こんにちは、ドラム講師の川島です。
ドラム初心者の方で、
「メトロノームに合わせているつもりなのにテンポが安定しない」
「クリックの音を必死に追いかけてしまって逆にズレる」
という悩みを持っている方はとても多いです。
実際、メトロノーム練習は、ただ機械の音に合わせればいいというものではありません。
大切なのは、メトロノームをどう感じるかです。
最初はメトロノームに合わせる練習から始まります。
しかし最終的には、自分の中に一定の拍が流れている状態を目指していきます。
この記事では、ドラム初心者の方に向けて、メトロノーム練習を3段階に分けて解説します。
さらに、実際にテンポキープが上達していく練習方法も紹介していきます。

メトロノーム練習には3段階ある
メトロノーム練習というと、単純に「クリックに合わせるもの」と思われがちです。
しかし実際には、段階があります。
- 第一段階:自分がメトロノームに合わせる
- 第二段階:メトロノームが自分に合わせているように感じる
- 第三段階:メトロノームを体の中に感じる
この順番で感覚を育てていくと、ただクリックに反応するだけではなくなっていきます。
自分でテンポを作れる状態に近づいていきます。
第一段階:メトロノームに自分の演奏を合わせる
まず最初にやるべきことは、メトロノームを基準にして、自分の音をそこへ合わせていくことです。
これは、一番基本となる練習方法です。
たとえば、練習パッドやスネアでシングルストロークを叩くとします。
メトロノームの「ピッ」という音に対して、自分の打音を同じ位置に置いていきます。
この段階では、主体はメトロノームです。
つまり、メトロノームが基準として存在していて、自分がそこへ寄せていく感覚ですね。
初心者の方は、クリックを聞いてから叩こうとするので、どうしても少し遅れやすくなります。
ですが、これは最初は自然なことです。
まずは、「クリックと一緒に鳴らす」という感覚に慣れていきましょう。
この段階では、完璧を求めすぎなくても大丈夫です。
大切なのは、メトロノームを聞きながら演奏することに慣れることです。

第二段階:メトロノームが自分に合わせている意識を持つ
第一段階に少し慣れてきたら、次は感覚を一段階進めます。
今度は、
「自分がメトロノームに合わせている」
のではなく、
「自分が叩いたところにメトロノームが鳴っている」
という感覚を持って練習してみてください。
これは、主体を逆転させるイメージです。
自分が一定のテンポで叩いていて、その自分のタイムにメトロノームの音が重なってくる。
そんな感覚です。
たとえばスネアを叩いた瞬間に、
「今、自分が叩いたところにクリックが鳴ったな」
というように感じます。
もちろん、実際にはメトロノームが一定のテンポを刻んでいます。
しかし意識としては、自分を主体にした方がテンポキープが安定しやすくなります。
いつまでも「クリックを追いかける」という意識のままだと、受け身の状態になりやすいからです。
実際の演奏では、常にクリックを追いかけるわけではありません。
自分自身が演奏の流れを作っていく必要があります。
そのため、この第二段階では、自分がタイムの土台になるという意識を育てていきます。

第三段階:メトロノームを体の中に埋め込む
そして第三段階が、いわゆる体内メトロノームの感覚です。
これは、メトロノームが外にあるものではなく、自分の体の中から拍が流れているように感じる状態です。
私の場合は、練習しているときに、よく首の後ろにメトロノームが埋め込まれているような感覚で叩くことがあります。
人によっては、お腹の中に感じる人もいると思います。
腰のあたりや、体の中心付近に拍を感じる人もいるでしょう。
大事なのは、
「どこに感じるのが正解か」
ということではありません。
自分が一番安定して拍を感じられる場所を見つけることが大切です。
ライブや実際の演奏では、常にメトロノームを鳴らしながら叩くわけではありません。
だからこそ、最終的にはクリックの音がなくても、自分の中で時間が流れ続けている必要があります。
この状態を目指していくために、メトロノーム練習はとても大切なんですね。

目の前に楕円を描いて拍の流れを感じる
拍を「点」でしか捉えていないと、クリックが鳴った瞬間だけは分かっていても、その間の時間が曖昧になりやすいです。
そこでおすすめなのが、目の前に縦長の楕円をイメージする方法です。
楕円の一番上が表拍。
楕円の一番下が裏拍です。
たとえば8分音符で考えるなら、
「1」が上。
「&」が下。
「2」が上。
「&」が下。
というように、拍が円運動しているように感じます。
このようにイメージすると、単に「1、2、3、4」と点で数えるだけではなくなります。
表拍と裏拍の間にも時間が流れているという感覚を持ちやすくなります。
軽く首を縦に振ったり、体を少し上下に使ったりしながら、拍の流れを感じてみてください。
特に8ビートや16ビートでノリが平たくなりやすい方は、この「流れ」の感覚を持つことがとても大切です。

メトロノームの音をスネアの音で消す練習
これは、初心者の方にもぜひやっていただきたい練習です。
やり方はとてもシンプルです。
- メトロノームの音量を少し小さめにする
- スネアや練習パッドの音をそれより少し大きめにする
- クリックと自分の打音をぴったり重ねる意識で叩く
すると、タイミングがかなり合ったときに、自分の打音によってメトロノームの音が聞こえにくくなることがあります。
つまり、
「クリックの音が消えたように感じる=かなり正確に重なっている」
ということです。
この練習の良いところは、ただ耳でクリックを追いかけるのではないことです。
自分の音でクリックを消しにいくという意識になります。
受け身ではなく、能動的な感覚になるので、先ほど説明した第二段階や第三段階にもつながりやすくなります。
ただし、完全に聞こえなくなるかどうかは、メトロノームとスネアの音量差や音色、使っている機材などによっても変わります。
ですので、完全に消えることだけを正解にする必要はありません。
「少し聞こえにくくなった」
「クリックと自分の音が重なっている感じがする」
という感覚も大切にしてください。

練習方法① 細かいサブディビジョンから大きいサブディビジョンへ広げる
メトロノーム練習でとても大切なのが、クリックの間隔を徐々に広げていくことです。
初心者の方が、最初から4拍に1回しか鳴らないような設定で練習すると、かなり難しくなります。
最初はもっと細かく鳴っていた方が、拍の位置が分かりやすいからです。
おすすめの流れは、次のような形です。
- 16分音符で細かく鳴らす
- 8分音符で鳴らす
- 4分音符で鳴らす
- 2分音符で鳴らす
- 全音符相当で鳴らす
このように、少しずつクリックの間隔を広げていきます。
ここで大事なのは、BPMを速くしたり遅くしたりすることと、クリックが鳴る音価を広げることは別だということです。
たとえばテンポ自体はBPM60のままでも、16分音符で細かくクリックを鳴らすことができます。
8分音符で鳴らすこともできます。
4分音符で鳴らすこともできます。
さらに、1小節に1回だけ鳴らすこともできます。
クリックの間隔が広くなるほど、クリックが鳴っていない間を自分で支えなければいけません。
つまり、これはメトロノームに頼る量を少しずつ減らしていく練習です。
たとえば、4拍に1回しかクリックが鳴らない場合。
残りの3拍は、自分自身で正確に時間を流し続ける必要があります。
最終的な目標は、メトロノームが鳴っていない場所でも、自分で正確に時間をキープできることです。
テンポが走りやすい方や、逆にモタりやすい方は、こういった練習をすると改善しやすくなります。

練習方法② メトロノームを裏拍や16分音符、3連符に置いて感じる
次に紹介するのは、少し発展的なメトロノーム練習です。
これは、メトロノーム自体は4分音符で鳴らしておきながら、そのクリックを別の位置として感じる練習です。
たとえば、次のような捉え方があります。
- 8分音符の裏として感じる
- 16分音符の2つ目として感じる
- 16分音符の4つ目として感じる
- 3連符の2つ目として感じる
- 3連符の3つ目として感じる
さらに発展練習として、クリックを付点8分音符の連続として感じるようなトレーニングもあります。
ただし、これは初心者の方にはかなり難しいです。
最初から無理にやらなくても大丈夫です。
この練習の目的は、難しいことをすることそのものではありません。
自分がズレやすい場所を強化することが目的です。
たとえば、8分裏で走りやすい人であれば、クリックを8分裏に感じて練習します。
16分音符の4つ目が不安定な人なら、4つ目の位置にクリックがあるつもりで練習します。
シャッフルが平たくなりやすい人なら、3連符の3つ目にクリックを感じて練習します。
そうすると、シャッフルの跳ね具合を確認しながら練習することができます。
つまり、
「自分が崩れる場所にメトロノームを置く」
という考え方です。
これは、とても効果的な練習方法です。
何となく全部がズレると感じている方も、よく観察してみると、いつも同じ場所で走っていたり、モタっていたりすることがあります。
どこで走るのか。
どこでモタるのか。
どこでリズムが曖昧になるのか。
それが分かれば、その部分を狙って練習していきましょう。

メトロノーム練習で大切なのは「追いかけ続けないこと」
初心者のうちは、まずクリックを聞いて、そこへ合わせていくところから始まります。
それ自体は、まったく悪いことではありません。
むしろ、最初はそこから始める必要があります。
ただし、ずっとそのままだと、いつまでも「外の音に反応するだけ」の状態になってしまいます。
演奏で本当に大切なのは、自分の中に一定の時間が流れていることです。
だからこそ、メトロノーム練習は次の順番で考えることが大切です。
- 第一段階:自分がメトロノームに合わせる
- 第二段階:メトロノームが自分に合っているように感じる
- 第三段階:メトロノームが体の中にあるように感じる
この順番で感覚を育てていくと、クリックがない場面でもテンポを保ちやすくなります。
ライブやバンド演奏で必要なのは、まさにこの感覚です。
初心者向けの実践メニュー
ここでは、今日からすぐにできる10〜15分程度の練習メニューを紹介します。
基本メニュー(10〜15分)
- 1分:4分音符を口で数えながら、シングルストロークをゆっくり叩く
- 2分:16分音符の細かいクリックでシングルストロークを叩く
- 2分:4分音符クリックにして叩く
- 2分:スネアの音でクリックを消す意識で叩く
- 1〜2分:クリックを止めて、自分だけで一定のテンポを保ちながら叩く
- 1分:再びクリックを鳴らし、どれくらいズレたかを確認する
これだけでも、かなり良い練習になります。
大事なのは、ただ叩くだけではありません。
練習しながら、
- 今は第一段階なのか
- 今は第二段階の意識なのか
- 自分の中に拍が流れているか
ということも確認してみてください。
少し慣れてきたらやる発展メニュー
- 8分音符の裏にクリックがあると感じて叩く
- 16分音符の2つ目、4つ目にクリックがあると感じて叩く
- 3連符の2つ目、3つ目にクリックがあると感じて叩く
この発展練習は、最初は短時間で十分です。
難しいと感じたら、無理に続ける必要はありません。
一度、4分音符や8分音符の基本練習に戻りましょう。
基礎と発展を行き来しながら、少しずつ感覚を育てていくのがおすすめです。
まとめ
メトロノーム練習の本当のゴールは、メトロノームに合わせられるようになることだけではありません。
本当に目指したいのは、
メトロノームがなくても、自分の中で一定の時間を流し続けられること
です。
そのためには、
- まずはメトロノームに合わせる
- 次に自分が主体になる
- 最後に体内メトロノームとして感じる
という順番で練習していくことが大切です。
最初から完璧にやろうとしなくても大丈夫です。
まずは第一段階から始めて、少しずつ第二段階、第三段階へ進んでいきましょう。
焦らずに取り組んでいけば、テンポキープの感覚は少しずつ育っていきます。
メトロノームを「ただの機械音」として使うのではなく、自分のリズム感を育てるためのパートナーとして使いながら練習してみてください。
ドラムは、楽譜や動画を見ているだけでは分かりにくい部分がたくさんあります。
たとえば、どんな音を出せばいいのか、どのくらいの力加減で叩けばいいのか、曲に合わせるときに何を意識すればいいのかなど、実際に叩きながら覚えていくことが大切です。
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