こんにちは、ドラム講師の川島です。
「好きな曲をドラムで叩いてみたいけれど、何を叩いているのか聴き取れない」
「バスドラムの音がよく分からない」
「フィルインになると速すぎて、どのタムを叩いているのか分からなくなる」
ドラムの耳コピを始めると、このような壁にぶつかる方は多いです。
ですが、最初からすべての音を聴き取る必要はありません。
ドラムの耳コピで一番大切なのは、一度に全部を聴こうとしないことです。
曲を、
1.曲全体
2.テンポと拍子
3.バスドラムとスネア
4.ハイハット
5.クラッシュやライドなどのシンバル
6.フィルインのリズム
7.フィルインで使っている楽器
8.アクセントなどの細かなニュアンス
というように分けて、少しずつ聴いていきます。
私は長くドラムを演奏し、レッスンでも多くの曲を扱ってきましたが、耳コピは「一度で正解を当てる作業」ではありません。
同じ場所を何回も聴きながら、少しずつ情報を増やしていく作業です。
今回は、ドラム初心者の方でも実際に1曲を耳コピできるように、私が普段行っている考え方を順番に解説していきます。

ドラムの耳コピは「全部を一度に聴かない」のがコツ
ドラムの耳コピを始めたばかりの方が、まずやってしまいやすいのが、
「全部の楽器を一度に聴こうとする」
ことです。
例えばドラムセットには、
- バスドラム
- スネア
- ハイハット
- クラッシュシンバル
- ライドシンバル
- ハイタム
- ロータム
- フロアタム
など、たくさんの楽器があります。
さらに細かく聴けば、
- ゴーストノート
- アクセント
- オープンハイハット
- ハイハットの強弱
- シンバルの叩き分け
なども入ってきます。
これを1回の再生ですべて聴こうとすると、初心者の方が混乱するのは当然です。
ですので、まずは聴く対象を限定します。
例えば1回目は、
「今回はバスドラムだけ聴こう」
と決めます。
次は、
「今度はスネアだけ」
というように、聴く場所を変えていきます。
何回も同じ曲を聴くことは、耳コピが苦手だからではありません。
何回も聴くこと自体が耳コピです。
私自身も、細かいフレーズや聞き取りにくい部分は何度も繰り返して確認します。
むしろ、一度聴いただけで全部分かろうとしないことが大切です。
曲を聴くときに「何を意識して聴けばいいのか」が分からない方は、先に音楽そのものの聴き方を整理しておくと、耳コピもしやすくなります。
最初にテンポ・拍子・曲の構成を確認する
ドラムの音を細かく聴き始める前に、まず曲全体を確認します。
最初に見るのは、
- テンポ
- 拍子
- 曲の構成
です。
まずテンポを確認する
テンポとは、曲の速さです。
BPMという数字で表します。
例えば、
BPM80
BPM120
BPM160
というように、数字が大きくなるほど速くなります。
最初から1BPM単位で正確に調べなくても構いません。
「だいたいBPM100くらいかな」
というところから始めても十分です。
メトロノームアプリを鳴らしながら曲に合わせてみると、近いテンポを探しやすくなります。
次に拍子を確認する
一般的なポップスやロックでは、4/4拍子の曲が非常に多いです。
ですので初心者の方は、まず、
「1・2・3・4」
と数えながら曲を聴いてみてください。
自然に4まで数え続けられるのであれば、4/4拍子である可能性が高いです。
ただし、3/4拍子や6/8拍子、途中で拍子が変わる曲もあります。
その場合は無理に4拍子へ当てはめず、曲の流れをよく確認します。

まずバスドラムとスネアを聴き取る
テンポと拍子が分かったら、いよいよドラムの音を聴いていきます。
ここで最初に聴くのは、
バスドラムとスネアです。
私は初心者の方には、最初からハイハットまで全部聴こうとしないようにお伝えしています。
まずは、
バスドラム=ドン
スネア=タン
という2つだけに集中します。
例えば一般的な8ビートなら、
1拍目付近にバスドラム
2拍目にスネア
3拍目付近にバスドラム
4拍目にスネア
というような大きな骨格があります。
最初は、
「ドン・タン・ドン・タン」
くらいで構いません。
そのあとで、
「1拍目の後ろにもバスドラムが入っているな」
「3拍目はバスドラムが2回鳴っているな」
と細かい音を足していきます。
最初から、
「このバスドラムは16分音符の何個目だろう」
と細かく考えすぎなくても大丈夫です。
まずは大きな骨格を捉えます。
例えば、
「ドン・タン・ドド・タン」
のように、口で歌ってみるのもおすすめです。

8ビートそのものの仕組みがまだ曖昧な場合は、先に基本パターンを理解しておくと耳コピがかなり楽になります。
ハイハットとシンバルは後から加える
バスドラムとスネアがある程度分かったら、次にハイハットを聴きます。
ハイハットでは、
- 8分音符なのか
- 16分音符なのか
- アクセントが入っているか
- オープンハイハットがあるか
などを確認します。
初心者の方は、ハイハットの音がたくさん鳴っているため、どうしてもそこへ耳が引っ張られます。
ですが、ハイハットだけ先に追いかけると、曲全体のリズムが分からなくなることがあります。
ですので、
バスドラム
↓
スネア
↓
ハイハット
の順番で聴いていくと整理しやすくなります。
16ビートの曲では、ハイハットがさらに細かくなります。
16分音符の感覚がまだよく分からない方は、先に16ビートの仕組みを確認しておくと聴き取りやすくなります。
クラッシュやライドは曲の区切りとして聴く
次に、
- クラッシュシンバル
- ライドシンバル
- チャイナシンバル
などを確認します。
特にクラッシュシンバルは、
- Aメロの始まり
- サビの始まり
- フィルインが終わった次の小節の最初
- 曲調が切り替わるところ
などに入ることが多いです。
ですので、シンバルは単に「どの音符で叩いているか」だけではなく、
曲の構成を知らせてくれる音
として聴くと分かりやすくなります。
フィルインは「リズム」から耳コピする
ドラムの耳コピで初心者の方が一番苦戦しやすいのが、フィルインです。
フィルインになると、
「ハイタムかな?」
「ロータムかな?」
「フロアタムかな?」
と、最初にどの楽器を叩いているのか考えたくなると思います。
ですが、ここでは順番を逆にします。
最初に聴くのは、
どの楽器かではなく、リズムです。
例えば、
「タタタタ・タン」
と聞こえたとします。
この段階では、
スネアなのか
ハイタムなのか
フロアタムなのか
は、まだ考えなくて構いません。
まず、
「タタタタ・タン」
というリズムだけを覚えます。
次に、
- 8分音符なのか
- 16分音符なのか
- 3連符なのか
- 途中に休符があるのか
を確認します。
リズムが分かってから初めて、
1音目はスネア
2音目はハイタム
3音目はロータム
最後はフロアタム
というように、楽器を割り当てていきます。
つまり、
リズムを聴く
↓
歌う
↓
音符として理解する
↓
どの楽器か確認する
という順番です。

3連系のフィルインにも注意する
フィルインがどうしても16分音符として合わない場合は、3連符が使われている可能性もあります。
例えば、
「タカタ・タカタ」
のように3音ずつまとまって聞こえる場合です。
16分音符だけで考えていると、何度聴いても譜面と音が合わないことがあります。
3連符の仕組みを理解しておくと、こうしたフィルインも聞き取りやすくなります。
フィルインを口で歌う
フィルインを耳コピするときに、ぜひやってほしいのが、
口で歌うことです。
これは非常に大切です。
私はドラムを練習するときも、
「まず音を覚えて、それを歌えるようにする」
という方法をよく使います。
例えばフィルインなら、
「タカタカ」
「タタタン」
「ドコドコタン」
「タカドコタカドン」
など、自分が分かる言葉で構いません。
正式なボーカルパーカッションをする必要はありません。
目的は、
耳で聴いたリズムを、自分の中で再現できる状態にすること
です。
自分の口で再現できないリズムは、手足でも再現しにくいです。
逆に、
「タカタカ・ドコドコ・タン」
と自然に歌えるようになると、それをスネアやタムへ置き換えやすくなります。

曲の構成をメモすると耳コピが速くなる
耳コピというと、1小節目から順番に譜面を書いていくイメージがあるかもしれません。
ですが、その前に曲の構成をメモしておくと、作業がかなり楽になります。
例えば、
Intro 4小節
↓
Aメロ 8小節
↓
Bメロ 8小節
↓
サビ 16小節
↓
間奏
↓
Aメロ
↓
Bメロ
↓
サビ
というように、まず曲を大きなブロックに分けます。
そうすると、
「1番と2番のAメロはほとんど同じ」
「2番だけ最後のフィルインが違う」
「サビの基本パターンは全部同じ」
ということが見えてきます。
同じパターンを毎回ゼロから耳コピする必要はありません。
最初に曲の構成を理解することで、耳コピする量そのものを減らせます。

聴き取れない部分は再生速度を落とす
速いフィルインや細かなバスドラムがどうしても聴き取れない場合は、再生速度を落としてみてください。
例えば、
100%
↓
75%
↓
50%
と段階的に遅くします。
YouTubeなどでも再生速度を変更できますし、DAWや音楽練習用アプリを使う方法もあります。
ここで大切なのは、1曲丸ごと遅くして何度も聴くことではありません。
分からない部分が2小節だけなら、その2小節だけを繰り返します。
できれば1〜2小節程度に区切って、ループ再生してください。
速いまま20回聴くより、速度を落として5回聴いた方が分かることもあります。
ただし、再生ソフトによっては速度を落としたときに音質が少し変化することがあります。
ですので、遅くして確認した後は、必ず原速でもう一度聴き直します。
バスドラムの低音が聴き取れない場合
「スネアは分かるけれど、バスドラムだけ分からない」
という方も多いです。
バスドラムが聴き取りにくい理由はいくつかあります。
ベースとバスドラムが重なっている
ベースギターとバスドラムは、どちらも低音域の楽器です。
同じタイミングで鳴っていると、音が混ざって聞こえることがあります。
スマートフォンでは低音が出にくい
スマートフォンのスピーカーだけで聴いている場合、バスドラムの低音が十分に再生されないことがあります。
できればヘッドホンやイヤホンを使ってください。
バスドラムは低音だけを探さない
バスドラムは、
「ドーン」
という低い音だけではありません。
ビーターがバスドラムのヘッドへ当たる、
「カチッ」
「ペチッ」
というアタック音が聞こえることもあります。
特にロック系のミックスでは、このアタック音の方が分かりやすいことがあります。
低音だけを探すのではなく、
「瞬間的に鳴るアタック音はどこか」
という聴き方も試してください。
また、EQを使える場合は、低音を少し強調することで分かりやすくなる場合があります。

完全コピーと簡略化はどちらが正しい?
耳コピをすると、
「原曲とまったく同じに叩かないといけない」
と思う方もいます。
ですが、必ずしもそうではありません。
目的によって、完全コピーと簡略化を使い分ければ大丈夫です。
完全コピーが向いている場合
完全コピーは、
- 好きなドラマーの演奏を研究したい
- 採譜の練習をしたい
- ゴーストノートやアクセントまで分析したい
- 原曲そのままの演奏を再現したい
という場合に向いています。
細かいニュアンスまで聴くことで、そのドラマー特有の演奏方法も見えてきます。
簡略化が向いている場合
一方で、
- ドラムを始めたばかり
- バンドで早く1曲演奏したい
- 原曲のフィルインが難しすぎる
- 足の連打などがまだできない
という場合は、簡略化して構いません。
例えば原曲ではバスドラムが細かく4音入っていても、自分にはまだ難しいのであれば2音に減らします。
フィルインも同じです。
原曲が、
スネア
→ハイタム
→ロータム
→フロアタム
と細かく動いていても、最初は、
スネア
→フロアタム
だけでも曲として成立する場合があります。
「完全コピーできないから、この曲はまだ叩けない」
と考える必要はありません。
まず自分が演奏できる形で曲を完成させ、技術が上がったら少しずつ原曲へ近づける方法も、とても良い練習です。
耳コピしたドラムを譜面へ書き起こす方法
音がある程度聴き取れたら、次に譜面へ書いていきます。
ここでも、一度に完成形を書こうとしないことが大切です。
おすすめの順番は次の通りです。
1.小節線を書く
2.拍を確認する
3.スネアを書く
4.バスドラムを書く
5.ハイハットを書く
6.クラッシュやライドを書く
7.フィルインを書く
8.アクセントやオープンハイハットを追加する
9.音源と譜面を見比べる
10.実際に叩いて確認する
最初からきれいな譜面を作る必要はありません。
紙に、
「ここでフィル」
「サビからライド」
「2番だけバスドラムが違う」
という簡単なメモを書くだけでも構いません。
その後でMuseScoreなどの譜面作成ソフトへ清書すれば大丈夫です。
大切なのは、譜面そのものをきれいに作ることよりも、
聴いた音と、自分が書いた譜面が一致しているか
です。

初心者はこの順番で1曲を耳コピしてみよう
ここまでの内容を、実際に行う順番にまとめます。
1.まず曲を普通に何度か聴く
いきなり採譜を始めず、まず曲全体の雰囲気をつかみます。
どこがAメロで、どこがサビなのかを感じながら聴いてください。
2.曲の構成をメモする
Intro、Aメロ、Bメロ、サビなど、大きく分けます。
同じ部分が繰り返されていないか確認します。
3.テンポと拍子を確認する
「1・2・3・4」と数えながら聴き、拍の流れを確認します。
テンポも大体で構いませんので把握しておきます。
4.バスドラムだけ聴く
他の音はいったん無視します。
「ドン」がどこにあるかだけ確認してください。
5.スネアを追加する
次に「タン」の位置を確認します。
特に2拍目と4拍目を意識すると分かりやすいです。
6.ハイハットを確認する
8分音符なのか16分音符なのかを聴きます。
オープンハイハットやアクセントは後でも構いません。
7.クラッシュ・ライドを確認する
曲の展開が切り替わる場所を中心に聴きます。
シンバルを聴くことで曲の構成もさらに分かりやすくなります。
8.フィルインを口で歌う
まず楽器を考えず、
「タカタカ・タン」
などと歌います。
9.フィルインのリズムを書く
16分音符なのか、8分音符なのか、3連符なのかを確認します。
10.使用しているタムやスネアを割り当てる
リズムが分かってから、音の高さを聴いて使用楽器を判断します。
11.分からない場所だけ再生速度を落とす
曲全体ではなく、1〜2小節程度に絞って確認します。
12.譜面へ清書する
最初は手書きでも構いません。
あとでMuseScoreなどへ入力します。
13.実際にドラムで叩いて答え合わせする
ここはとても重要です。
譜面だけ見て終わりにせず、音源に合わせて実際に叩いてください。
叩いてみると、
「ここはバスドラムが1つ多いな」
「このフィルインは3連符だった」
など、耳だけでは気づかなかったことが分かります。
ドラムのフレーズを理解してから演奏へつなげる練習方法については、こちらの記事も参考になります。
ドラム初心者が耳コピするときによくある失敗
最後に、初心者の方が耳コピをするときによくある失敗をまとめます。
最初から全部の音を同時に聴こうとする
情報が多すぎて分からなくなります。
バスドラム、スネア、ハイハットというように分けて聴いてください。
1回聴いただけで分からないと諦める
1回で分からなくて普通です。
同じ場所を何回も繰り返して少しずつ確認します。
フィルインで最初からタムの種類を当てようとする
音色とリズムを同時に判断しようとすると難しくなります。
まずリズムだけ歌い、そのあとで楽器を割り当てます。
速いまま何度も聴き続ける
速いものは速いまま何回聴いても分からないことがあります。
75%や50%まで再生速度を落としてみてください。
1曲丸ごと耳コピしようとする
初心者の方には負担が大きすぎます。
まずは、
「Aメロ8小節だけ」
「サビだけ」
「好きなフィルイン1つだけ」
でも十分です。
完全コピーへこだわりすぎる
演奏できないフレーズまで無理に再現しなくても構いません。
自分が演奏できる形へ簡略化することも大切です。
聴き取っただけで実際に叩かない
耳で分かったつもりでも、実際に叩くと違うことがあります。
最後は必ず音源に合わせて演奏し、確認してください。
基礎リズムを安定して演奏できるようになると、耳コピした内容を実際の演奏へ落とし込みやすくなります。
耳コピができるようになるとドラムの聴こえ方が変わる
耳コピは、単に譜面を作るための作業ではありません。
続けていると、音楽の聴こえ方そのものが変わってきます。
最初は、
「ドラムが鳴っている」
というくらいにしか聞こえなかったものが、
「ここでバスドラムが裏拍に入っている」
「サビからライドに変わっている」
「このフィルインは3連符になっている」
というように、少しずつ細かく聞こえるようになります。
すると、
- 曲を覚えるスピードが上がる
- フィルインのアイデアが増える
- 他のドラマーの演奏を分析できる
- 自分で好きな曲を練習できる
- バンドで曲を覚えやすくなる
といった変化も出てきます。
耳コピは一気に上達するものではありません。
ですが、
「今日はバスドラムだけ」
「今日はサビ8小節だけ」
というように続けていくと、少しずつ聞こえる音が増えていきます。
まとめ
今回は、ドラム初心者の方向けに耳コピのやり方を解説しました。
大切なポイントをまとめると、
- 最初から全部の音を一度に聴こうとしない
- まずテンポと拍子、曲の構成を確認する
- バスドラムとスネアから骨格を聴く
- ハイハットとシンバルは後から加える
- フィルインは「リズム→楽器」の順番で聴く
- 聴き取れない場所は再生速度を落とす
- 完全コピーにこだわらず、必要なら簡略化する
- 最後は実際にドラムで叩いて確認する
という流れになります。
耳コピというと難しそうに感じるかもしれませんが、最初から1曲全部を完成させる必要はありません。
まずは好きな曲のAメロ8小節だけでも構いません。
「バスドラムはどこに入っているかな?」
というところから始めてみてください。
1つずつ聴こえる音を増やしていけば、少しずつ自分の耳で曲を理解できるようになっていきます。
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