ドラムフレーズの正しい練習方法|理解・歌う・再現・テンポアップの4段階

レッスン

「楽譜の内容は分かるのに、ドラムセットではうまく叩けない」

「ゆっくりならできるけれど、テンポを上げると急に崩れてしまう」

このような悩みは、ドラム初心者の方によく見られます。

何度も繰り返しているのに叩けるようにならないと、「自分には才能がないのでは」と感じてしまうかもしれません。

しかし、できない原因は才能や練習量ではなく、フレーズを身につけるために必要な段階を飛ばしていることがあります。

ドラムフレーズは、次の4段階で練習すると身につきやすくなります。

  1. 楽譜を理解する
  2. フレーズの音を覚えて歌う
  3. 覚えた音を両手両足で再現する
  4. 感覚を保ったままテンポを上げる

大切なのは、最初から原曲と同じ速さで叩こうとしないことです。

この記事では、ドラムフレーズの正しい練習方法を、初心者の方にも実践しやすい形で解説します。

  1. ドラムフレーズは「理解しただけ」では叩けない
  2. ドラムフレーズを身につける4段階
    1. 第1段階:理解する
    2. 第2段階:音を覚えて歌う
    3. 第3段階:身体で再現する
    4. 第4段階:テンポを上げる
  3. 第1段階|楽譜を理解し、BPM50〜60で正確に叩く
    1. 最初はBPM50〜60程度で練習する
    2. メトロノームに追いつこうとしない
  4. 第2段階|フレーズの音を覚え、口で歌う
    1. 口唱歌でフレーズを表現する
  5. 第3段階|歌った音を両手両足へ伝える
    1. 身体の形だけで覚えない
  6. 第4段階|感覚を崩さず理想のテンポまで上げる
    1. 崩れたら最後にできたテンポへ戻る
    2. テンポを上げてよい合格基準
  7. なぜ考えながらでは速く叩けないのか
  8. 4段階のどこで止まっているかを確認しよう
  9. よくある失敗
    1. 譜面を理解する前に速く叩く
    2. 身体の形だけで覚える
    3. 口で歌えないままドラムセットへ移る
    4. 一度できただけでテンポを上げる
    5. 崩れているのに同じテンポで繰り返す
    6. 最初から原曲テンポで練習する
    7. メトロノームへ追いつくことだけを目標にする
    8. ミスした場所を特定せず毎回最初から通す
  10. 練習時間30分の具体例
    1. 0〜5分:譜面と手順を確認する
    2. 5〜10分:BPM50前後でゆっくり叩く
    3. 10〜15分:音源や自分の演奏を聴く
    4. 15〜20分:口でフレーズを歌う
    5. 20〜25分:歌いながら両手両足で叩く
    6. 25〜30分:安定している場合だけテンポを上げる
  11. まとめ|理解・音・身体・スピードの順番を守ろう

ドラムフレーズは「理解しただけ」では叩けない

楽譜を読んで、どの楽器をどのタイミングで叩くのか理解できたとしても、それだけで自然に演奏できるとは限りません。

「分かること」と「できること」は別だからです。

たとえば、自転車の乗り方を文章で説明できても、それだけですぐにバランスよく走れるわけではありません。

最初はハンドルやペダルの動きを一つずつ確認します。練習を繰り返すうちに、やがて細かく考えなくても身体が自然に動くようになります。

ドラムも同じです。

最初は楽譜や手順を頭で理解します。その後、フレーズを音として覚え、身体の動きへ変換していく必要があります。

楽譜を理解しているのに身体がうまく動かない方は、次の記事も参考にしてください。

「理解できているのに叩けない」という状態は、決して珍しいことではありません。

必要な過程を一つずつ通れば、少しずつ身体が自然に動くようになります。

ドラムフレーズを身につける4段階

ドラムフレーズを身につける流れは、次の4段階に分けられます。

第1段階:理解する

楽譜、音符、休符、手順を確認し、スローテンポで正確に叩きます。

第2段階:音を覚えて歌う

フレーズを手足の動きではなく、音の流れとして覚えます。

覚えた音は口に出して歌います。

第3段階:身体で再現する

口で歌ったフレーズを、両手両足の動きへ変換します。

第4段階:テンポを上げる

音の流れと自然な動きを崩さないように、理想のテンポまで少しずつ上げます。

この順番を守ることが、結果的には最短の練習方法になります。

第1段階|楽譜を理解し、BPM50〜60で正確に叩く

最初の段階では、譜面に書かれている内容を正確に理解します。

確認するポイントは次のとおりです。

・どのタイミングで音を鳴らすのか
・どこで休むのか
・右手、左手、右足、左足のどれを使うのか
・何分音符で構成されているのか
・拍の表側と裏側のどこに音が入るのか
・どのような手順で叩くのか

音符や休符の意味が曖昧なままでは、フレーズ全体を安定させることができません。

音符の種類や拍との関係から確認したい方は、次の記事も参考になります。

楽譜を読むことは、演奏の設計図を理解する作業です。

まずは「何を叩くのか」を明確にしましょう。

最初はBPM50〜60程度で練習する

最初のテンポは、BPM50〜60程度を目安にしてください。

難しいフレーズの場合は、BPM40程度まで下げても問題ありません。

この段階では、次のように考えながら叩いて構いません。

「次は右手」

「ここで休む」

「次はスネアとバスドラムを同時に鳴らす」

重要なのは、余裕を持って考えられるテンポにすることです。

速いテンポのまま、音符、手順、休符、身体の動きを同時に処理しようとすると、頭の中が混乱しやすくなります。

遅すぎると感じるくらいまでテンポを下げ、1音ずつ正しい位置へ置いていきましょう。

メトロノームに追いつこうとしない

メトロノーム練習では、クリックに遅れないよう必死に追いかけるのではなく、クリックと自分の音が重なっているかを聴くことが大切です。

クリックを合図として使うだけではなく、自分の演奏が前後へズレていないかを確認してください。

この第1段階の合格基準は次のとおりです。

・譜面に書かれている内容を説明できる
・使用する手足の順番が分かる
・BPM50〜60で止まらず叩ける
・クリックと自分の音を聴き分けられる
・3回程度連続して同じように叩ける

ここまでできたら、第2段階へ進みます。

第2段階|フレーズの音を覚え、口で歌う

第1段階では、楽譜と手順を理解しながら叩きました。

第2段階では、そのフレーズを「手足の動き」ではなく「音」として覚えます。

実際のドラム音や模範演奏、自分がゆっくり叩いた音をよく聴き、フレーズ全体の音の流れを頭の中へ入れていきます。

この記事では、この作業を「インプット」と呼びます。

そして、覚えた音を口に出して歌います。

これが「アウトプット」です。

口唱歌でフレーズを表現する

ドラムの音を言葉に置き換えて歌う方法を、口唱歌と呼ぶことがあります。

たとえば、次のように歌います。

・ドン、タン、ドドタン
・チッチッ、タン、チッチッ、ドン
・タカトン、タカドン
・ドンタカ、タンドン
・ダカダカ、ドンタン

口唱歌には、絶対的な正解はありません。

自分がそのフレーズの音を思い出せる言葉であれば大丈夫です。

重要なのは、音の高さ、長さ、強弱、間、流れを表現できることです。

小さな声で曖昧に歌うよりも、リズムの輪郭が分かるように、少し大きめの声ではっきり歌ってみましょう。

ドラム初心者ほどリズムを口で歌うことが重要な理由は、次の記事でも詳しく解説しています。

手足を動かさなくても歌えるようになると、フレーズの形が頭の中ではっきりしてきます。

第2段階の合格基準は、楽譜を見なくてもフレーズを最初から最後まで歌えることです。

途中で音が分からなくなる場合は、まだインプットが十分ではありません。

もう一度音源や自分の演奏を聴いて、短い範囲から覚え直しましょう。

第3段階|歌った音を両手両足へ伝える

フレーズを口で歌えるようになったら、その音を両手両足の動きへ変換します。

この段階で大切なのは、右手、左手、右足という「身体の形」だけを暗記しないことです。

頭の中にある音を、ドラムセットで再現するつもりで叩きます。

次の順番で練習してください。

  1. フレーズを口で歌う
  2. 歌いながら両手両足で叩く
  3. 最終的に頭の中で歌いながら叩く

最初から両手両足をすべて合わせる必要はありません。

手だけで正確に叩けるかを確認し、その後にバスドラムや左足を加えていきます。

頭では分かっているのに身体が動かないときは、次の記事で解説している分解練習も参考になります。

一度に全部を動かそうとせず、できる組み合わせから少しずつ増やすことがポイントです。

身体の形だけで覚えない

右手、左手、右足の順番だけを暗記すると、一度間違えたときに途中から戻れなくなることがあります。

身体の形だけで覚えているため、自分がフレーズのどこにいるのか分からなくなるからです。

一方で、音の流れを覚えていれば、演奏中に次の音を予測できます。

間違えたとしても、フレーズの音を頼りに途中から戻りやすくなります。

第3段階の合格基準は次のとおりです。

・歌いながら手だけで叩ける
・歌いながら足を加えられる
・譜面を凝視しなくても叩ける
・頭の中の音と実際の演奏が一致している
・次の手足を必死に考えなくても流れが続く

第4段階|感覚を崩さず理想のテンポまで上げる

フレーズを歌いながら自然に叩けるようになったら、少しずつテンポを上げます。

テンポアップの例は次のとおりです。

・BPM50
・BPM55
・BPM60
・BPM65
・BPM70
・目標テンポ

難しいフレーズの場合は、2〜3 BPMずつ上げても構いません。

大切なのは、一気に速くしないことです。

崩れたら最後にできたテンポへ戻る

BPM60では安定していたのに、BPM65で崩れた場合は、無理にBPM65を繰り返さないでください。

一度BPM60へ戻り、正しい音と動きを確認します。

そこで安定したら、BPM62やBPM63など、さらに小さな幅で上げてみましょう。

速く練習しすぎてしまう方は、スローテンポから段階的に上げる理由を解説した次の記事も参考になります。

速く叩く練習は、間違った動きを高速で繰り返すことではありません。

正しい動きを壊さずに速くする作業です。

テンポを上げてよい合格基準

次の項目を満たしたら、テンポを少し上げます。

・3回以上連続してミスなく叩ける
・メトロノームと自分の音が重なっている
・身体に余計な力が入っていない
・口または頭の中でフレーズを歌えている
・次の音を必死に考えなくても流れが続く
・音量やアクセントをある程度コントロールできている

一度だけ成功した状態では、まだ動きが定着していない可能性があります。

数回続けて同じ演奏ができることを確認してから、次のテンポへ進みましょう。

なぜ考えながらでは速く叩けないのか

ゆっくりしたテンポでは、1打ずつ考えながら叩けます。

しかし、テンポが速くなると、毎回「次は右手」「次は左手」「ここで右足」と考えていては処理が間に合いません。

速い会話をするときに、話す言葉を一文字ずつ考えていないのと同じです。

私たちは、単語や文章のまとまりとして言葉を話しています。

ドラムも、1打ずつではなく「ドン・タン・タカトン」という音のまとまりとして捉える必要があります。

便宜上、譜面や手順を分析しながら叩く段階を「左脳的な練習」、音のイメージを頼りに感覚的に叩く段階を「右脳的な練習」と表現します。

ただし、実際の演奏では脳のさまざまな領域が協力して働いています。

ここで伝えたいのは、理屈を捨てるということではありません。

・最初は理屈で正しく理解する
・次に音として覚える
・覚えた音を身体へ移す
・最後は考えすぎず自然に再現する

この順番が重要です。

理解と感覚の違いについては、次の記事でも詳しく解説しています。

理屈で正確な土台を作り、その理屈を音と身体へ定着させることが、自然な演奏につながります。

4段階のどこで止まっているかを確認しよう

フレーズがうまくいかないときは、何度も最初から通すのではなく、どの段階で止まっているのかを確認しましょう。

次の項目を順番に確認してください。

□ 譜面の音符や休符を説明できる
□ BPM50〜60で正確に叩ける
□ フレーズを口で歌える
□ 歌いながら両手両足で叩ける
□ 譜面を見続けなくても叩ける
□ テンポを上げても頭の中の歌が消えない
□ 身体に力を入れすぎず演奏できる

できない項目があったら、その直前の段階へ戻ります。

たとえば、両手両足を合わせると崩れる場合でも、手だけならできるのであれば、第3段階の途中で止まっています。

この場合、楽譜の最初からやり直す必要はありません。

手だけ、手と右足、手と左足というように、組み合わせを分けて練習しましょう。

よくある失敗

譜面を理解する前に速く叩く

音符や休符の位置が曖昧なまま速く叩くと、間違ったリズムが身体へ定着します。

まずはBPM50〜60程度で内容を確認してください。

身体の形だけで覚える

手足の順番だけで覚えると、途中でミスしたときに現在位置を見失います。

必ずフレーズの音も一緒に覚えましょう。

口で歌えないままドラムセットへ移る

口で歌えないフレーズは、頭の中に音の完成形がない状態です。

演奏する前に、楽譜を見ずに歌えるか確認してください。

一度できただけでテンポを上げる

偶然成功しただけでは、身体に定着したとはいえません。

最低でも3回程度、同じように叩けるか確認しましょう。

崩れているのに同じテンポで繰り返す

崩れた演奏を繰り返すと、その崩れ方を練習することになります。

最後に安定していたテンポへ戻ってください。

最初から原曲テンポで練習する

原曲テンポは、練習のスタート地点ではなく最終目標です。

最初は考える余裕のあるテンポまで下げましょう。

メトロノームへ追いつくことだけを目標にする

クリックに遅れないことだけを意識すると、音が前へ走ったり身体が力んだりします。

クリックと自分の音が重なっているかを聴いてください。

ミスした場所を特定せず毎回最初から通す

毎回最初から最後まで叩いていると、できない数秒間をほとんど練習できません。

崩れる1拍や1小節だけを取り出し、繰り返し練習しましょう。

正しい練習の順番をさらに詳しく確認したい方は、次の記事も参考になります。

練習量を増やすだけでなく、現在の課題に合った練習へ切り替えることが上達の近道です。

練習時間30分の具体例

30分練習する場合は、次のように時間を分けてみましょう。

0〜5分:譜面と手順を確認する

音符、休符、使用する手足、手順を確認します。

必要であれば、楽譜へ「右・左・足」などのメモを書き込みます。

5〜10分:BPM50前後でゆっくり叩く

メトロノームを使い、1音ずつ正しい位置へ置きます。

難しい場合はBPM40まで下げても構いません。

10〜15分:音源や自分の演奏を聴く

模範演奏や、自分がスローテンポで叩いた音を聴きます。

音の高さ、間、強弱、流れを覚えましょう。

15〜20分:口でフレーズを歌う

ドン、タン、タカトンなど、自分が分かりやすい言葉で歌います。

楽譜を見なくても歌える状態を目指します。

20〜25分:歌いながら両手両足で叩く

最初は手だけで叩き、その後に足を加えます。

うまくいかない組み合わせだけを取り出して練習してください。

25〜30分:安定している場合だけテンポを上げる

3回以上続けて安定して叩けた場合だけ、2〜5 BPM程度上げます。

崩れた場合は、最後にできたテンポへ戻りましょう。

初心者の方は、毎日4段階すべてを進める必要はありません。

第1段階だけで30分が終わっても大丈夫です。

その日のうちに完成させることより、間違いのない土台を作ることを優先してください。

まとめ|理解・音・身体・スピードの順番を守ろう

ドラムフレーズの正しい練習方法は、次の4段階です。

  1. 譜面を理解し、スローテンポで正確に叩く
  2. フレーズの音を覚え、口で歌う
  3. 歌った音を両手両足で再現する
  4. 感覚を崩さず理想のテンポまで上げる

第1段階では、音符、休符、手順を理解します。

第2段階では、フレーズを音としてインプットし、口でアウトプットします。

第3段階では、覚えた音を両手両足の動きへ変換します。

第4段階では、音のイメージと自然な動きを保ったままテンポを上げます。

大切なのは、速さよりも正確さと音のイメージを優先することです。

テンポを上げて崩れたら、失敗ではありません。

前の段階へ戻る必要があるという合図です。

理解する、歌う、身体で再現する、テンポを上げる。

この順番を焦らず一つずつ積み上げていけば、難しく感じていたフレーズも少しずつ自然に叩けるようになります。

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