こんにちは、ドラム講師の川島です。
「8ビートの練習をしているのに、右手と左手が合わない」「バスドラムを入れた途端に止まってしまう」。ドラムを始めたばかりの方から、こうした悩みを聞くことは少なくありません。
8ビートはドラムの基本リズムですが、初めて両手両足を動かす方にとっては、決して簡単なことばかりではありません。そして、数分練習してできないと、「自分には向いていないのかな」と考えてしまう方もいます。
私はこれまで2,000名以上の方を指導してきました。その経験からお伝えしたいのは、最初から全部を叩こうとしないこと、そして「できない時間」を失敗だと決めつけないことです。
今回は、私の教室で実践している8ビートの教え方と、初心者が挫折しないための声かけについてお話しします。
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初心者が8ビートでつまずきやすいのは、なぜ?
ドラムは、右手・左手・右足、さらにパターンによっては左足も使う楽器です。それぞれ違う役割を持つため、最初からすべてを動かそうとすると、頭でわかっていても身体が追いつかなくなります。
例えば、右手だけなら一定に叩けるのに、左手を加えると右手まで止まってしまう。両手ができるようになっても、右足を踏むとテンポが速くなる。これは初心者のレッスンでよく見られる反応です。
だからこそ、難しい動きをまとめて練習するのではなく、できる形を一つずつ積み重ねることが大切です。
ドラムを始めたばかりの方は、まず基本の練習順序を知っておくと安心です。
関連記事:ドラム初心者は何から練習する?
私の教室で実践している8ビートの教え方【3ステップ】
最初に取り組むのは、バスドラムとスネアを全部入れた完成形ではありません。
右手だけ、次に両手、最後に右足という順番です。
一つ前の段階が不安定なら、先へ急がずに戻ります。
ステップ1:右手でハイハットの8分音符を叩く
まず、右手でハイハットを叩きます。
4分の4拍子なら、1小節に8つの音を均等に入れる8分音符です。
「1と・2と・3と・4と」と数えながら、8回の「チ」を一定の間隔で鳴らしていきます。
この段階では、速く叩く必要はありません。
重要なのは、途中で間隔が詰まったり広がったりせず、同じ速さで無理なく続けられることです。
腕や肩に力が入りすぎていないかも確認します。

次へ進む目安:右手の8分音符を、数えながら何小節か続けても大きく崩れないこと。難しければテンポを落として構いません。
ステップ2:2拍目と4拍目に左手のスネアを加える
右手の動きが安定してきたら、左手で2拍目と4拍目にスネアを加えます。
右手のハイハットは止めず、スネアを叩く瞬間も同時に動かします。
両手の音を口で表すと、
「チチタチ・チチタチ」
この形を繰り返し、音と腕の動きを身体に覚え込ませていきます。
私の教室では、この両手の形をとても大切にしています。
今後いろいろな8ビートを叩く際の土台になるからです。

1回、2回成功しただけで終わるのではなく、何度も再現できるようにします。
目だけで楽譜を追うのではなく、「チチタチ」と声に出したり、演奏した音を聴いたりすることも役立ちます。
次へ進む目安:右手を止めずに2拍目・4拍目のスネアを入れ、同じ形を繰り返せること。左手につられて右手が止まる場合は、再びゆっくり練習します。
関連記事:左手が右手につられてしまう原因と改善方法
ステップ3:1拍目と3拍目に右足のバスドラムを加える
両手の形が身についてきたら、いよいよ右足を加えます。
バスドラムを踏む場所は1拍目と3拍目です。
音のイメージは、
「ドチタチ・ドチタチ」
これが私の教室で初心者に最初に教える基本の8ビートです。
「ド」のところではバスドラムとハイハットが同時に鳴り、「タ」のところではスネアとハイハットが同時に鳴ります。

右足を加えた途端に両手が乱れるなら、少し右足を休ませ、ステップ2の「チチタチ」に戻しましょう。
戻ることは後退ではありません。安定した土台を確認するための練習です。
次へ進む目安:右足を加えた形で、ゆっくりでも一定のテンポを保ち、繰り返し演奏できること。
8ビート全体の種類や応用は、こちらの記事でも解説しています。
関連記事:8ビート完全ガイド
楽譜どおりに叩けた後は「どの音を意識するか」が大切
ここまでできれば、基本のリズムパターンを楽譜どおりに叩けるようになった段階です。
ただ、私はそこで練習を終わりにしません。
次は、どの手足を意識してコントロールするかを考えていきます。
私がこの8ビートで特に重視しているのは、右足のバスドラムです。
右利きの方は右手が比較的扱いやすく、意識を強く向けなくてもハイハットを動かせる場合があります。
一方、右足や左手は、気を抜くと思いどおりの位置に音を入れにくいことがあります。
そこで私のレッスンでは、まず右足のバスドラムを意識し、次に左手のスネアへ注意を向けます。
右手のハイハットは、肩や腕の力を抜いて軽く自然に刻むようにします。

これは「右足を強く踏む」「左手を大きな音で叩く」という意味ではありません。
音量ではなく、動きとタイミングをコントロールするために意識を向けるということです。
利き手や得意な動きには個人差があるため、意識の配分も生徒さんに合わせて調整します。
右足の踏み方やタイミングに悩んだときは、バスドラムに絞って練習を見直すのもおすすめです。
関連記事:バスドラムの悩み別ガイド
「1回叩けた」と「身体に身についた」は違う
レッスン中に1回だけ正しく叩けると、もちろんうれしいものです。
その成功は大切にしてほしいと思います。
しかし、たまたま1回できることと、いつでも再現できることは別です。
例えば、次のように少しずつ演奏の状態が変わっていきます。
- まずは1回、正しい順番で叩ける
- 同じパターンを何回か続けられる
- テンポが大きく崩れず、安定して繰り返せる
- 必要以上に力まず、自然な動きで叩ける
- 自分の出す音を聴きながら、手足をコントロールできる

練習は、音と動きを繰り返し結びつけていく作業です。
すぐに新しいパターンを増やすより、今できている動きを確かなものにする時間も必要です。
ただし、完璧主義になる必要はありません。
その日の状態に合わせ、小さな達成を確認しながら進めていきましょう。
関連記事:ドラムの正しい練習方法と上達する順番
5分、10分やってもできないときはどうする?
ドラムを練習していると、どうしてもできない動きに出会います。
5分やってもできない。10分やってもできない。
すると、練習そのものが嫌になったり、「才能がない」と考えてしまったりします。
そんなときに私が伝えたいのは、今できないことと、これからもできないことは同じではないということです。
私がこれまで指導してきた範囲では、基本の8ビートに時間がかかった生徒さんも、取り組みを続けることで叩けるようになっています。
8ビートをなかなか覚えられないことを、すぐに才能の問題へ結びつける必要はないと感じています。
行き詰まったときは、次の方法を試してみてください。
- 一度休む:気持ちが焦ってきたら、短い休憩を入れてリフレッシュする
- テンポを落とす:速さを競わず、正しい動きを確認できる速さに戻す
- 一つ前の段階に戻る:右足で崩れるなら両手だけ、両手で崩れるなら右手だけにする
- 音を口で言う:「チチタチ」「ドチタチ」と歌い、音の並びをイメージする
- 講師と一緒に確認する:どこで動きが崩れるのか、外から見てもらう

休憩はさぼりではありません。やり方を見直すことも、大切な練習の一部です。
関連記事:ドラムができないのは才能不足?
初心者の「できない」を減らす、講師の声かけ
ここからは、講師として特に大切にしたいことです。
同じ練習内容でも、言葉のかけ方によって生徒さんの受け止め方は変わります。
失敗したところだけを指摘され続けると、初心者は自分の成長に気づけなくなります。
だから私は、できていない部分だけではなく、前より少しでもよくなった部分を見つけることが大切だと考えています。
例えば、次のような声かけが考えられます。
| 場面 | 避けたい声かけ | おすすめの声かけ |
|---|---|---|
| なかなか叩けない | 「どうしてできないの?」 | 「身体が動きを覚えている途中です。焦らずいきましょう」 |
| 何度もミスする | 「また間違えたね」 | 「さっきより右手が安定しましたね。そこを続けましょう」 |
| 手足がバラバラになる | 「全部ちゃんと動かして」 | 「バスドラムを外して、まず両手だけに戻しましょう」 |
| 才能がないと落ち込む | 「向き不向きがあるからね」 | 「できるようになるまでの時間は人それぞれですよ」 |
| 家で練習できない | 「練習してこないとダメ」 | 「大丈夫です。レッスンで一緒に進めましょう」 |

これらは私の指導方針をもとにした声かけの例です。
単に「大丈夫」と励ますだけではなく、次に何をすればよいかを具体的に示すことも大切です。
「右手だけに戻してみましょう」と言われれば、生徒さんは目の前の課題に集中しやすくなります。
そして講師側も、生徒さん同士を比べないこと。
昨日の本人より何ができるようになったかを、一緒に見つけていきたいものです。
上達する速さは人それぞれ。才能だけで決まるものではない
新しい動きをすぐに覚える人もいれば、同じところを何度も繰り返して少しずつ身につける人もいます。
それは珍しいことではありません。
最初に覚えるのが早かった人でも、練習しなければ成長が止まることがあります。
反対に、最初は苦戦していた人が、継続することで大きく上達することもあります。
ですから、隣の人と習得の速さを比べる必要はありません。
私が重要だと感じているのは、自分のペースでドラムと向き合う時間を重ねることです。
その時間は毎日長く取らなければならないわけでもありません。
今の生活の中で続けられる形を探していきましょう。
時間をかけてできるようになったからこその喜びがある
私は、ドラムの練習を山登りに似ていると感じることがあります。
山頂までヘリコプターで行けば、美しい景色を短時間で見ることができます。
一方、麓から1時間、2時間とかけて自分の足で登り、ようやく山頂に着いたときには、景色が一段と特別に感じられることがあるでしょう。
ドラムも同じです。
「昨日までできなかった8ビートが、今日は最後まで止まらずに叩けた」。
その瞬間のうれしさは、試行錯誤した時間があるからこそ大きくなるのだと思います。

もちろん、苦しい思いを無理に我慢する必要はありません。
休んでもいいし、練習方法を変えてもいい。
大切なのは、結果だけを急ぐのではなく、少しずつできるようになる過程そのものを楽しむことです。
自宅で練習できなくても、まずはレッスンに来てください
私が生徒さんによく伝えている言葉があります。
「個人練習ができなくてもいいので、まずはレッスンに来てください」
仕事が忙しい方、学校や家庭の予定がある方、自宅にドラムセットがない方。
練習したくても、思うように時間や場所を確保できない人はたくさんいます。
だからといって、落ち込む必要はありません。
レッスンに来ていただければ、講師が今の状態を見ながら、何をどの順番で練習すればよいかを一緒に考えられます。
両手がうまくいかないなら両手から、右足が難しいなら右足を加える練習から。
その60分で、昨日までできなかったことを一つでもできるようにする。
私はそんなレッスンを大切にしています。
自宅練習ができれば、もちろん上達の助けになります。
でも、それができないからといって、ドラムを続ける資格がないわけではありません。
教室は、できないことを責められる場所ではなく、できる方法を一緒に見つける場所であってほしいと思います。
関連記事:初心者向けドラムレッスンで大切な3つのこと
まとめ|8ビートは焦らず、できる形を積み重ねよう
- まず右手でハイハットの8分音符を刻む
- 次に2拍目・4拍目のスネアを加えて「チチタチ」を覚える
- 最後に1拍目・3拍目のバスドラムを加えて「ドチタチ」を作る
- 動きが揃ったら、右足と左手のコントロールにも意識を向ける
- 1回の成功で終わらず、繰り返し再現できるまで少しずつ練習する
- できないときは休憩・減速・前の段階への復習を取り入れる
- 自宅練習が難しくても、自分のペースでレッスンを続けてよい
8ビートが今できなくても、焦らないでください。
大切なのは、できない自分を責めることではなく、今できる一歩を見つけることです。
昨日より少し音が揃った、今日は一小節つながった。
そんな小さな前進を、一緒に喜んでいきましょう。
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