スネアではダブルストロークを叩けるのに、ハイタムやフロアタムへ移動した瞬間、音が途切れたり腕が固まったりすることはありませんか。
今回取り上げるブロークンダブルストロークのエクササイズでは、右右左左の手順を保ちながら、スネア・ハイタム・フロアタムへ音を振り分けていきます。
添付譜面は、RRLLを基本として、各打を異なる太鼓へ段階的に移動させていく内容です。1ページ目から2ページ目にかけて配置が少しずつ変化するため、上から一段ずつ練習するのがポイントです。
譜面上にはBPM130と書かれていますが、最初は速さを求めず、BPM50〜60程度から始めましょう。
この記事では、特に難しいスネアから外側のタムへ向かう動きと、腕を固めず円を描くように移動する方法を詳しく解説します。
ブロークンダブルストロークとは?
通常のダブルストロークは、同じ場所で右手を2打、左手を2打ずつ叩きます。
基本手順は次のとおりです。
右・右・左・左|RRLL
ブロークンダブルストロークでも、手順自体は変わりません。違うのは、同じ手の2打を同じ太鼓で叩かず、スネアやタムへ振り分ける点です。
たとえば、右手の2打を次のように分けます。
・右手1打目:スネア
・右手2打目:フロアタム
左手なら、次のように分けられます。
・左手1打目:スネア
・左手2打目:ハイタム
つまり、ダブルストロークの手順を保ちながら、同じ手で違う場所を連続して叩くのがブロークンダブルストロークです。
この技術を身につけると、単純なタム回しだけでは作れない、音の動きが大きいフィルインを作りやすくなります。
ダブルストローク自体がまだ安定していない場合は、まず同じ場所で2打を均等に叩く基本から確認しておきましょう。

今回使用するエクササイズの見方
添付譜面では、音符の下にRとLが書かれています。
・R:右手
・L:左手
・RRLL:右・右・左・左
譜面上の音符の高さは、叩く太鼓の位置を表しています。基本手順はRRLLのままですが、スネア、ハイタム、フロアタムへの振り分けが一段ごとに変化します。
ここで大切なのは、譜面全体を最初から最後まで一気に叩こうとしないことです。
まずは一段だけを選び、その段の中で、
・どちらの手が移動するのか
・外から内へ動くのか
・内から外へ動くのか
・1打目と2打目をどこで叩くのか
を確認します。
手順と太鼓の場所を同時に覚えると混乱しやすいため、先にRRLLを声に出して確認してから、太鼓の配置を加えると覚えやすくなります。
ダブルストロークにはRRLL以外にも複数の始め方があります。手順の違いを練習へ広げたい場合は、こちらの記事も参考になります。
最初はスネアだけでRRLLを確認する
タムへ移動する前に、まずスネアだけでRRLLを叩きます。
この段階では速く叩く必要はありません。次の点を確認してください。
・右手の2打が詰まっていない
・左手の2打が詰まっていない
・16分音符の間隔が均等
・2打目を無理に押し込んでいない
・右手から左手へ自然につながっている
音符を目で追うだけでなく、手順を言葉にすると、体の動きとリズムを結びつけやすくなります。
また、ブロークンダブルストロークでは、同じ手の2打目で別の太鼓へ移動することがあります。そのため、通常のダブルストロークのように、スティックの跳ね返りだけに頼りすぎないことも大切です。
1打目の後に手が同じ場所へ戻ってしまうと、次の太鼓への移動が遅れます。スネアだけで練習するときから、握り込まず、次の動きに移れる余裕を残しておきましょう。
手順を理解してからドラムセットへ展開する考え方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
外側から内側へ戻る動きを練習する
ブロークンダブルストロークでは、外側から内側へ戻る動きの方が、比較的スムーズに行いやすい傾向があります。
具体的には、次のような動きです。
・右手:フロアタムからスネアへ
・左手:ハイタムからスネアへ
フロアタムやハイタムを叩いた後、体の中心にあるスネアへ戻ります。
このとき、腕を横方向へ直線的に引っ張らないようにしましょう。
タムを叩いたスティックが、ドラムヘッドの面を払うように、緩やかな円や弧を描きながらスネアへ戻るイメージです。
2つの音を別々に考えない
「タムを叩く」「その後スネアへ戻る」と一打ずつ分けて考えると、動作が途中で止まりやすくなります。
そうではなく、一つの円運動の中に2つの打点があると考えてください。
たとえば、右手でフロアタムからスネアへ移動する場合は、
- フロアタムへ向かってスティックを下ろす
- 打った反動を利用しながら内側へ戻る
- 円の途中でスネアを叩く
という一連の流れです。
肩や肘を固定せず、前腕と手首を連動させます。体の中心へ戻る方向は自然な軌道を作りやすいため、まずはこちらから練習すると感覚をつかみやすいでしょう。

内側から外側へ移動する動きが難しい理由
次に練習するのが、内側のスネアから外側のタムへ移動する動きです。
具体的には、次のような移動です。
・右手:スネアからフロアタムへ
・左手:スネアからハイタムへ
この動きは、外側からスネアへ戻る動きよりも難しく感じる人が多いでしょう。
理由の一つは、最初のスネアを強く叩くと、スティックが大きく跳ね返り、腕がスネアの上に残りやすくなるためです。
スネアをしっかり鳴らそうとして大きく振り下ろすと、打った後に一度上へ戻ってから、外側のタムへ移動することになります。
すると移動経路が長くなり、2打目が遅れます。
スネアを叩く前から移動を始める
内側から外側へ動くときは、「スネアを叩き終えてからタムへ移動する」と考えないようにします。
スネアを叩いた瞬間には、すでに次のフロアタムやハイタムへ向かっている感覚が必要です。
1打目は到着点ではなく、2打目へ向かう途中の通過点です。
そのため、最初のスネアは強く叩かず、ヘッドへ軽く触れる程度の小さな音から練習してみてください。

1打目を軽く、2打目を大きくする
スネアからタムへ移動するブロークンダブルストロークでは、最初の段階で次の音量差を意識すると、動作が滑らかになりやすくなります。
・1打目のスネア:小さく、軽く、脱力する
・2打目のタム:1打目より大きく、はっきり鳴らす
通常のダブルストローク練習では、1打目と2打目の音量を揃えることも重要です。
しかし、このエクササイズでは、音量を揃えることより先に、スネアからタムへの移動を止めずに行う必要があります。
1打目で力を使い切らない
1打目のスネアを強く叩くと、その瞬間に腕の動きが完結してしまいます。
そこで、1打目は小さく叩き、2打目に向かってエネルギーを流すようにします。
感覚としては、
小さく触れる → 大きく着地する
という流れです。
右手なら、スネアを軽く叩いた後、フロアタムへ向かって腕を開きます。
左手なら、スネアを軽く叩いた後、ハイタムへ向かって腕を移動させます。
2打目のタムを少し大きく鳴らす意識を持つと、腕が1打目の位置で止まりにくくなります。
最終的には音量を自由に変えられるようにする
ただし、ブロークンダブルストロークでは常に2打目を強くしなければならない、という意味ではありません。
これは、動作を滑らかにするための練習方法です。
移動に慣れたら、次の段階へ進みます。
・1打目と2打目の音量を揃える
・1打目を大きくする
・2打目を大きくする
・アクセントを自由に移動させる
まずは「動作を止めない」ことを優先し、その後に音量のコントロールを加えていきましょう。
ストロークの高さと音量の関係を整理したい場合は、ダウンストロークやタップストロークの基礎も確認しておくと理解しやすくなります。

円を描くように腕を動かす
ブロークンダブルストロークでは、腕を横方向へ直線的に動かそうとすると力みやすくなります。
スネアとタムは、高さも位置も異なります。
そのため、横移動と上下のストロークを別々に行うのではなく、一つの円運動としてまとめることが大切です。
手首だけで無理に移動しない
手首だけでタムへ届かせようとすると、手首が不自然に曲がります。
反対に、肩から腕全体を大きく振り回すと、移動距離が増え、次の音に間に合いません。
次の3つを連動させましょう。
・肘
・前腕
・手首
肘は進行方向を作り、前腕が横方向の移動を支え、手首が打点を調整します。
どこか一つだけで動かすのではなく、全体が少しずつ連動することが理想です。
スティック先端の軌道を見る
練習中は、自分の腕そのものより、スティックの先端がどのように動いているかを確認してみてください。
良い動きでは、スティックの先端が緩やかな弧を描きます。
悪い動きでは、
- 一度真上へ上がる
- 横へ移動する
- 次の太鼓へ振り下ろす
という3つの動作に分かれます。
動作が分かれるほど、速いテンポでは間に合わなくなります。
ドラムヘッドをなでるわけではない
「ヘッドの面を払うように」と説明すると、表面を横になでるように叩くイメージを持つかもしれません。
実際には、打点ではスティックをヘッドにしっかり当てます。
円や弧を描くのは、打点から次の打点へ移動する軌道です。
音を弱くぼかすのではなく、移動だけを滑らかにする意識を持ちましょう。
力を抜こうとしても腕が固まってしまう場合は、脱力そのものを作ろうとするより、動きが止まっている原因を探すことが大切です。

添付譜面を練習する順番
添付譜面は、上から順番に音の配置が変化していきます。最初から全体を通すのではなく、次の7段階で練習しましょう。
ステップ1:1段だけを繰り返す
まずは譜面の一段だけを選び、4〜8回繰り返します。
この段階ではテンポを上げず、音符の間隔と太鼓の位置を確認します。
できたと判断する基準は次のとおりです。
・RRLLを間違えない
・16分音符の間隔が均等
・太鼓の中心付近を叩ける
・肩が上がらない
・4回以上止まらず繰り返せる
ステップ2:右手の移動だけを確認する
次に、右手がどの太鼓を移動しているかだけを確認します。
左手は一度無視しても構いません。
右手が、
・スネア→フロアタム
・フロアタム→スネア
のどちらへ動いているのかを確認します。
右手だけで該当する2打を繰り返してから、RRLLへ戻すとわかりやすくなります。
ステップ3:左手の移動だけを確認する
今度は左手に注目します。
左手が、
・スネア→ハイタム
・ハイタム→スネア
のどちらへ動いているかを確認してください。
右手と左手を同時に理解しようとせず、片方ずつ分けることがポイントです。
ステップ4:外から内への移動を練習する
右手はフロアタムからスネアへ、左手はハイタムからスネアへ戻る動きを練習します。
この段階では、タムを叩いた後に腕を止めず、自然に中央へ戻せるかを確認します。
できたと判断する基準は、タムの後のスネアが遅れず、音符の間隔が均等になっていることです。
ステップ5:内から外への移動を練習する
次に、スネアから外側のタムへ移動します。
ここでは、最初のスネアを小さく叩いてください。
できたと判断する基準は、次のとおりです。
・スネアを叩いた後に腕が止まらない
・2打目のタムへ間に合う
・タムを外さない
・肩や肘が急に上がらない
・1打目より2打目へ動きが流れている
ステップ6:2段をつなげる
1段ずつ安定したら、隣り合う2段をつなげます。
このとき、段の変わり目で止まりやすくなります。
譜面の最後の1拍と、次の段の最初の1拍だけを取り出して練習すると、つなぎ目を改善しやすくなります。
ステップ7:譜面全体を通す
最後に譜面全体を通します。
ただし、途中で大きく崩れる場合は、無理に最後まで続けなくても構いません。
崩れた段を特定し、再び一段だけの練習へ戻りましょう。
譜面全体を通せる基準は、次のとおりです。
・RRLLを考えすぎず流れで叩ける
・メトロノームと大きくずれない
・太鼓の移動で音符が詰まらない
・段の変わり目で止まらない
・腕の動きが急に大きくならない
基礎から応用へ進む練習の順番については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
おすすめのテンポ設定
添付譜面にはBPM130と記載されていますが、最初からそのテンポで叩く必要はありません。
BPM130は、動作が身についた後の目標の一例と考えましょう。
最初は次のように進めてください。
- BPM50〜60から始める
- 一段を4〜8回繰り返す
- 音符と移動が安定したらBPMを2〜5上げる
- 崩れたら直前のテンポへ戻す
- 再び安定したら少しずつ上げる
たとえば、BPM60で安定したら、BPM63、65、68というように上げます。
BPM70で崩れた場合は、BPM65や68へ戻ってください。
テンポを下げるのは後退ではありません。正しい動作を体へ覚えさせるための調整です。
速さより移動の滑らかさを優先する
このエクササイズの目的は、BPM130で演奏することだけではありません。
次の音へ動作を止めずにつなげることが本来の目的です。
速く叩けても、
・タムの中心を外す
・音符が詰まる
・肩が上がる
・スネアからタムへ飛びつく
・1打ごとに腕が止まる
という状態では、実際のフィルインへ応用しにくくなります。
まずは、遅いテンポで円運動を保てることを優先しましょう。
うまくできないときの原因と改善方法
スネアからタムへ間に合わない
原因は、1打目のスネアを強く叩きすぎている可能性があります。
スネアを大きく鳴らすと、その場で腕の動きが終わり、次のタムへの移動が遅れます。
スネアは軽く触れる程度にし、叩いた瞬間には次のタムへ向かいましょう。
スネアを叩いてから移動するのではなく、移動の途中でスネアを叩くという感覚が大切です。
タムの中心を外してしまう
速さを優先すると、移動距離が安定しません。
また、スネアを叩いた後にタムの位置を見てから移動すると、2打目が遅れます。
まずはBPM50程度まで下げ、同じ軌道を何度も繰り返しましょう。
太鼓の位置を目で探すのではなく、腕が移動距離を覚えるまで反復します。
肩が上がってしまう
腕全体を持ち上げてタムへ移動しようとすると、肩に力が入ります。
肘を高く持ち上げる必要はありません。
肘は進行方向へ少し開き、前腕と手首を連動させます。
スティックの先端が必要な高さだけ上がっていれば十分です。
2打目が弱くなる
1打目で力を使い切ると、2打目のタムが弱くなります。
スネアを軽く叩き、動きの勢いを2打目へつなげてください。
2打目を無理に強く叩き込むのではなく、腕の移動がそのまま音量につながる状態を目指します。
手順がわからなくなる
太鼓の場所とRRLLを同時に覚えようとすると、混乱しやすくなります。
まず机や練習パッドでRRLLを確認しましょう。
次に、右手だけの移動、左手だけの移動を練習します。
最後に両手を組み合わせます。
手順を変えてもフィルインとして成立させる考え方については、こちらの記事も参考になります。
フィルインに入ると体が固まる
譜面単体では叩けても、リズムパターンからフィルインへ入ると体が固まることがあります。
これは、フィルインを特別な動作として準備しすぎている可能性があります。
フィルインの直前に腕を構え直さず、通常のリズムから同じ拍の流れで入ることが大切です。
フィルインで体が固まる原因については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
ブロークンダブルストロークをフィルインへ応用する方法
譜面が安定したら、練習パターンのまま繰り返すだけでなく、実際のフィルインへ応用してみましょう。
最初は次の3つがおすすめです。
4拍目だけに入れる
8ビートなどのリズムを3拍目まで叩き、4拍目だけブロークンダブルストロークを入れます。
1小節すべてをフィルインにするより短いため、元のリズムへ戻りやすくなります。
4拍目の16分音符をRRLLで叩き、スネア、ハイタム、フロアタムへ振り分けてみましょう。
次の小節の1拍目は、クラッシュシンバルとバスドラムで着地します。
アクセントを変える
移動に慣れたら、2打目のタムだけを強くする練習から、アクセントを自由に変える練習へ進みます。
・すべて同じ音量
・右手の2打目だけ強くする
・左手の2打目だけ強くする
・各拍の最初だけ強くする
音量を変えると、同じRRLLでも違うフレーズに聴こえます。
アクセント移動をダブルストロークやパラディドルへ応用する方法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
ブロークンダブルストローク練習のまとめ
ブロークンダブルストロークは、RRLLの基本手順を保ちながら、スネア・ハイタム・フロアタムへ音を振り分ける練習です。
今回のポイントを振り返ります。
・基本手順は右右左左のRRLL
・外側から内側へ戻る動きは比較的行いやすい
・右手はフロアタムからスネアへ戻す
・左手はハイタムからスネアへ戻す
・内側から外側へ動くときは1打目のスネアを軽くする
・1打目で力を使い切らず、2打目のタムへ動きを流す
・腕を直線的に動かさず、円や弧を描くように移動する
・最初はBPM50〜60程度から練習する
・BPM130は最終目標の一例として考える
・速さよりも動作の滑らかさを優先する
・慣れたら2打の音量を揃えたり、アクセントを変えたりする
ブロークンダブルストロークでは、1打ずつ正解の場所へ当てるだけでなく、前の音から次の音へどのようにつなぐかが重要です。
速く叩くことより、動作が止まらず、次の音へ自然に流れていくことを大切にしましょう。
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