こんにちは、ドラム講師の川島です。
ドラムを始めたばかりの方から、「スティックはどこを持てばいいですか?」「親指と人差し指で強く握った方がいいのでしょうか?」と質問されることがあります。
ドラムスティックの持ち方は、演奏のしやすさだけでなく、音量やスピード、音色のコントロールにも関係する大切な基本技術です。
しかし、ドラムのグリップにはいくつかの種類があり、必ずしも1つの持ち方だけが正解というわけではありません。
私自身、実際の演奏では手の向きや支点の位置を固定するのではなく、叩く場所やフレーズに合わせて自然に変化させています。
今回は、初心者が最初に覚えておきたいスティックの基本的な持ち方から、ジャーマン・フレンチ・アメリカンの3種類のグリップ、さらに中級者以上におすすめしたい脱力を重視した握り方まで解説します。
60分無料体験レッスン受付中!
初月レッスン料20%OFF
ドラムスティックの正しい持ち方とは?
最初に結論をお伝えすると、ドラムスティックは必要以上に強く握らず、自然に動かせる状態で持つことが大切です。
スティックを強く握り締めると、手首や指が自由に動きにくくなります。また、スティックがドラムに当たった後の跳ね返り(リバウンド)も利用しにくくなります。
まずは基本的な支点の位置と、指の添え方を覚えていきましょう。
スティックの支点はチップ側7:グリップエンド側3
スティックには、ドラムを叩く先端部分の「チップ」と、反対側の「グリップエンド」があります。
初心者におすすめしている支点の位置は、スティック全体の長さを約7対3に分けたところです。
- チップ側の長さ:約7割
- グリップエンド側の長さ:約3割
つまり、スティックのグリップエンドから約3割の位置が、最初に持つ場所の目安になります。
この位置を中心にスティックを動かすことで、スティックの重量やリバウンドを利用しやすくなります。
ただし、7対3は絶対的な決まりではありません。スティックの長さや重さ、手の大きさによって、実際に持ちやすい位置は多少変わります。
まずは7対3を目安にして、自然に振れる位置を探してみてください。

親指と人差し指で軽く持ち、残りの指を添える
支点の位置が決まったら、その付近を親指と人差し指で軽く保持します。
そして、中指・薬指・小指はスティックに軽く添えるようにします。
ここで大切なのは、親指と人差し指でスティックを強くつままないことです。
親指と人差し指はスティックを支える役割を持ちますが、残りの指もスティックの動きをコントロールするために使います。
スティックを落とさない程度に保持しながら、自然に動かせる状態を作りましょう。
ドラムスティックの基本的な3種類のグリップ
ドラムスティックの基本的な持ち方には、次の3種類があります。
- ジャーマングリップ
- フレンチグリップ
- アメリカングリップ
基本的な指の添え方は共通していますが、手の甲や親指の向きによって特徴が変わります。
① ジャーマングリップ|パワーを出しやすい持ち方
ジャーマングリップは、手の甲を上に向ける持ち方です。
両手でスティックを構えると、上から見たときにカタカナの「ハ」の字に近い形になります。
このグリップは、手のひらがスティックの上側を覆うような状態になるため、腕や手首の動きを使いやすいという特徴があります。
特にロックなどで8ビートを演奏するとき、スネアのバックビートを力強く叩く場面では使いやすいグリップです。
強いアクセントを表現しやすい反面、力が入りすぎると手首の動きが硬くなってしまうことがあります。
パワーを出しやすいグリップだからといって、強く握り締める必要はありません。
② フレンチグリップ|指を使った繊細な演奏に向いている
フレンチグリップは、ジャーマングリップから手の向きを変え、親指の爪が上を向くように構える持ち方です。
この状態では指を動かしやすく、フィンガーストロークと呼ばれる、指の動きを利用した細かなコントロールに適しています。
例えば、細かな音符を連続して演奏したり、小さな音量をコントロールしたりする場面では、フレンチグリップが使いやすく感じられることがあります。
スピードを重視したフレーズでも指の操作性を活用しやすい持ち方です。
ただし、速いフレーズはフレンチグリップでなければ叩けないという意味ではありません。
③ アメリカングリップ|パワーと操作性のバランスがよい
アメリカングリップは、ジャーマングリップとフレンチグリップの中間に位置する持ち方です。
手の甲を完全に上へ向けるわけでもなく、親指を完全に上へ向けるわけでもありません。
腕や手首の動きと、指によるコントロールを組み合わせやすいため、幅広い演奏に対応しやすいグリップです。
力強いストロークから繊細な演奏まで対応しやすく、バランスの取れた持ち方といえるでしょう。

3種類のグリップの違いを比較
| グリップ | 手の向き | 特徴 | 演奏例 |
|---|---|---|---|
| ジャーマン | 手の甲が上 | 腕や手首を使ってパワーを出しやすい | ロックのバックビート、強いアクセント |
| フレンチ | 親指が上 | 指を使った細かなコントロールがしやすい | フィンガーストローク、細かな連打 |
| アメリカン | 両者の中間 | パワーと操作性を両立しやすい | 幅広いリズム、フィルイン |
このように、それぞれのグリップには特徴があります。
ただし、ここで紹介した違いはあくまでも基本的な傾向です。ジャーマングリップでも指を使った演奏はできますし、フレンチグリップでも強い音を出すことは可能です。
手の向きだけで演奏能力が決まるわけではないことを覚えておきましょう。
スティックの動かし方やストロークについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
実際の演奏ではグリップは自然に変化する
ここからが、私がスティックの持ち方について特にお伝えしたいことです。
ここまで3種類のグリップを紹介しましたが、実際の演奏では「今はジャーマングリップ」「次はフレンチグリップ」というように、常に分類を意識しているわけではありません。
例えば、スネアを叩いているときと、ハイタムやフロアタムを叩いているときでは、腕や手首の位置が変わります。
ライドシンバルに移動した場合も、スティックを自然に振るための角度が変わってきます。
その結果、手の甲や親指の向きも自然に変化します。
また、強いアクセントを叩くときと、弱いゴーストノートを叩くときでも、指の使い方やスティックの支え方が変化することがあります。
大切なのは、3種類のグリップを厳密に守り続けることではなく、その瞬間に叩きやすい自然なフォームを使うことです。
初心者は最初に1つのグリップを決めて練習しよう
ただし、ドラムを始めたばかりの方には、最初から自由にグリップを変えることをおすすめしているわけではありません。
まずはジャーマングリップなど、基本となる1つの持ち方を決めて練習してみてください。
毎回持ち方が変わってしまうと、スティックの動かし方や手首の使い方が安定しにくくなる場合があります。
基本的なフォームが身についてから、演奏する場所やフレーズに合わせて少しずつ変化させていくとよいでしょう。
初心者におすすめのグリップ練習方法
ここでは、スティックを持つところから、実際に叩くところまでを段階的に練習していきましょう。
ステップ1:7対3の位置でスティックを持つ
まずはスティックの長さを確認し、グリップエンドから約3割の位置を親指と人差し指で軽く保持します。
中指・薬指・小指を自然に添え、強く握らない状態を作ります。
ステップ2:手の甲を上に向けて構える
両手をジャーマングリップの形にして、自然な位置でスティックを構えます。
肩を上げたり、肘を必要以上に広げたりせず、無理のない姿勢を意識してください。
ステップ3:ゆっくりシングルストロークを叩く
練習パッドなどを使って、右手と左手を交互に叩いてみましょう。
最初はゆっくりとしたテンポで構いません。
スティックが自然に跳ね返ってくる感覚を確認しながら、音量とタイミングを揃える練習をします。
特に、叩いた瞬間に親指と人差し指でスティックを強く握り締めていないか確認してください。
ステップ4:余計な力が入っていないか確認する
演奏中に手首や前腕が必要以上に硬くなっていないか確認しましょう。
脱力とは、スティックを支える力まで完全になくすことではありません。
必要な力は使いながら、不要な力を減らしていくことが大切です。
力を抜く感覚がわからない方は、こちらの記事も参考にしてください。
ステップ5:ドラムセット内を移動してみる
基本的なストロークが安定してきたら、スネアからハイタム、フロアタム、シンバルへと移動してみましょう。
その際、手の甲や親指の向きを無理に固定する必要はありません。
各楽器を自然に叩ける位置を探しながら、腕・手首・指の動きを確認してください。
ドラムを始めたばかりの方は、基本練習の順番をまとめたこちらの記事もおすすめです。
中級者以上におすすめ!支点を固定しない脱力グリップ
ここからは、少し発展的なスティックの持ち方を紹介します。
これまで説明した基本的なグリップでは、親指と人差し指で支点を作ってスティックを動かしていました。
しかし、実際の演奏では、必ずしも親指と人差し指で明確な支点を作り続ける必要はありません。
私がよく活用しているのが、親指と人差し指で支点を強く固定せず、脱力した状態でスティックをコントロールするグリップです。
支点を固定しないグリップの持ち方
基本的な方法は次のとおりです。
- 人差し指の第二関節付近にスティックを軽く引っ掛けるようにします。
- 親指はスティックの外側に軽く添える程度にします。
- 親指と人差し指でスティックを強くつままないようにします。
- 中指・薬指・小指も活用してスティックをコントロールします。
このグリップでは、親指と人差し指の一点を強く固定するのではなく、指全体でスティックの動きに対応していきます。
なお、「支点を作らない」というのは、スティックを支える場所が一切存在しないという意味ではありません。
親指と人差し指で固定した支点を作らず、スティックが自然に動けるようにするという考え方です。
支点を固定しないグリップの3つのメリット
① 余計な力を使わずに演奏しやすい
親指と人差し指で強く握り込まないため、手や指の余計な緊張を減らしやすくなります。
スティックを無理に動かそうとするのではなく、自然な動きを利用する感覚です。
この感覚が身についてくると、少ない力でも安定したストロークを行いやすくなります。
② ドラム本来のオープンサウンドを引き出しやすい
私がこのグリップで特にメリットを感じているのは、ドラムの響きを引き出しやすいことです。
スティックを強く握り締めたり、打面に押さえつけたりすると、自然なリバウンドを妨げてしまう場合があります。
反対に、スティックの動きを必要以上に制限しないことで、ドラム本来の豊かな響きを引き出しやすくなります。
私はこのような響きを「オープンサウンド」として意識しています。
もちろん、実際の音色は打点、ストローク、チューニング、楽器の状態などによっても変わります。
しかし、グリップの力加減も音のコントロールを考えるうえで大切な要素の1つです。
ドラムの音色をコントロールする考え方については、こちらの記事でも解説しています。
③ アクセント直後のゴーストノートが叩きやすい
もう1つ大きなメリットは、ゴーストノートをコントロールしやすいことです。
ゴーストノートとは、非常に小さな音量で演奏する音のことです。
例えば、スネアで強いアクセントを叩いた直後に、弱いゴーストノートを入れるフレーズを考えてみましょう。
アクセントを叩いた後にスティックを強く握り込んでしまうと、次の小さな音を出すための動きが硬くなる場合があります。
支点を強く固定しないグリップでは、スティックの動きを柔軟にコントロールしやすくなるため、このような音量差の大きいフレーズでも扱いやすく感じられます。
私自身、特にアクセント直後のゴーストノートでは、この持ち方のメリットを感じています。

高速ダブルストロークでは支点を作るグリップに切り替える
ここまで支点を固定しないグリップのメリットを説明してきましたが、すべての演奏でこの持ち方が最適というわけではありません。
私の場合、スローテンポからミディアムテンポ、さらにミディアムファースト程度までであれば、このグリップを幅広く活用できます。
しかし、非常に速いテンポで細かなダブルストロークや高速連打を演奏するときには、親指と人差し指で明確な支点を作る方がコントロールしやすい場面があります。
支点を明確にすることで、速い動きの中でもスティックの軌道を安定させやすくなるからです。
ただし、支点を作ることと、スティックを強く押さえつけることは別です。
速いフレーズでも、必要以上の力みは避けるようにします。
普段は柔軟に、高速フレーズでは必要に応じて支点を明確にする
私がおすすめするのは、演奏の状況に応じてグリップを使い分ける考え方です。
- 通常の演奏:支点を強く固定せず、脱力を重視して柔軟にコントロールする。
- 強いアクセント:必要な音量に合わせて腕や手首の動きを活用する。
- 繊細なゴーストノート:指の動きやリバウンドを活用して小さな音をコントロールする。
- 高速ダブルストローク:必要に応じて親指と人差し指の支点を明確にし、スティックの動きを安定させる。
例えば、通常のリズムを脱力したグリップで演奏し、細かな高速フレーズに入る瞬間だけ支点を明確にするという方法です。
そして、高速フレーズが終わったら、再び自然なグリップへ戻していきます。
この切り替えを繰り返すことで、必要な場面で必要な動きを使えるようになっていきます。

もちろん、これは私が実践している1つの方法です。ドラマーによって手の構造や得意な動きは異なるため、必ずしも全員が同じ使い分けをする必要はありません。
大切なのは、実際に音を出して試しながら、自分にとって最も自然なコントロール方法を探すことです。
ダブルストロークの具体的な練習方法については、こちらの記事をご覧ください。
スティックの持ち方で初心者がよく悩むこと
Q1. 初心者はどのグリップから練習すればよいですか?
まずはジャーマングリップなど、基本となる持ち方を1つ決めて練習することをおすすめします。
手首や指の動かし方が安定してきたら、アメリカングリップやフレンチグリップにも挑戦してみましょう。
Q2. スティックは親指と人差し指で強くつまんだ方がよいですか?
強くつまむ必要はありません。
スティックが自然に動き、必要なときにコントロールできる程度の力で保持することが大切です。
強く握ることで安定したように感じても、リバウンドを利用しにくくなる場合があります。
Q3. スティックの7対3の位置は必ず守る必要がありますか?
7対3は基本的な目安です。
使用するスティックの重さや長さ、手の大きさなどによって、持ちやすい位置は多少変化します。
最初は7対3を基準にしながら、自然に振れてコントロールしやすい位置を探してみてください。
スティック自体の選び方については、こちらの記事でも紹介しています。
Q4. 演奏中にグリップが変わってもよいのでしょうか?
はい。基本的なコントロールができていれば、演奏中にグリップが自然に変化しても問題ありません。
ドラムセットの各楽器へ移動したり、音量やフレーズが変わったりすることで、手の向きや指の使い方が変化するのは自然なことです。
ただし、初心者のうちは基本となるフォームを安定させることも大切です。
まとめ|正しいグリップは演奏に合わせて変化する
今回は、ドラムスティックの基本的な持ち方から、中級者以上に向けた脱力グリップまで解説しました。
重要なポイントを整理しておきましょう。
- 初心者はチップ側7:グリップエンド側3の位置を支点の目安にする。
- 親指と人差し指で軽く保持し、中指以降の指を自然に添える。
- ジャーマングリップはパワーを出しやすい。
- フレンチグリップは指を使った繊細なコントロールに向いている。
- アメリカングリップはパワーと操作性のバランスがよい。
- 実際の演奏では、叩く場所やフレーズに合わせてグリップが自然に変化する。
- 中級者以上は、支点を強く固定しない脱力グリップも試してみる。
- 高速フレーズでは、必要に応じて支点を明確にする方法も有効。
私が大切だと考えているのは、特定のグリップを正解と決めつけないことです。
最初は基本的な持ち方を覚える必要がありますが、演奏経験を積むにつれて、手の向きや指の使い方は自然に変化していきます。
ドラムは、音楽に合わせてさまざまな音量や音色を表現する楽器です。
スティックの持ち方も、その表現を実現するための手段の1つです。
形にこだわりすぎず、自然に叩けて、自分が出したい音を表現できるグリップを探していきましょう。
ドラムの持ち方を基礎から身につけたい方へ
スティックの持ち方は、文章や図解を見て理解することもできますが、実際に自分の手で叩いてみると、力の入り方やスティックの動きに気づくことがあります。
川島広明ドラム教室では、初心者の方にもスティックの持ち方から丁寧にレッスンしています。
手首の使い方や脱力の状態なども、一人ひとりの演奏を確認しながらアドバイスしています。
「自分の持ち方が合っているのかわからない」「スティックを持つと力が入ってしまう」という方も、お気軽に無料体験レッスンへお越しください。







