ドラム練習で『ゾーン』に入るとは?5分のつもりが1時間経っていた集中状態

ブログ

こんにちは、ドラム講師の川島です。

ドラムを練習していて、気がついたらものすごく時間が経っていた、という経験はありますか?

私には以前、かなり不思議な経験があります。

音楽スタジオで難しいフレーズを練習していたときのことです。

何度やってもできないフレーズをひたすら繰り返し、ようやく叩けるようになったところで「ちょっと休憩しよう」とスタジオの外へ出ました。

自分の感覚では、練習を始めてから5分くらいしか経っていないつもりでした。

ところが時計を見ると、1時間ほど経過していたのです。

「えっ、もうそんなに経ったの?」

という感覚でした。

今振り返ってみると、あのときはドラム以外のことがほとんど頭の中になかったのだと思います。

これが一般に言われる「ゾーン」だったのか、心理学でいう「フロー状態」だったのか、私には断定できません。

ただ、30年以上ドラムを続けてきた中でも数回しか経験していない、とても強烈な集中状態でした。

今回は、そんな私自身の体験から「ドラム練習でゾーンに入るとはどういうことなのか?」について考えてみたいと思います。

1.ドラムを練習していたら「5分」が「1時間」になった

この体験をしたのは、以前、今以上にドラムに夢中になっていた時期でした。

当時は、とにかくドラムが上手くなりたくて、暇さえあれば練習していたように思います。

ある日、いつものように音楽スタジオへ個人練習に行きました。

そこで、当時の私にとってかなり難しいフレーズを練習していました。

最初から速いテンポで練習したわけではありません。

まずはかなりテンポを落として、ゆっくり練習していました。

ところが、ゆっくり叩いているにもかかわらず、なかなかできません。

「もう一回やってみよう」

失敗。

「今のは右手が少し早かったかな」

もう一回。

また失敗。

そんなことを何度も繰り返していました。

この時点では、ごく普通の個人練習だったと思います。

ところが、それをずっと繰り返しているうちに、少しずつ自分の感覚が変わっていきました。

2.当時、私は今以上にドラムに夢中になっていた

今振り返ってみると、このとき大きかったのは、「練習しなければいけない」ではなく「どうしてもできるようになりたい」という気持ちだったように思います。

宿題だからやる。

先生に言われたからやる。

何時間練習すると決めたからやる。

そういった義務感ではありません。

目の前に自分が叩けないフレーズがあって、それが悔しい。

「なんとかして叩けるようになりたい」

ただそれだけでした。

ドラムを長く続けていると、どうしてもモチベーションが高い時期と低い時期があります。

毎日同じ熱量で練習できるわけではありません。

だから私は、無理やり集中しようとすることと、何かに夢中になって自然に集中してしまうことは、少し違うのではないかと思っています。

ドラムを長く続けることと「夢中になること」については、こちらの記事でも詳しく書いています。

あの日はまさに、練習しなければいけないから練習していたのではなく、できないものをできるようにすること自体に夢中になっていたのだと思います。

3.できないフレーズを、ゆっくり何度も繰り返していた

そのフレーズは、速いテンポでは到底できませんでした。

そこで最初はテンポをかなり落としました。

しかし、ゆっくりにしてもできません。

これはドラム練習ではよくあります。

「ゆっくりなら簡単にできるだろう」と思うかもしれませんが、自分にとって本当に難しい動きの場合、テンポを落としても最初は体が思ったように動いてくれません。

そこで私は何度も同じフレーズを繰り返しました。

失敗する。

少し修正する。

もう一度やる。

また失敗する。

さらに少し修正する。

この繰り返しです。

すると少しずつ成功する回数が増えてきます。

最初は10回やって1回しかできなかったものが、少しずつ2回、3回と成功するようになっていく。

安定してきたら、ほんの少しテンポを上げます。

そこでまた失敗します。

すると、もう一度そのテンポで繰り返します。

そして安定したら、また少しテンポを上げる。

こうして少しずつ目標のテンポに近づいていきました。

速いフレーズを練習するときに、最初にゆっくりしたテンポから形を作ることについては、こちらの記事でも解説しています。

また、「できない状態から、できる状態を少しずつ作る」という練習の考え方についてはこちらの記事も参考になると思います。

今思えば、この「少しできるようになる→もう少しやってみる→さらにできるようになる」という繰り返しが、私をどんどん練習の中へ引き込んでいったのかもしれません。

4.気づいたら、そのフレーズ以外のことを考えていなかった

最初は普通に練習していました。

しかし、何度も繰り返しているうちに、そのフレーズのことしか考えなくなっていました。

「今の右手はどうだったか」

「足をもう少し遅らせたらどうなるか」

「今の感覚でもう一回やってみよう」

「あと少しでできそうだ」

頭の中にあるのは、ほぼそれだけです。

そのうち、時計を見なくなりました。

今何時なのかも気になりません。

スタジオの外で誰が歩いているのか、隣の部屋で何を演奏しているのか、そういったこともほとんど意識していなかったと思います。

もちろん耳が聞こえなくなっているわけではありません。

外の世界が消えたわけでもありません。

ただ、自分の意識がそのフレーズだけに集まっていたのです。

普段なら頭の中にはいろいろなものがあります。

  • 今何時だろう
  • あと何分練習しよう
  • 今日は疲れたな
  • このあと何をしよう
  • なかなかできないな
  • スマホに何か来ているかな

ところが、そのときはそうしたものがほとんどありませんでした。

「このフレーズをできるようにしたい」

そこだけに意識が集まっていました。

「集中しよう、集中しよう」と自分に言い聞かせていたわけでもありません。

気がついたら、そうなっていたという感じです。

5.休憩しようと外に出たら1時間経っていた

そして何度も繰り返しているうちに、ようやくフレーズが安定してきました。

最初はゆっくりしたテンポでしかできなかったものが、少し速くしても叩ける。

さらにテンポを上げてもできる。

そして最終的には、目標としていたテンポでも叩けるようになりました。

そこでようやく、自分の中で一区切りつきました。

「できた。ちょっと休憩しよう」

そう思って演奏を止め、音楽スタジオの扉を開けて外に出ました。

そして時計を見たのです。

その瞬間、驚きました。

1時間ほど経っていました。

私の体感では、5分くらいだったのです。

もちろん実際に5分しか経っていないと思い込んでいたというより、感覚的には「ちょっと練習した」という程度でした。

それが時計を確認すると、実際には1時間。

「えっ、もうそんなに経ったの?」

という感じでした。

今でもこのときのことは覚えています。

練習に集中していて時間を確認しなかったというだけなら、それほど珍しいことではないかもしれません。

ただ、このときは自分の中で感じていた時間と、実際に経過していた時間の差があまりにも大きかったので、とても印象に残りました。

6.これは「ゾーン」だったのか?

こうした話をすると、「それはゾーンに入っていたのでは?」と思う人もいるかもしれません。

スポーツなどでは「ゾーンに入る」という言葉をよく聞きます。

一方、心理学ではこれに近いものとして「フロー」という概念が研究されています。

フロー研究では、課題への強い集中、行動と意識が一体になっていく感覚、自分自身への意識が薄くなること、時間感覚の変化などが代表的な特徴として挙げられてきました。また、目標が明確であること、行動に対するフィードバックが得られること、課題の難しさと自分の能力との関係なども重要な要素として研究されています。

音楽分野についてまとめた研究でも、演奏や作曲、音楽を聴く活動の中で、強い没頭や集中、時間感覚の変化などが報告されています。

これを見ると、私が経験した状態にも重なる部分があります。

  • 目の前のフレーズに非常に強く集中していた
  • 周囲のことをほとんど意識していなかった
  • 自分がどう見られているかなどを考えていなかった
  • できたか、できなかったかがすぐに分かった
  • 少しずつ難易度を上げていた
  • 時間感覚が大きく変化していた

こうして並べてみると、一般的に説明されているフロー状態と確かに似ています。

ただし、私は心理学の専門家ではありません。

そのため、「あのとき私は科学的な意味で完全なフロー状態に入っていた」と断定するつもりはありません。

そもそも現在の研究でも、フローをどのような構成要素で捉えるかについては議論があります。古典的な9つの特徴をそのまま使う研究だけでなく、近年は「没頭」「課題と能力の関係」「楽しさ」など、より少ない要素に整理しようとする研究もあります。

ですからこの記事では、診断のように「これはゾーンだった」と決めるのではなく、

「一般的に説明されるフロー状態と、かなり似た部分のある体験だった」

くらいに考えておきたいと思います。

7.ゾーンは「頑張って入ろう」とすると入れない?

この体験を振り返ってみて面白いと思うのは、私はあの日、ゾーンに入ろうなどとは一度も考えていなかったことです。

「今日は集中力を高めよう」

「ゾーンに入るぞ」

「1時間集中し続けるぞ」

そんなことはまったく考えていませんでした。

考えていたのは、たった一つです。

「このフレーズをできるようにしたい」

それだけでした。

できない。

もう一度やる。

少しできる。

もう一回やる。

今度は少しテンポを上げる。

またできなくなる。

もう一度やる。

この繰り返しの中で、いつの間にか他のことを考えなくなっていました。

ですから私自身の経験から考えると、「ゾーンに入ること」そのものを目標にする必要はないのではないかと思っています。

むしろゾーンのことなど忘れて、今目の前にある課題に向き合う。

その結果として、ものすごく深い集中状態になることがある。

そのくらいの考え方でよいのではないでしょうか。

研究上も、フローは単に「集中しよう」と思えば必ず発生するものとして扱われているわけではなく、課題と技能の関係、明確な目標、フィードバック、活動そのものへの興味や内発的な動機など、複数の条件との関係が研究されています。

8.30年以上ドラムをやっていても数回しか経験していない

ここで一つ伝えておきたいことがあります。

私は30年以上ドラムをやっています。

しかし、今回お話ししたような「5分くらいだと思っていたら1時間経っていた」という強烈な経験は、数回しかありません。

毎日のようにゾーンに入っていたわけではありません。

むしろ圧倒的に多いのは、ごく普通の練習です。

メトロノームを鳴らして基礎練習をする。

できないリズムをゆっくり確認する。

フィルインを何度も繰り返す。

曲に合わせて叩く。

失敗する。

少し休む。

また練習する。

基本的には、そうした地道な練習の積み重ねです。

ですから、

「今日はゾーンに入れなかったから良い練習ではなかった」

「時間を忘れるくらい集中できないと上達しない」

などと考える必要はまったくありません。

むしろ普通の練習をきちんと積み重ねることの方が大切です。

効果的なドラム練習については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

また、何からどのような順番で練習するかについてはこちらの記事を参考にしてください。

毎日の練習が全部ドラマチックである必要はありません。

昨日できなかったものが、今日はほんの少しできる。

それだけでも十分に前進しています。

そうした普通の練習を何年も積み重ねている中で、ごくまれに、自分でも驚くほど深く練習に入り込む瞬間が訪れる。

私にとってゾーンのような体験は、そのくらい珍しいものです。

9.この集中力をライブにも活かせたら強い

こうした集中状態は、練習だけでなくライブでも大切だと私は感じています。

ライブで緊張するとき、人間の意識はいろいろなところへ向かいます。

  • お客さんにどう見られているだろう
  • 失敗したらどうしよう
  • さっきのフィルインを間違えた
  • 次の難しいところでミスするかもしれない
  • 他のメンバーは自分をどう思っているだろう

こうしたことを考え始めると、本来向けるべき演奏への意識が少なくなってしまいます。

私自身もライブで緊張した経験は何度もあります。

ライブの緊張については、こちらの記事でも詳しく書いています。

もちろん「ゾーンに入ればライブで緊張しなくなる」という単純な話ではありません。

ただ私自身は、自分が出している音やリズム、今演奏している曲そのものに意識が向いているときほど、余計なことを考えにくくなるように感じます。

「失敗したらどうしよう」と考える代わりに、今鳴っている音を聴く。

「お客さんにどう思われているだろう」と考える代わりに、ベースの音を聴く。

「次のフィルインを間違えたらどうしよう」と先のことを考える代わりに、今叩いている1拍に集中する。

演奏に集中できればできるほど、意識が「今」に戻ってきます。

これはライブだけではなく、普段の練習でも同じだと思います。

10.ゾーンより大切なのは「夢中になれること」かもしれない

今回の記事を書きながら、改めてあの日のことを思い出しました。

私はゾーンに入りたかったわけではありません。

集中力を高めるトレーニングをしていたわけでもありません。

ただ、目の前に自分ができないフレーズがありました。

そして、

「どうしてもこれをできるようにしたい」

と思っていました。

できない。

もう一度。

少しできる。

もう一度。

テンポを上げる。

また失敗する。

もう一度。

そして最終的にできるようになった。

その瞬間まで、ずっとそのフレーズだけを追いかけていました。

そしてスタジオの外へ出てみたら、5分程度だと思っていた時間が、実際には1時間ほど経過していました。

30年以上ドラムをやってきても、こんな経験は数回しかありません。

だから私は、ゾーンという状態を特別視して、

「どうすればゾーンに入れるんだろう?」

と追いかける必要はないと思っています。

それよりも大切なのは、目の前の一打、リズム、フレーズに集中することではないでしょうか。

そしてもう一つ。

ドラムそのものに夢中になれること。

私はこれがとても大切だと思います。

大人になると、何をするにも目的や効率を考えがちです。

「何時間やれば上達するのか」

「一番効率の良い練習方法は何なのか」

「何日でこのテクニックを習得できるのか」

もちろん、効率よく練習することも大切です。

しかし楽器には、それだけでは説明できない面白さがあります。

できないものが少しずつできるようになっていく。

昨日叩けなかったものが今日叩ける。

頭の中で鳴っていたリズムを、自分の手足で実際の音にできる。

そうしたことそのものが面白くなってくると、気がつけば練習していることがあります。

ドラムの練習がつらいときの考え方については、こちらの記事でも書いています。

ゾーンに入らなければ上達できないわけではありません。

毎回ものすごい集中状態になる必要もありません。

普通の日は普通に練習すればいいと思います。

10分だけ練習する日があってもいいですし、うまくいかずに終わる日があってもいい。

それでもドラムを続けていると、ときどき不思議なくらい演奏の中へ入り込んでしまう瞬間があります。

私が経験した「5分のつもりが1時間」という出来事も、その一つだったのかもしれません。

時間を忘れるほどドラムに夢中になれる。

そんな瞬間があるということ自体が、楽器を長く続ける面白さの一つなのではないかと私は思っています。

当ドラム教室ではこんなエピソードを交えながら楽しくレッスンしています。興味のある方はぜひ一度無料体験レッスンにお越し下さいませ。遠方の方はZoomでの無料体験レッスンも行っています。下記ボタンよりチェックしてみてください。

ドラムは、楽譜や動画を見ているだけでは分かりにくい部分がたくさんあります。

たとえば、どんな音を出せばいいのか、どのくらいの力加減で叩けばいいのか、曲に合わせるときに何を意識すればいいのかなど、実際に叩きながら覚えていくことが大切です。

船橋周辺で直接レッスンを受けたい方、またはZoomで個別に見てもらいたい方には、無料体験レッスン課題曲マスターコースをご用意しています。

一方で、ご自宅で自分のペースで学びたい方には、動画で学べるオンライン会員初心者8週間プログラム、買い切り型の単品オンライン講座もあります。

ご自身の目的や生活スタイルに合わせて、下記より学び方をお選びください。

\あなたに合ったドラムの学び方をお選びください/

直接教わりたい方には個人レッスン型、
自宅で学びたい方にはオンライン学習型をご用意しています。

個人レッスン型

講師に直接見てもらいながら、対面またはZoomでじっくり学びたい方におすすめです。

🎁 無料体験レッスンはこちら

船橋周辺の方は対面レッスン、遠方の方はZoomオンラインレッスンにも対応しています。

🥁 課題曲マスターコース

「この曲を叩けるようになりたい」という方へ。課題曲に合わせて、必要な基礎からフレーズまで個別に練習していくコースです。

オンライン学習型

自宅で動画を見ながら、自分のペースで練習したい方におすすめです。

📱 オンライン会員はこちら

オンライン講座を見ながら練習したい方へ。分からないところをLINEで質問できる学習スタイルです。

▶ 初心者8週間プログラム

完全初心者から、8週間でテンポ100の安定した8ビートを目指す伴走型オンライン講座です。

📘 単品オンライン講座一覧

8ビート・16ビート・フィルイン・コーディネーションなど、必要な講座だけを買い切りで学びたい方におすすめです。

👇公式LINEアカウントを追加すると
有料動画【効率的な練習について】7本を無料で差し上げます。

タイトルとURLをコピーしました