その前後のセクションをまとめて覚えると改善しやすいです。また、歌や構成を頭の中で流しながら叩くと戻りやすくなります。
Q5. 暗譜と基礎練習はどちらを優先すればいいですか?
両方大切ですが、基礎リズムが不安定な場合は、まず土台を整えるほうが近道です。基本が安定すると、曲を覚える負担もかなり減ります。
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