こんにちは、ドラム講師の川島です。
今回は、バスドラムで非常に速いダブルストロークやトリプルストロークを入れる方法について解説していきます。
バスドラムのダブルというと、16ビートなどのリズムの中で「ドドッ」と2回踏む奏法をイメージする方が多いと思います。
ただ、今回紹介するダブルは、それとは少し使い方が違います。
ドラムソロやフィルインなどで、
- ドッ・ドン
- ドドッ・ドン
というように、主音の直前へ装飾音を入れるための高速ダブル・トリプルです。
手で演奏するドラッグのようなニュアンスを、バスドラムでも表現するイメージです。
このような非常に速い2連打では、足を単純に上下させるだけではなく、フットボードの後ろから前へ足を滑らせる「スライド奏法」を使います。
さらに、この高速ダブルの動きを利用すると、かなり速い3連打も演奏できるようになります。
この記事では、
- 高速ダブルの足の動かし方
- スライド奏法のポイント
- 1打目と2打目の音量差
- 高速トリプルストロークへの発展
- 2打目から3打目への足の切り替え
- 装飾音として実際の演奏へ使う方法
という順番で解説していきます。
通常のバスドラムのダブルストロークとの違いがまだ曖昧な方は、最初にこちらの記事も確認してみてください。

バスドラムの高速ダブルストロークとは?
今回紹介する高速ダブルストロークは、一定のリズムを刻むためのダブルというより、ドラッグや装飾音として一瞬だけ2打を入れるための奏法と考えると分かりやすいです。
例えば、大きなバスドラムの音を「ドン」と1発鳴らす直前に、小さな音を1つ入れます。
「ド・ドン」
という感じですね。
この「ド」の部分が装飾音です。
手で演奏するドラッグやフラムなどでも、主音の前へ小さな音を入れることで音に厚みや勢いを作ることがあります。
それと似た考え方をバスドラムで使います。
この場合、大切なのは2打をものすごい力で踏むことではありません。
むしろ1打目は小さくても構いません。
重要なのは、
1打目から2打目までの時間をできるだけ短くすること
です。
そこで使いやすいのがスライド奏法です。
高速ダブルではスライド奏法を使う
スライド奏法では、足をその場で上下させて2回踏むという考え方をいったん外します。
基本的な動きは、
後ろ → 前
です。
1打目はフットボードの後ろ側を踏む
まず、足を普段より少しフットボードの後ろ側へ置きます。
その位置から、つま先付近を使って1打目を踏みます。
このとき、思い切り踏み込む必要はありません。
どちらかというと、フットボードの後ろ側へ足を軽く落とすような感覚です。
1打目は装飾音として使用することが多いため、多少小さい音でも問題ありません。
上下ではなく前へ足を動かす
1打目を踏んだあと、その場でもう一度足を上げようとすると、高速化するのが難しくなります。
そこで1打目を踏んだ位置から、そのまま足をフットボード前方へ滑らせます。
つまり、
1打目を踏む
↓
足を前へスライド
↓
2打目を踏む
という流れです。
足を「上・下、上・下」と2回動かすのではなく、1つの前方向への動きの中で2打を作ると考えてみてください。

前へ滑らせながら2打目を踏む
1打目を踏んだあと、その勢いを完全に止めずにフットボード前方へ移動します。
そして前へ滑ったところで2打目を踏みます。
この2打目はフットボードの前側で踏むため、1打目よりも力を伝えやすくなります。
そのため自然に、
1打目=小さめ
2打目=大きめ
という音になりやすいです。
これが装飾音として高速ダブルを使う場合には非常に都合がいいわけです。
通常のダブルストローク自体がまだ安定していない場合は、高速化する前にこちらの練習も行ってみてください。
高速化するときほど、速く踏もうとするより、小さい動きで自然に2打鳴るポイントを探すことが大切です。
1打目が小さく2打目が大きくなっても問題ない
スライド奏法を練習すると、
「1打目だけ音が小さくなります」
ということがあります。
これは必ずしも失敗ではありません。
今回のようにドラッグや装飾音として使う場合は、むしろその音量差を利用できます。

例えば、
小 → 大
という2打にすると、2打目の主音へ向かって勢いが生まれます。
「ド・ドン」というイメージですね。
装飾音は主音より小さいからこそ、主音がより大きく感じられます。
一方で、2打をほぼ同じ音量で鳴らしたい場面もあります。
その場合は、
- 1打目を踏む位置
- 足を落とす強さ
- スライドする距離
- 2打目の踏み込み
などを微調整していきます。
完全に同じ音量を目指すというより、まずは意図して音量差を変えられる状態を目指してみてください。
高速トリプルストロークは「スライドダブル+1打」で考える
ここからは3連打です。
高速のトリプルストロークというと、
「どうやって足を3回も素早く動かすの?」
と思うかもしれません。
ただ、3回すべてを別々の動作として考える必要はありません。
今回紹介する方法では、
スライド奏法のダブル+最後の1打
として考えます。
動きを分けると次のようになります。
- フットボード後方で1打目
- 前へスライドして2打目
- つま先を上げる
- 足を落として3打目
つまり、最初の2打については先ほど練習した高速ダブルとほぼ同じです。
違うのは2打目の直後です。
2打目から3打目への切り替えが最大のポイント
高速トリプルで最も重要なのは、2打目と3打目のつながりです。
2打目を踏んで、
「よし、次は3打目だ」
と考えてから足を上げていたのでは間に合いません。
2打目を踏む動作と、3打目の準備をほぼ同時に行います。
2打目をスライドで踏むときに、つま先側を持ち上げるような動きを加えます。
すると、かかと側がフットボード後方へ触れるような動きになることがあります。
そこから足全体を落とし、ヒールダウンに近い動きで3打目を踏みます。
流れとしては、
後ろで1打目
↓
前へ滑って2打目
↓
その動きの中でつま先を上げる
↓
足を落として3打目
です。
この「2打目を叩き終えてからつま先を上げる」のではなく、2打目とつま先を持ち上げる動作をつなげるところが重要です。
最初はかなり複雑に感じると思います。
そのため、いきなり高速で3打を叩こうとせず、まずは足の動きだけをゆっくり確認してください。
高速トリプルをドラッグとして使う
このトリプルストロークも、3打を完全に同じ音量で鳴らすことだけが目的ではありません。
装飾音として使う場合は、
小・小・大
という音量バランスが非常に使いやすいです。

文字で表現すると、
「タ・タ・ドン」
という感じです。
最初の2打を装飾として入れて、最後の3打目を主音として鳴らします。
例えばフィルインの最後に、スネアやタムからバスドラムへつなげて「タタドン」と入れるだけでも、普通に1発バスドラムを踏むのとはかなり違った勢いが出ます。
ドラムソロの中で、手のフレーズとバスドラムを組み合わせる場合にも使えます。
大切なのは、単に「足で3回速く踏める」という技術で終わらせないことです。
どこを装飾音にして、どこを主音として聴かせるのか。
そこまでコントロールできると、テクニックが音楽として使えるようになってきます。
高速ダブル・トリプルがうまくいかない原因
足を上下だけに動かしている
今回の高速ダブルでは、前後方向の動きが重要です。
その場で足を2回上下させようとすると、一定以上の速さから急激に難しくなります。
まずは速さより「後ろ→前」という軌道を確認しましょう。
力を入れすぎている
「速い=強く踏む」ではありません。
足首や膝を固めてしまうと、ペダルの戻りを邪魔してしまうことがあります。
踏んだ後に足が次の動作へ移れる程度の余裕を残しておきましょう。
2打目が終わってから3打目を準備している
高速トリプルでは特に重要です。
2打目と3打目を完全に別々の動作にしてしまうと、間に隙間ができてしまいます。
2打目の段階ですでに3打目へ向かう準備を始めます。
最初から速すぎる
高速奏法だからといって、最初から高速で練習する必要はありません。
むしろゆっくりした状態で正しい足の軌道を覚えてから、少しずつ動きを小さくしていく方が結果的には速くなります。
ペダルの設定が極端になっている
奏法そのものが一番重要ですが、フットペダルのスプリングやビーター角度が極端な設定になっていると、ペダルの戻りを扱いにくく感じることがあります。
ペダルの基本的な調整方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ただし、ペダルを調整するだけで高速ダブルができるわけではありません。
あくまで自分の足の動きを理解したうえで、ペダルを扱いやすい状態に整えるという順番で考えてください。
高速ダブル・トリプルのおすすめ練習方法
最後に、実際の練習手順を整理しておきます。
STEP1 ゆっくり後ろから前へ足を動かす
最初は音を出すことより、足の軌道を確認します。
フットボード後方から前方へ足が自然に移動する感覚を覚えます。
STEP2 小さい音量で2連打する
速さや音量は気にせず、スライドした結果として2打鳴る状態を作ります。
最初から大きな音を出そうとしないようにしてください。
STEP3 2打目とつま先を上げる動作をつなげる
トリプルへ進む場合は、2打目を踏むときにつま先を持ち上げる動きを加えます。
ここではまだ3打目を急いで入れなくても構いません。
STEP4 最後に3打目を加える
つま先が上がった状態から、足を落として3打目を鳴らします。
最初は3打の間隔が均等でなくても構いません。
まず動作の順番を体に覚えさせます。
STEP5 「小・小・大」で練習する
3打が出るようになったら、ドラッグとして使うことを想定し、
小・小・大
の音量で練習してみましょう。
STEP6 フィルインやドラムソロへ入れる
最後は単独の足技としてではなく、実際のフレーズへ入れます。
例えばタム回しの最後、スネアのアクセントの直前、シンバルへ着地する直前など、いろいろな場所で試してみてください。
通常のバスドラムダブルを16ビートなどのリズムへ組み込む練習については、こちらの記事も参考になります。
動画で足の動きを確認してみよう
今回紹介した高速ダブルやトリプルストロークは、文章や静止画だけでは足の細かな動きが少し分かりにくい奏法です。
特に、
- 1打目から2打目へのスライド
- 2打目と同時につま先を上げる動き
- そこから3打目を落とす流れ
については、実際の足の動きを動画で見ると理解しやすいと思います。
まとめ|高速化は足を速く動かすことではなく無駄な動きを減らすこと
今回は、バスドラムの高速ダブルストロークとトリプルストロークについて解説しました。
ポイントを整理すると、
- 高速ダブルではスライド奏法を利用する
- 1打目はフットボード後方で踏む
- そのまま前へ足を滑らせて2打目を踏む
- 装飾音では「小→大」の音量差を利用できる
- 高速トリプルは「スライドダブル+最後の1打」で考える
- 2打目と同時に3打目への準備を始める
- トリプルでは「小→小→大」というドラッグ的な表現もできる
ということになります。
一番大切なのは、高速化するために足を無理やり速く動かそうとしないことです。
速くなればなるほど、大きな動作では間に合わなくなります。
そのため、
どうすればもっと速く動けるか?
ではなく、
どうすれば今の動きから無駄を減らせるか?
と考えてみてください。
最初は大きくスライドしながら感覚を覚え、慣れてきたら徐々に移動距離を短くしていきます。
そして、速さだけではなく「小・大」「小・小・大」といった音量までコントロールできるようになると、単なる高速テクニックではなく、実際のドラムソロやフィルインで使える表現になります。
バスドラムには今回のダブル・トリプル以外にも、足が重くなる、連打できない、安定しないなどさまざまな悩みがあります。
バスドラム全般について基礎から整理したい方はこちらも参考にしてください。
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