船橋日大前駅から徒歩6分の川島広明ドラム教室です。
ハイハットを速く叩こうとすると、腕が疲れてしまったり、音の間隔がバラバラになったりすることがあります。
「もっと速く腕を動かさなければ」と考えて力を入れるほど、かえってスティックが動かなくなることも少なくありません。
そこで役立つのが、今回ご紹介するアップダウン奏法です。
アップダウン奏法は、腕を力任せに上下させる叩き方ではありません。スティックを下げる動きと上げる動きを連続させ、少ない動作で滑らかに音を出すための奏法です。
この記事では、動画で実演している内容をもとに、アップダウン奏法の基本的な考え方、スティックの動かし方、初心者向けの練習手順、うまくできないときの確認ポイントを順番に解説します。
ドラムのアップダウン奏法とは
アップダウン奏法とは、スティックを下へ動かすダウンの動作と、上へ戻すアップの動作を交互につなげて連続した音を出す奏法です。
大切なのは、スティックを上下に大きく振り続けることではありません。
1打目を叩いた動きが2打目の準備になり、2打目を叩いた動きが次の1打目の準備になるように、動作を途切れさせずにつなげます。
たとえば、右手だけでハイハットの8分音符を演奏するとします。
毎回同じように手首を上下させて叩く方法でも演奏できますが、テンポが速くなるほど腕や手首への負担が増えてきます。
アップダウン奏法では、次のように2打を一組として捉えます。
- 1打目:スティックを下げる動きで叩く
- 2打目:スティックを上げる動きの途中で叩く
2回叩くために2回大きく腕を振るのではなく、下げる動きと上げる動きの両方を使って音を出すのが基本です。
ただし、最初から速く叩くことを目的にすると、動きが雑になりやすくなります。
まずは遅いテンポで、ダウンとアップの違いを確認することが重要です。
ドラムを始めたばかりで、何から練習すればよいかわからない場合は、アップダウン奏法だけを切り離して考えず、基本的な練習の順番も確認しておきましょう。
ダウンストロークの動き
アップダウン奏法の最初の動きが、ダウンストロークです。
ダウンストロークでは、ある程度高い位置にあるスティックを打面へ向かって下げ、音を出します。
ここで重要なのは、叩いた直後にスティックを高い位置へ戻さないことです。
高い位置から叩き、低い位置で止める
ダウンストロークでは、次のような流れで動かします。
- スティックを高めの位置に構える
- 手首を下げる方向へ動かす
- 打面を叩く
- 叩いた後は、スティックを低い位置に保つ
叩いた直後にスティックを高く跳ね上げてしまうと、それは次に説明するアップの準備とは異なる動きになってしまいます。
ダウンストロークは、比較的強い音やアクセントを出すときにも使われます。
ただし、強い音を出すためにスティックを握り込んだり、肩から力任せに振り下ろしたりする必要はありません。
スティックが打面へ向かう力を利用し、叩いた後の高さをコントロールすることが大切です。
叩いた後に力を入れ続けない
ダウンストロークでよくある間違いが、打面を叩いた後も下方向へ力を加え続けることです。
ドラムや練習パッドを叩くと、スティックは打面から反発して戻ろうとします。
ところが、グリップを強く握り、打面へ押しつけるように叩くと、その反発を自分で止めてしまいます。
その結果、次の動きへ移りにくくなり、腕も疲れやすくなります。
スティックを完全に放す必要はありませんが、必要以上に握り込まないことが大切です。
アップストロークの動き
アップストロークは、低い位置から音を出しながら、スティックを次のダウンストロークの位置へ持ち上げる動きです。
ここが、アップダウン奏法で特にわかりにくい部分です。
アップストロークは、単にスティックを持ち上げるだけの動きではありません。
スティックを上げる途中でも打面を叩き、音を出します。
低い位置から小さく叩く
アップストロークでは、スティックが打面に近い低い位置から始まります。
低い位置から大きな音を出そうとすると力みやすいため、最初は小さな音で構いません。
動きの流れは次のとおりです。
- スティックを打面に近い位置へ構える
- 小さな動きで打面を叩く
- 叩く動きと同時に手首を上げ始める
- スティックを次のダウンストロークの高さへ準備する
つまり、アップストロークの音は、スティックを持ち上げてから叩くのではありません。
叩きながら上げることがポイントです。
アップは次の1打の準備でもある
アップストロークには、2つの役割があります。
- 2打目の音を出す
- 次のダウンストロークの準備をする
音を出すことだけを考えると、スティックが低い位置に残ってしまいます。
反対に、スティックを上げることだけを考えると、2打目の音がほとんど聞こえなくなります。
「小さく叩きながら、次の高い位置へ移動する」と考えると、動きをつなげやすくなります。
ダウンとアップを一つの流れとしてつなげる
ダウンストロークとアップストロークの形を個別に確認したら、次は2つを交互につなげます。
動きは、次の繰り返しです。
ダウン→アップ→ダウン→アップ
ここで、1打ずつ完全に動きを止めないようにします。
ダウンを叩いて停止し、それからアップを考えるのではなく、ダウンの終わりがアップの始まりになるようにつなげます。
感覚としては、スティックが上下に行ったり来たりする振り子のような動きに近い部分があります。
ただし、実際には完全に同じ大きさで上下するわけではありません。
ダウンは高い位置から低い位置へ向かい、アップは低い位置から音を出しながら高い位置へ戻ります。
それぞれの役割が異なることを理解しておきましょう。
2打を一組として感じる
アップダウン奏法では、1打ずつバラバラに考えるよりも、2打を一組として感じると動きが安定しやすくなります。
口で「ダウン・アップ、ダウン・アップ」と言いながら叩くのも効果的です。
音としては、最初のダウンが少し強く、次のアップが少し軽くなることがあります。
ただし、常に大きな音量差をつけなければならないわけではありません。
最初は動作を理解するために音量差が出ても構いませんが、慣れてきたら曲やフレーズに合わせて音量を調整します。
ダウンストロークやタップストローク、アクセントの動かし方については、次の記事も参考になります。
アップダウン奏法が役立つ場面
アップダウン奏法は、特に片手で連続した音符を刻むときに役立ちます。
代表的なのは、右手でハイハットを演奏する8ビートです。
ハイハットの8分音符
8ビートでは、右手で一定の8分音符を刻みながら、左手でスネア、右足でバスドラムを演奏します。
テンポが遅いうちは、右手を毎回同じストロークで動かしても演奏できます。
しかし、テンポが上がるにつれて、右手の上下運動が忙しくなります。
そこで、右手の8分音符を次のように分けます。
- 1つ目:ダウン
- 2つ目:アップ
- 3つ目:ダウン
- 4つ目:アップ
この動きを繰り返すことで、腕を大きく8回振らなくても、8つの音を連続して出しやすくなります。
8ビートそのものにまだ慣れていない場合は、まず基本的な手足の組み合わせを確認してからアップダウン奏法を加えましょう。
速めのハイハットパターン
アップダウン奏法は、テンポの速い曲でハイハットを刻むときにも使われます。
ただし、「速く叩くための裏技」のように考えないことが大切です。
動作が身についていない状態でテンポだけを上げると、次のような問題が起こります。
- ダウンの音だけが極端に大きくなる
- アップの音が抜ける
- 音の間隔が不均等になる
- 右手につられてスネアやバスドラムがずれる
- 肩や前腕に力が入る
まずは音量よりも、ダウンとアップの間隔が均等になっているかを確認しましょう。
アクセントを含む連続音
アップダウン奏法は、強い音と弱い音を交互に演奏するときにも応用できます。
ダウンで大きめの音を出し、アップで小さな音を出すと、動作と音量の関係を理解しやすくなります。
この考え方は、アクセント移動やハイハットの強弱を練習するときにもつながります。
ただし、実際の演奏では、必ずダウンが強くアップが弱いとは限りません。
最終的には、曲のリズムや音楽的な表現に合わせてコントロールします。
初心者向けアップダウン奏法の練習方法
アップダウン奏法は、いきなり速いハイハットで練習するよりも、動きを分解して覚えた方が身につきやすくなります。
ここでは、初心者向けに5段階で練習していきます。
第1段階:スティックを持たずに手首を動かす
最初はスティックを持たず、手首を下げる動きと上げる動きを確認します。
肩や肘を大きく動かすのではなく、手首を中心に無理のない範囲で上下させます。
この段階では、速く動かす必要はありません。
手を下げた後に止まりすぎていないか、手を上げるときに肩まで持ち上がっていないかを確認します。
第2段階:ダウンストロークだけを練習する
練習パッドやスネアを使い、高い位置から叩いて低い位置で止めます。
1回叩くたびに、次の点を確認してください。
- 肩に力が入っていないか
- スティックを強く握っていないか
- 叩いた後にスティックが高く戻っていないか
- 低い位置を保てているか
最初は連続して叩かず、1打ずつ形を確認します。
第3段階:アップストロークだけを練習する
スティックを低い位置に構え、小さく叩きながら高い位置へ持ち上げます。
アップストロークでは、音を大きくしようとしすぎないことが大切です。
「叩く」と「持ち上げる」を別々に行うのではなく、1つの動作としてつなげます。
第4段階:ダウンとアップを交互に叩く
ダウンとアップを、交互にゆっくり繰り返します。
「ダウン・アップ、ダウン・アップ」と声に出しながら練習すると、動作の順番を整理しやすくなります。
最初はメトロノームを使わなくても構いません。
動きがわかってきたら、余裕を持って演奏できる遅いテンポでクリックに合わせます。
テンポを上げる場合も、一度に大幅に上げないようにしましょう。
たとえば、BPM50で安定したら55、次に60というように、少しずつ上げます。
速くするとリズムが崩れてしまう場合は、テンポアップの方法だけでなく、演奏が不安定になる原因も確認してみてください。
第5段階:ハイハットと8ビートに応用する
右手のアップダウンが安定してきたら、ハイハットで8分音符を演奏します。
最初は右手だけで練習し、次に右足のバスドラム、最後に左手のスネアを加えます。
いきなり両手両足を組み合わせると、右手の動きへ意識を向けにくくなります。
次の順番がおすすめです。
- 右手だけでハイハットを叩く
- 右手と右足を組み合わせる
- 右手と左手を組み合わせる
- 両手両足で8ビートを演奏する
アップダウン奏法ができても、手足の組み合わせが自動的にできるわけではありません。
右手の動きを保ったまま、少しずつほかの楽器を加えましょう。
アップダウン奏法でよくある間違い
アップダウン奏法は、見た目だけをまねると間違った動きになりやすい奏法です。
ここでは、初心者に起こりやすい失敗と改善方法を紹介します。
腕全体を力任せに上下させる
アップダウン奏法という名前から、腕を大きく上下させるものだと思ってしまうことがあります。
しかし、腕全体を力任せに振ると、動作が大きくなり、テンポが上がったときに間に合わなくなります。
肩や肘は固めず、手首を中心にスティックの反発も利用しましょう。
スティックを強く握りすぎる
スティックを落とさないように強く握ると、打面からの反発を止めてしまいます。
指を完全に開く必要はありませんが、手の中に少し余裕を残すことが大切です。
強く握らなければスティックをコントロールできない場合は、スピードを落として練習してください。
アップで音を出さずに持ち上げる
アップストロークでよくあるのが、スティックを持ち上げるだけになり、音が出なくなることです。
アップは空振りではありません。
低い位置から小さく打面を叩き、そのまま高い位置へ移動します。
音が完全に抜けてしまう場合は、連続して叩かず、アップストロークだけを練習しましょう。
ダウンの後に動きが止まる
ダウンを叩いた後、スティックを低い位置で長く止めてしまうと、次のアップが遅れます。
低い位置を確認することは必要ですが、連続して演奏するときは、ダウンの終わりから自然にアップへ移ります。
形を確認する練習と、連続して動かす練習を分けて行うと理解しやすくなります。
最初から速いテンポで練習する
アップダウン奏法を覚えようとすると、すぐに速いテンポで試したくなります。
しかし、テンポが速いと、ダウンとアップの違いを確認できません。
速く叩けているように見えても、手首を小刻みに震わせているだけになっていることもあります。
まずは、1打目と2打目をはっきり区別できる速さで練習しましょう。
アップダウン奏法がうまくできないときの確認項目
アップダウン奏法がうまくできないときは、速さだけを問題にせず、身体やスティックの状態を一つずつ確認しましょう。
- 肩が上がっていないか
- 肘や前腕が固くなっていないか
- スティックを強く握り込んでいないか
- ダウンの後に手が止まりすぎていないか
- アップの音が完全に抜けていないか
- アップで叩いた後、スティックが高い位置まで戻っているか
- スティックの反発を押さえ込んでいないか
- ダウンとアップの間隔が均等になっているか
- 速さを優先しすぎていないか
- 演奏中に呼吸を止めていないか
腕が疲れる場合は、力の入れすぎや動作の大きさを確認します。
アップの音が出ない場合は、低い位置から音を出す練習へ戻ります。
音量がそろわない場合は、テンポを落とし、2打を一組として聴いてみましょう。
速くすると崩れる場合は、今の動きを保てるテンポまで戻します。
アップダウン奏法は速さよりも動きの質が大切
アップダウン奏法は、ハイハットを速く叩くためだけの特別な技ではありません。
スティックを下げる動きと上げる動きをつなぎ、少ない負担で連続した音を演奏するための基本的な考え方です。
練習するときは、次の順番を意識しましょう。
- ダウンストロークを確認する
- アップストロークを確認する
- ダウンとアップを交互につなげる
- 遅いテンポで音の間隔をそろえる
- ハイハットや8ビートへ応用する
最初から速く叩こうとせず、スティックの高さ、音量、動きのつながりを丁寧に確認することが上達への近道です。
ドラムの基礎練習では、奏法だけでなく、リズムの理解や手足の組み合わせも並行して身につける必要があります。
練習内容を順序立てて整理したい方は、次の記事も参考にしてください。
動画を見ても自分の動きが正しいかわからない場合は、正面だけでなく横から撮影して確認する方法もあります。
それでも判断が難しい場合は、レッスンで実際のスティック軌道や力の入り方を確認すると、修正するポイントが見つかりやすくなります。
アップダウン奏法については、当ドラム教室のオンライン講座(会員制)でもレッスン動画を公開してますので、こちらもご確認下さいませ。


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