こんにちは、ドラム講師の川島です。
「ドラムは毎日練習したほうが上手くなるのでしょうか?」
これは初心者の方からよく聞かれる質問の一つです。
結論から言うと、10分でも30分でも1時間でも、練習すれば今の自分より上手くなっていきます。
ただし、僕が特に大切だと思っているのは、1日に何時間練習するかということよりも、できるだけ継続して練習することです。
1か月に1回だけ1時間練習するよりも、毎日10分ずつでもスティックを持ったほうが、「昨日より少し叩けるようになった」という変化に気づきやすくなります。
今回は、毎日10分・30分・1時間練習する場合、それぞれどんな練習をすればいいのかを具体的に紹介していきます。
そして後半では、僕自身が長年ドラムを続けてきて感じている「時間をかけて習得することの意味」についてもお話ししたいと思います。
ドラムは毎日練習すれば上手くなる?
まず大前提として、僕は練習というのは、やれば今の自分より上手くなっていくものだと思っています。
もちろん、同じ時間練習しても上達のスピードには個人差があります。
得意なことも違いますし、体の使い方も違います。これまでの音楽経験によっても変わってきます。
ただ、昨日できなかったことを今日練習すれば、少なくともその動きについて経験を一つ積んだことになります。
問題は、その「上手くなった」という変化を自分自身が実感できるかどうかです。
例えば、1か月に1時間だけ練習して、次にドラムを叩くのがまた1か月後だったとします。
これでは、前回自分がどんな感覚で叩いていたのかをかなり忘れてしまっています。
2か月の中で数時間だけ練習するというようなペースでも、同じようなことが起こります。
ところが毎日練習していると、昨日の感覚がまだ残っています。
昨日はここで引っかかった。
昨日はBPM80では叩けたけれど、BPM85になると崩れた。
昨日はダブルストロークの2打目が小さくなっていた。
そういったことを覚えた状態で、次の日にもう一度練習できます。
すると、
- 昨日より少し楽に叩けた
- 昨日より音が揃った
- 昨日よりテンポが少し上がった
- 昨日わからなかった感覚が今日は少しわかった
という小さな変化に気づきます。
この「昨日より少し上手くなった」という実感がものすごく重要です。
上手くなったことがわかるとうれしいですよね。
「じゃあ明日もやってみよう」と思えるようになります。
そうやって小さな達成感を繰り返していくことで、練習そのものが習慣になっていきます。
僕は、毎日練習する一番大きなメリットはここにあると思っています。
長時間やるというよりも、昨日の自分と今日の自分を比較できるくらいの間隔で続けることです。

ドラムの練習そのものについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
10分・30分・1時間の練習スケジュールを比較
では、実際に毎日練習するとしたら、どのような内容にすればいいのでしょうか。
僕がおすすめする基本的な考え方は次の通りです。
| 練習時間 | おすすめの内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 10分 | 1つの課題に集中 | いろいろ手を出さない |
| 30分 | 基礎10分+リズム10分+曲10分 | 3種類をバランスよく練習 |
| 1時間 | 基礎10分+リズム20分+曲30分 | 曲の苦手部分まで掘り下げる |

もちろん、これは絶対にこの通りにしなければいけないというものではありません。
その人の目標によって変えて構いません。
ただ、何をやればいいかわからないという方は、まずこの時間配分から始めてみると練習内容を整理しやすいと思います。
1日10分なら「1つだけ」に集中する
まず、1日10分だけ練習できる場合です。
10分という時間は短いですが、僕は十分意味があると思っています。
ただし、10分の中でいろいろなことをやろうとしないことです。
例えば、
- シングルストロークだけ練習する
- ダブルストロークのリバウンドだけ練習する
- 苦手な8ビートだけ練習する
- 1つのフィルインだけ練習する
- バスドラムだけ練習する
というように、何か1つだけに絞ります。
10分しかないのに、
3分シングルストローク、3分ダブルストローク、4分8ビート……
というような時間割は、僕はあまりおすすめしません。
始めたと思ったらすぐ次の練習に移ることになるので、一つの感覚を掘り下げるところまでいかないからです。
それよりも、
「今日はこれだけを昨日より少し良くする」
と決めてしまったほうがいいです。
例えばダブルストロークだったら、10分間ずっと速く叩く必要はありません。
ゆっくり叩きながら、
- 2打目が弱くなっていないか
- リバウンドを利用できているか
- 右手と左手の音量が揃っているか
- 余計な力が入っていないか
などを確認します。
10分でも、一つのテーマを集中して練習するとかなり深い練習ができます。

1日30分なら10分ずつ3つに分ける
30分練習できるのであれば、僕なら大きく3つに分けます。
最初の10分:基礎練習
最初の10分は基礎練習です。
例えば、
- シングルストローク
- ダブルストローク
- パラディドル
- 各種ルーディメンツ
- アクセント移動
などですね。
ここでは派手なフレーズを叩くというよりも、手をきれいに動かすための土台を作ります。
基礎練習は、一見すると遠回りに感じることがあります。
しかし、基礎がしっかりしてくると、その後のリズムやフィルインがかなり楽になります。
次の10分:リズムパターン
次の10分はリズムパターンです。
例えば、
- 8ビート
- 16ビート
- シャッフル
- 3連系ビート
- ハイハット・スネア・バスドラムを組み合わせた3点のリズム
などを練習します。
初心者の方の場合は、まず8ビートをしっかり叩けるようにして、そのあと16ビートや3連系へ進んでいくと整理しやすいです。
最後の10分:曲の練習
最後の10分は曲を使います。
課題曲がある方はその曲を練習しましょう。
これもすごく重要です。
練習パッドやドラムだけでは叩けているのに、実際に曲を流した瞬間に叩けなくなることがあります。
これは珍しいことではありません。
曲が流れると、
- テンポについていかなければならない
- 曲のどこを演奏しているのか把握しなければならない
- 他の楽器を聴かなければならない
- 次の展開を予測しなければならない
というように、一気に処理することが増えるからです。
ドラムだけではできていたフィルインが、曲の中では突然できなくなることもあります。
ですから、「曲と一緒に叩く」ということ自体を練習する必要があります。

1日1時間なら曲の苦手部分までじっくり練習する
1時間練習時間が取れるのであれば、かなりいろいろなことができます。
僕なら、
- 基礎練習:10分
- リズムパターン:20分
- 曲の練習:30分
くらいに分けます。
最初の10分は基礎
シングルストローク、ダブルストローク、ルーディメンツなどを使って、まず体を動かしていきます。
ここで大切なのは、速さだけを求めないことです。
音が揃っているか。
力んでいないか。
スティックが自然に動いているか。
そういうところを確認します。
次の20分はリズム
その後の20分では、8ビート、16ビート、シャッフルなどのリズムパターンを練習します。
例えば今日は8ビートを中心にする。
明日は16ビート。
その次の日はシャッフル。
というように日ごとにテーマを変えても構いません。
8ビートを基礎から整理したい方はこちらも参考にしてください。
残りの30分は曲の練習
残りの30分は曲です。
ただし、ここで30分間ずっと最初から最後まで曲を通し続ける必要はありません。
むしろ、できない部分を細かく切り分けます。
例えば、
- Aメロのリズムが安定しない
- Bメロのバスドラムが難しい
- サビ前のフィルインだけできない
- フィルインのあと8ビートに戻れない
というように問題を具体的にします。
そして、その数秒だけを繰り返します。
できない場所を見つけて、そこだけ練習して、できるようになったら曲の中に戻す。
これを繰り返します。
曲を通すことと、曲を練習することは同じではありません。
できないところを見つけて修正していくことが練習です。

一番大切なのは「何時間練習したか」ではなく「続けたか」
10分、30分、1時間と紹介してきましたが、結局一番大切なのはここです。
何時間練習したかより、どれくらい続けたか。
僕はこれがものすごく重要だと思っています。
例えば、
「今日は1時間練習する時間がないからやめよう」
となってしまうと、ゼロになります。
それよりも、
「今日は忙しいから10分だけやろう」
でいいと思います。
10分やれば、その日はゼロではありません。
前日の感覚をもう一度思い出すことができます。
そして次の日にまた続きから始められます。
毎日必ず練習しなければ上達しないという意味ではありません。
仕事や学校、家庭がありますし、体調が悪い日もあります。
手首や腕などに痛みがあるときは、無理に練習するべきではありません。
休むことも練習の一部です。
ただ、できる状況なのであれば、長時間をたまにやるよりも、短時間でも頻繁にドラムに触れるほうが感覚を保ちやすいと思います。

モチベーションがなかなか続かないという方はこちらの記事も参考になると思います。
ドラムはショートカットして身につけるものではない
ここからは少し僕自身の考え方についてお話しします。
ドラムという楽器は、本当に奥が深いです。
ある程度叩けるようになるだけなら、それほど長い時間が必要ない場合もあります。
8ビートを一つ覚えて、簡単な曲を演奏するところまでは比較的早く到達できる人もいます。
しかし、そこからさらに、
- 良い音を出す
- リズムを安定させる
- グルーヴを作る
- 音量を自由にコントロールする
- 速いフレーズを力まずに叩く
- その場で音楽に反応する
というところまで追求していくと、終わりがありません。
最近は「最短」「効率」「コスパ」「タイパ」という言葉をよく聞きます。
もちろん僕も、効率の悪い練習をわざわざする必要はないと思います。
同じ結果が得られるのであれば、良い練習方法を選んだほうがいいです。
ただし、練習するという過程そのものを飛ばして、技術だけを一瞬で手に入れることはできません。
これは今のところショートカットできない部分です。
そして僕は、実はそこにドラムの面白さがあると思っています。
練習していると、自分自身の性格がものすごく出てきます。
すぐ速く叩きたくなる。
できないと焦る。
力でなんとかしようとする。
一度失敗しただけで嫌になる。
逆に、一つのことを何時間でも黙々と続けられる人もいます。
ドラムを練習していると、自分の癖を見ているような感覚になることがあります。
だからこそ、ドラムが上達するというのは、単に手足が速く動くようになるだけではないと僕は思っています。
「道」という考え方とドラムの練習
日本には、茶道、華道、剣道、柔道など、「道」という字がつく文化があります。
もちろんドラムは茶道や剣道ではありません。
歴史も文化もまったく違います。
ただ、僕自身は長くドラムをやっていると、ドラムの練習にも少し「道」に近い感覚があるなと思うことがあります。
目的だけを考えれば、
「この曲が叩ければいい」
「このテクニックができればいい」
という話になります。
でも実際には、そこへ行くまでに、
- できない
- 練習する
- 失敗する
- なぜできないのか考える
- もう一度やる
- 少しできるようになる
- さらに深く練習する
という過程があります。
僕は、この過程が人を成長させてくれるのだと思っています。
最初から全部できてしまったら、自分と向き合う機会もあまりありません。
できないからこそ考える。
失敗するから工夫する。
何度やってもできないから、今までと違う方法を試してみる。
そこでいろいろなことを学びます。

山頂へヘリコプターで行くのと、自分の足で登るのは違う
僕はこれを山登りに例えることがあります。
山頂へ行くことだけが目的なのであれば、極端な話、ヘリコプターで山頂へ行けば早いですよね。
一瞬で到着します。
でも、自分の足で山を登った場合はまったく違います。
途中で疲れます。
休憩もします。
「まだこんなにあるのか」と思うこともあります。
それでも少しずつ登ります。
途中で景色が変わります。
登る前にはわからなかったことがわかります。
そして自分の足で山頂まで行ったときには、単に「山頂にいる」という結果以外のものがたくさん残ります。
僕はドラムも同じだと思っています。
大切なのは、わざと苦労することではありません。
根性だけで無理をする必要もありません。
効率のいい方法を使えばいいです。
先生に習ってもいい。
動画を使ってもいい。
便利な道具を使ってもいい。
ただ、最後は自分の体を動かして、自分自身で経験しなければ身につかない部分があります。
その過程を経験したからこそ、身につけたものに価値を感じるのではないでしょうか。
「1万時間の法則」は目安として考えよう
何かを習得する話になると、「1万時間の法則」という言葉を聞くことがあります。
これはよく「1万時間練習すれば一流になれる」という形で紹介されますが、1万時間やれば必ずプロになれる、という単純な話ではありません。
練習の質や内容、指導環境、本人の経験など、さまざまな条件によって結果は変わります。
ですから、初心者の方が「まず1万時間練習しなければ」と考える必要はまったくありません。
僕はこの数字を、一つの技術を深く身につけるには、それくらい長い時間の積み重ねが必要になることもあるというイメージとして捉えています。
例えば、毎日3時間練習するとします。
3時間 × 365日 = 1,095時間
です。
これを1万時間まで積み重ねると、
10,000 ÷ 1,095 = 約9.1年
となります。
毎日3時間を約9年間です。
かなり長いですよね。
もちろん9年間続ければ必ずプロになれるという意味ではありません。
逆に、初心者が1曲叩けるようになるために9年必要という話でもありません。
ここで伝えたいのは、本当に深い技術というのは長い積み重ねの先にあるということです。
でも実際には、1万時間を見る必要はありません。
最初は10分です。
10分練習した。
次の日も10分練習した。
それが1週間になる。
1か月になる。
1年になる。
上達というのは、その積み重ねだと思います。

好きだから続けられる
仕事の場合は、働くことで給料をもらえます。
1日働いたら、その労働に対する対価があります。
一方で、趣味としてドラムを3時間練習しても、それだけでお金がもらえるわけではありません。
それでも何時間も練習できる。
何年も続けられる。
その大きな理由の一つが、やっぱり「好きだから」だと思います。
上達の対価は幸せ・楽しさです。
この曲を叩きたい。
このフレーズをできるようになりたい。
このドラマーみたいに演奏したい。
昨日できなかったものができるようになるのが楽しい。
この感情はすごく大切です。
ですから、初心者の方にいきなり「毎日3時間練習しましょう」と僕は言いません。
それよりも、自分が続けられる時間から始めることのほうが重要です。
10分ならできるのであれば10分でいいです。
もっとやりたくなったら30分にすればいい。
30分では足りなくなったら1時間やればいい。
そうやって自然に練習時間が増えていくのが一番いいと思います。
ドラムを続けられる人と、途中でやめてしまう人の違いについてはこちらでも詳しく書いています。
目標に向かってコツコツ進む力はドラム以外にもつながる
僕は、ドラムの練習で身につくものはドラムの技術だけではないと思っています。
何か目標を決める。
今の自分ではできない。
そこから毎日少しずつ近づいていく。
この経験自体がとても大切です。
受験勉強でも、仕事でも、スポーツでも同じようなところがあります。
大きな目標というのは、今日いきなり達成することはできません。
今日できることを一つやる。
次の日も一つやる。
それを何か月、何年と積み重ねる。
僕自身、ドラムを長く続けてきて、こういう考え方はドラム以外のところにもかなり影響していると感じます。
「できないから自分には才能がない」と考えるのではなく、
「今はまだできない。では何をやれば一歩近づくのか?」
と考えるようになります。
これができるかどうかで、人生のいろいろな場面で大きな違いが出てくるのではないかと思います。
まとめ|10分でもいいので、今日もドラムを叩こう
今回は「ドラムは毎日練習すれば上手くなるのか?」というテーマで、10分・30分・1時間の練習スケジュールを比較してきました。
まとめると、
- 練習すれば今の自分より少しずつ上手くなっていく
- 毎日練習すると昨日の感覚が残っているため、成長を確認しやすい
- 10分なら1つの練習項目に集中する
- 30分なら基礎10分+リズム10分+曲10分
- 1時間なら基礎10分+リズム20分+曲30分
- 長時間練習すること以上に継続することが大切
- できるようになるまでの過程そのものにも大きな価値がある
ということです。
ドラムという楽器は、長く続ければ続けるほど新しい課題が見つかります。
「これができれば完成」という場所は、なかなかありません。
だから面白いんですね。
最初から何時間も練習しようとしなくて大丈夫です。
今日は10分でも構いません。
昨日の自分よりほんの少しだけ上手くなることを目標に、今日もスティックを持ってみてください。
ドラムは、楽譜や動画を見ているだけでは分かりにくい部分がたくさんあります。
たとえば、どんな音を出せばいいのか、どのくらいの力加減で叩けばいいのか、曲に合わせるときに何を意識すればいいのかなど、実際に叩きながら覚えていくことが大切です。
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